夢日記 イルカ

なんか、可愛い夢を見た。珍しい。
私は誰目線でこの夢をみたのか分からないけど、夢ってそんなもんだよね。

そのお話はこう。
あるとき私は友達に誘われて、東京湾をクルージングすることになった。
友達の地元は浦和だったということで、浦和から船を漕ぎ出した。(あくまで夢なので、海ねえじゃねえか埼玉はよォ!!って思わないようにしよう)

さて、出発。私の知ってる東京湾より、遥かに広大で、綺麗で、紺色が異様なくらい深すぎる。
お世辞にも綺麗とは言えない場所なのに、野生のイルカが波の上で跳ねてる。

ここから視点がぐらつく。私がみた景色なのか、彼女が見た景色なのかこれから分からなくなる。

イルカは船に乗る少女に話しかけてきた。
「みんな、みんな君を探しているよ。君はどうして行方をくらましたのかい?」

少女は少しずつ、人間の世界に帰ろうとしていた。社会復帰?もするために、家系ラーメンの店に週2で通うようにもなった。
少女はタヌキ?(というか耳が毛深い温泉まんじゅうだったんだよね。タヌキというより)の耳を隠さなくてはいけなかった。
後天的に、彼女に生えてきたタヌキの耳。

「この耳を上手に隠しつつ食事出来る場所が家系ラーメンしかないの。」
少女はイルカにいった。イルカはおかしくなってしまって、意地悪なトゲついた歯を剥き出しにして笑った。
「いやいや、君、バレてるよその耳!ラーメン屋の店主にも、おそらく君と同じ勤め先であろうサラリーマンの常連客にも。みんな、君が必死にラーメン啜ってる間、怪訝そうにお前を見てるんだぞ!」

あらまあ。

「お前、名前は?」
「ハルカ。」
「ハルカ、君はどうしてしばらく人間の社会を抜け出していたんだい?」

ハルカはひとつ深呼吸して、そしてポツリポツリ話し始めた。
元々ハルカは、とあるバンドのマネージャーをしていた。とても人気のバンドだった。
ハルカは本名を出さず、「シロウトさん」というニックネームでバンドのPR活動をしていた。
バンドメンバーからも、ファンからもハルカは愛されていた。
だがハルカを快く思わない熱狂的ファンも沢山いた。嫉妬、嫉妬の嵐。
次第にエスカレートして行き、ハルカのアンチどもはバンドのイベントの日に電車のホームにハルカを突き落として、ハルカを轢き殺そうとしたのだ。
電車に轢かれる3歩手前くらいのタイミングで、野生のクマが突然現れて、ハルカを救出した。
アンチはギョッとしてる。
野生のクマの後ろには、野生のキツネ、タヌキ、うさぎ、リス、とり、シカ(カモシカ?)的なものがうじゃうじゃいた。 森の動物は叫んだ。

「ハルカちゃんをいじめないで!!!」

そういうと、ハルカを森の奥に連れていき、緑の深い安全なところにしばらくハルカを匿った。
ちなみに言うと、ハルカは森の動物はおろか、森と全く縁のない生活をしていた。
見知らぬ野生の動物がなんでこんなに自分に優しいのか分からないまま、とりあえず空っぽな頭で、大きな大きな牛骨の洞穴で雨風をしのぎ、木の実を食べて日々を紡いでいた。

「というわけなの。そんな私がなんで今、海にいるのか分からないし。」
「後ろをみてごらんよ。ここは山の下にある海なんだ。」(ますます東京湾と縁がないよねこれ)
「ああ、私迷ってたんだ。あれ、家系ラーメン食べた記憶は、??私また人間の世界でやり直さなきゃなんだよ。いつまでも動物たちに匿ってもらうわけにもいかないの。」

「へえ、ずいぶん苦しそうに言うじゃないか。」
「苦しいとかもう分からない。ただ、疲れたなってことだけは分かる。それ以外の気持ちは忘れちゃったな。」
「ふーん。ハルカ、空を飛ぶよ。」
「え???」

イルカは空高く跳ねた。そして一瞬、人間の男の子のような姿に変身した。アザラシの毛皮で作ったワンピースのような長い衣をまとった少年になった。

「ええ!?あなた人間だったの!?」
「人間だし、イルカでもある。気分でどちらにも変えられるのさ!君もイルカになってみれば?」
「そんなこと言われても、分からないよ。」
「じゃあ、君に変身のおまじないかけたげる」

イルカの子は、ハルカに軽く口付けをした。
するとどうよ。ハルカの身体が段々薄いアザラシの毛皮を纏い、呼吸が段々浅くなっていくのだ。
まともに息が吸えない。

「イルカってそういうことなんだよ!さあ海へ!飛び込むんだ!!」

ああ、水って、海ってこんなに呼吸がしやすいんだ。私の呼吸が許される場所がこんなにも果てしないなんて、今までかつてあったろうか!!
ハルカは楽しくなって、大声で笑いながら人間とイルカを交互に繰り返してた。少年もまた、無邪気にイルカと人間を繰り返し、繰り返し、

「どこまでもいけるね!海だから!!」

そうして2匹は南極を目指して、東京湾(?)で跳ねて、キラキラ笑うのだ。

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