夢魔女さん、夢魔女さん

さらってくれないかしら。今日、この日、このときこの瞬間。

ふわっと香る、柑橘味で。

うちの近所のマロマロの木に、とても小さな朱色の実がなりました。
ですから今夜、それをちょいともぎ取って、煮詰めて、ジャムにしたやつを
あなたと囲む、お夜食として食べる予定であります。それだけのためにわざわざ胃を空っぽにしているのです。
ぼさっとしてると、隙間を狙って鈍色バクが私の胃を巣食うから。
だから、早くやってきて。冷めてしまうと、つまらない台所だから。

マロマロジャムのふかふかパン、マロマロジャム入りロシアンティー、
私はホットミルクに入れることにします。
満腹になれば、うすらかにカビ臭い布団にくるまって
少ししかない体温をわけあって これまたうすらかな桃色のローブで私たちごと包み
さらってくださいな。 また会おうね。またね。

すいみんすいみん

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