私が全身砂で出来た怪物だったら「砂がこぼれ落ちるように」と表現したかもしれないけど私は肉とか血とかで出来た人間で「肉片がこぼれ落ちるように」という表現で、無駄に過ぎていく『時間』に殺されている。

いつかどこかで私が死ぬタイミングが10年後だとしたら、今日私は3652分の1の肉片をえぐり取られたということになる。もちろんこれはあくまで比喩であり何か不慮の事故でもない限り肉片は私が死ぬ1秒前まであり続けるだろう。

しかしどちらにせよ同じことだ。現在進行系で私は死んでいくし、君も死んでいく。君の好きな人も君の嫌いな人も、私を苦しめる人たちも死に向かって肉片を落とし続けている。

後ろを振り返れば肉片が大量にこぼれ落ちており、私は血まみれでそれでも無理やり歩かされている。歩かなければ死んでしまうからだ。歩かなければ「エラー」音が鳴る。本能かもしれないし、見知った誰かかもしれないけど、「歩かなければ駄目だよ」と警告される。それを無視すると終わり。