あなたは何をしてる人ですか?
Tumblrのログを見返していたらこんな日記を書いていた。
http://beniharamemo.tumblr.com/post/76619881788/%E8%A6%8B%E8%BF%94%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%81%97%E3%81%AE%E6%84%9B
2014年。初めての小説を必死になって書いている時期。
あれから本は出たもののレーベル凍結のため続刊は出ず、私はよくあるたった一冊しか本が出せなかった作家になった。
で、2016年になってまた同人活動をしようかな、という気になってきた。
モンスターみたいだった承認欲求が嘘みたいに……いや、人よりは全然あるけど、自分の内臓を埋め尽くすような狂おしい欲求は収まった。
多分そんなに売れないだろう。けどまぁ余ったら自分のテキストサンプルとして飲み会ででも配ればいいや。と思えるようになった。
去年末くらいからぽつぽつと「その他大勢よりちょっとだけ抜きんでた」感じが得られて、同人で知名度をあげる必要がなくなってきたからだと思う。
結局担当編集も別の出版社に行ってしまったので、小説は結局売れたかどうかも分からないけど、どの出版社からも声がかからなかったって事はまぁ見るべきモノは今はなかった、という事なのかなと思っていた。
一生懸命書いたけど、やっぱり出してみたらああすればよかった、こうすればよかった、次の巻では頑張るぞ、と思って準備していたものが全部水泡に帰して脱力もした。
けど、たった一冊でも商業出版した本が手元にあるってすごく便利だった。
今、小説とは違う分野に挑戦している。(結果は全然出てない。ボツの嵐)
飲み会で知人に続刊が出ない事を愚痴ったら、知人がとある人を紹介してくれた。「あなたの小説を読んだけど思ったよりちゃんと書けてるから」と。
そしてその人と初めてあった時に言われた。
「あなたは何をしてる人ですか?」
絶対言われると思っていたので、予め持って来ていた小説と参加しているコンシューマーゲーム作品を出した。
とりあえず本を見て自称作家の変な女じゃない事は分かって貰えたようで、今作品を見て貰っている。ボツだらけだけど、厳しくも的確な返答をくれるのでこれを乗り越えたらブレイク出来るかもという期待を胸に頑張っている。
昨年末、やっぱりとある仕事の話を頂いた。
もともとTwitterを見ていて、ゲームの実績があるからという事での話だったけど、担当の方が小説を読んでくれて依頼の決め手になったと教えてくれた。
二年経って、たった一冊しか出なかった本が相当役に立っている事を実感した。
私はゲームはいわゆるテキストライティング(プロットを貰ってその通りに書き起こす)が多いので、こういう「あなたに書いて欲しい」という仕事はほぼ来ない。小説を書いていなかったらその他大勢の「そこそこのテキストを量産出来る人」「なんかゲームのシナリオ書いてる人」って認識だったと思う。
「私はこれを書きました!」と相手に叩きつけられるものが一冊でもあると、小さくならずにすむ。「私だって作家なんだよ!!」という態度でいられる。なんて素晴らしいんだ。
なので私は新規クライアントの打ち合わせには必ずこの本を携行してさりげなく机の上に出している。ただのライターじゃないぞ!という威嚇のつもり。
相手にしてみれば聞いた事のないようなタイトルの本を見ても「ふーん」だろうけどそんな事は関係ない。自分が何者かを証明する証明書であり、作家気取りでいられるためのプロテクターなのだ。
正直この本を出すまでに相当嫌な思いをした。普通じゃありえないトラブルの連続で、ここまでして出す必要があるのか?とすら思った。
けど、その元は取れたなーと思う。
人間頑張った分の見返りはちゃんと貰えるんだな。
次はもっと元が取れるような本を出したい。
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