ブルーベリー

高校生の時、初めての彼女と別れて涙が枯れるほど泣いた。

もう恋なんてできないと思った。

大学生の時、初めて将来について考えた彼女と別れて泣いた。

立ち直るには時間がかかった。

社会人になって、あの頃をふと思い返す。

君が着ていたワンピースの色、初めてのデートの待ち合わせ場所、家へ送る道中から見えた夕焼け。

あの頃ははっきりと覚えていたのに、今ではぼんやりとしか思いだせない。

大好きだった感情もどこか忘れてしまった。
それが悲しくて、また泣いてしまう。

いつまでも鮮やかな色を覚えていたいが、時間が経つにつれ薄く、ぼやけてしまう。

赤でも緑でもオレンジでもなくていい。
ブルーベリーのような鈍い色でいいから、
せめて僕の中に残り続けてほしい。


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