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第2回キャラクター考察「アナスタシア」

~「ハッピーエンド」に隠された悲しき真実~


1,初めに

初めましての方は初めまして。お久しぶりです、オゾン墨(おぞんすみ)と申します。2024年が、早くももう3ヶ月が過ぎようとしているということで、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回もNoteに投稿させていただきます。

2,テーマ

さて今回は、タイトルにもある通り、元・激獣神祭限定キャラクターのアナスタシアについてキャラ考察をしていきます。しかしその前に、皆様はモンストディクショナリーをご存知でしょうか。
モンストディクショナリーとは、全限定キャラと一部の恒常ガチャ限や絶級キャラの詳細な設定とストーリが書かれているものです。実はモンストには、ニュウやマグダレーナ、マクスウェルなど、モンストディクショナリーにしか登場しない、人気キャラとの関連性のあるキャラが沢山存在します。
これを解釈&分析することでキャラの背景にある考察可能な情報がより得られて興味深いと考えられたので、今回はまずキャラ考察の前に、ディクショナリーの内容から徹底解説したいと思います。今回の考察の根幹の部分にも関わってきますので、是非お読み下さい。(それでももし飛ばしたいという方は、目次の4番以降からどうぞ。)(各々の内容の原本は、項目6の参考資料に添付してあります。)

3,ディクショナリー解説

アナスタシアの基礎プロフィール
性格:明るく品行方正でフレンドリー、おっとりしているが芯が強い
誕生日:6/18
性別:女
好きなもの:前向きな気持ちになれる物語、バレエ鑑賞
苦手なもの:悲しい結末で終わる物語

*解説*
元ネタは、実際のロシア皇帝の第四皇女、アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。誕生したのは、1901/6/18であり上記と一致。赤みがかった金髪と輝く青い瞳の持ち主であり、幼少期はいたずら好きのお転婆少女だったとされる。(この部分においては、キャラとして落とし込むにあたって史実とは若干異なる解釈がされている。)
また、喜劇女優としての才があったようだ。これは、好きなものの2つの項目に反映されている。だからパペットを所持しているのだろう。
余談だが、性格とは相反するように生まれつき病弱であったらしい。

ⅰ,獣神化前

ロシア帝国の第四皇女。
家族には、次期皇帝の弟アレクセイと、悪政を引く父がいる。
革命軍から逃れるため、田舎の庶民として花売りの娘を偽って暮らす。
又、パペットの人形劇が人気。左手の人形の名前はジミー。
ある時、父の側近として政治の実権を握る僧侶の存在に気付く、、、。

*解説*
元ネタも同じく、ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世の娘であり、アレクセイも実在した。革命軍というのは、おそらく1917年の二月革命にて成立した臨時政府のことだろう。(この出来事は、ニコライ二世を退位まで追い込み、その後の社会主義政党が国を統治する大きなきっかけとなったのだが、それは世界史の授業で。)
モンストでは史実と異なり、二月革命以降も捕縛されずに逃げており、父であるニコライ二世もまだ皇帝であるようだ。(実はこれは、本考察における重要な情報の1つである。)
そして、ここに書かれた僧侶というのは、ラスプーチンを指すと思われる。彼は、ロシアの怪物とも形容されるような奇怪な逸話を持ち(不死身や魔術的治療など)、後世のフィクションにおいては人気の高い人物である。
しかし彼は、実際はロマノフ家とはかなり仲が良く、アナスタシアも手紙で「親愛なる友人」と評するほどであり、ここもかなり史実と食い違っている。(こちらでは、まだ面識すらない状態のようだ。)

ⅱ,獣神化①(幸福を綴る「聖皇女」)

「この国は希望と共に蘇る…、それが私の勤めですもの♡」

僧侶の悪しき野望を打ち砕き、帝国に平和をもたらした。
彼女がペンに「この国の誰もが本当の幸せを掴めるように」という願いを込めて本に書き記すと、それと呼応するように双頭の鷲が現れ、国中に幸せをもたらす結晶を降り注ぎ、国民たちはあたたかな幸福に包まれていった。

*解説*
ここからはモンスト独自のストーリー。
実際の史実では、革命ののちに幽閉され、そのまま一家共に銃殺されてしまうという非常に悲劇的な結末を辿っている。
しかし、アナスタシアには、「アナスタシア伝説」と呼ばれる生存説が存在する。これは現在の歴史学では否定されているが、後世の作品でたびたび題材とされ、おそらく「聖皇女」のストーリーは、この伝説に基づいて、その派生という形で作られたものだと思われる。ただしそのまま逃げ切るだけでなく、アナスタシア自身が皇女となるというのは、史実やこの伝説ともかなり離れており、この部分に考察の余地があると考えられる。また、双頭の鷲というのは、史実上も古くから存在する紋章で、特にローマ帝国の国章としての役割が大きい。その後、東ローマの継承者として、ロシア帝国も用いている。

ⅲ,獣神化②(悲劇を破る「反抗者」)

「心を縛る軛など、私がガツンとぶち壊して差し上げますわ!」

実は僧侶は、かつて帝国に滅ぼされた小国の王族の末裔であり、妖力で皇帝を操っていた。その真実を突き止めた彼女は渾身の平手打ちを放ち、双頭の鷲の力によって鎖に縛られ堅く錠がされた僧侶の悪き心を木っ端微塵に打ち砕いた。

*解説*
こちらもモンスト独自のストーリー。
時系列的には、獣神化①よりも前の話となっている。
史実のラスプーチンには、小国の王族の末裔という背景はなく、それらしき他の人物も存在しなかった。ただし、ラスプーチンは確かに悪人であるという面は正しく、ロシア帝国の崩壊の一因でもある。
そして、このストーリー自体は、アナスタシアの名前、そのロシア語の意味である「鎖の破壊者」から着想を得て、そのままストーリーにしていると思われる。

ⅳ,獣神化・改

「物語はハッピーエンドが一番♡みんなに届けて差し上げましょう!」
※時系列は。ⅲの後、ⅱと同じタイミングの出来事。

ある時アナスタシアは、パペットたちの会話を盗み聞くことによって、彼らの祖国である「パペットランド」が危機に陥っていることを知る。意を決して話しかけると、そこでは、国宝である「幸せのハート」が悪いオオカミに奪われ、それをオオカミが食べたことで凶暴化しているという。そして悪いオオカミはかつて戦った僧侶のようだった。その後、メルヘンな異世界・パペットランドにて無事オオカミを改心させることができ、無事仲を取りもち、幸せのハートを元あった所へ戻した。すると、聖獣である双頭の鷲の加護によって、国中に元気と希望が満ち溢れ、その光景をアナスタシアとジミーはいつまでも眺めていた。

*解説*
こちらも当然モンスト独自のストーリー。
まず気になるのは、「パペットランド」という新しい異世界が登場していること。(実はモンストディクショナリーでは異世界が登場することがよくあるが。)
そして、ジミーたちパペットは、本当の意味での「パペット」ではなく、意思のある別の生き物であるということが判明した。(個人的にこの事実はかなり衝撃的であった。)そして、アナスタシアは彼らと会話したことがなく、この時に初めて会話をしている。そしてこれらの要素は、今回の考察内容の核心の部分でもあるため、のちにまた言及します。

ⅴ,登場時PV

まず、絵にかくような演出からパペットのジミーが登場する。
そして、ジミーがアナスタシアの活躍を語る形で、その後その出来事が書かれた本を閉じ、アナスタシア本人が登場する。

*解説*
この本は、「聖皇女」の所持している願いの叶う本とペンである。
本の中で語られている内容は、「反抗者」のストーリーと一致している。

ⅵ,獣神化・改時PV

一面の雪景色から始まり、祈るアナスタシアがパペットたちと共闘し、オオカミを改心させている(倒している)。
その後「幸せのハート」を返納している。

*解説*
改のストーリーをそのまま準えている。

4,考察

ⅰ,結論

これらの解説と史実を交えた考察によって、まずは結論を述べる。ただしこれは、現実世界とストライクワールドは史実においても陸続きであり、かつ分岐しているという前提であることに注意。

  • 本当のアナスタシアは史実通り既に亡くなっており、ジミーこそがアナスタシア本人であり、その死後の魂そのものである

  • そしてキャラクターとして実装されているアナスタシアは、生前に彼女が想像していた「世界を救うヒロインのような、ハッピーエンドに書き記された姿」という残留思念が、彼女の死に際に具現化されたもの

である。以降はこの根拠と、その他の要素の部分を説明していく。

ⅱ,根拠とその理由

・3-ⅱと3-ⅲについて、獣神化①と②が本来とは時系列的に逆になってしまっている。そして、アナスタシアの4形態の内、獣神化②(反抗者)のイラストにのみ、ジミーが写っていない。(獣神化①では、PVから本の中にいると考えられる。)さらに、3-ⅴの登場時PVの内容も合わせて言えることは、以下である。
「反抗者アナスタシアは、本当の出来事ではなく、聖皇女アナスタシアという残留思念が本とペンで思い描いていた自分の理想像にすぎず、つまりPVの流れは演出でなく本当に『創作した物語の中の出来事に過ぎなかった』ということ」だ。
そして3-ⅲの「聖皇女」に登場した本とペンは、まさしくアナスタシアの思念と同じ起因で発生した道具であろう。

そして、そう捉えられる理由を述べる。

・史実の僧侶であるラスプーチンは、確かに悪人であったが、アナスタシア一家とは仲良くしており、その縁のせいでロシア帝国は滅亡している。つまり、アナスタシアは、自身がどうすることもできない悪によって、一家惨殺の悲劇という現実を、その身に受けざるを得なかった少女である。
そしてその時に抱えた「何か国のためにできたのではないか」という後悔や、「その悪意によって生み出された悲劇を否定したい」という強い感情によって、ストライクワールドの世界線では、死して尚、ロシア帝国を復興させるという意思をもつ残留思念として再び生まれたのではないか、と考えられるいうことだ。

そして、この理由の裏付けが5つ存在する。

ⅲ,裏付け①

  • 3-ⅳによって、ジミーを含むパペットたちは、実は本物のパペットではなく、自分の意思を持っている生き物だと判明した。ならば、名前も振られていて、ディクショナリーでも一番登場しているジミーの正体に何らかの秘密があってもおかしくはない。

  • 3-ⅴの登場時PVに関して、登場したキャラではなく、ジミーから語り始めるような構成になっている。これも、「本来のアナスタシアはジミー」であることの暗喩となっている可能性がある。

  • 3-ⅰの獣神化前の説明から、この場面はまさしく史実のアナスタシアが亡くなった出来事と完全に一致しており、このタイミングで、アナスタシアの魂であるジミーと、ある意味亡霊とも言える、アナスタシアの残留思念による存在が生まれたのだと解釈できる。

  • アナスタシアの名前のロシア語での意味は「鎖の破壊者」であるが、パペットの名前である”ジミー”は、実は英語で、短いかなてこ(こじ開ける道具)を意味する単語でもあり、この2つの由来は非常にリンクしている。そして、アナスタシアの本来の、ラテン語での意味は、「復活した女」。

ⅳ,裏付け②

こちらは、獣神化・改にて判明した情報による裏付けである。

・パペットランドとは何なのか
まず、パペットランドとは、死者の魂が行き着く場所、つまり死後の世界のようなものだと考えられる。この理由は、実際に3-ⅲにて死を遂げた僧侶であるラスプーチンが、その後パペットランドに魂がオオカミとなって存在している。そしてさらに、これは3-ⅵに由来するものだが、PVをよく見てみると、ジミーを含めたパペットたちは6人登場している。そして、史実のアナスタシアは4人兄弟であり、一家で計6人なのである。つまり、このパペットたちは全員、アナスタシアと共に惨殺された家族の魂ということになるのではないだろうか。これも、ジミーがアナスタシアの死後の魂の姿である裏付けとなっている。
更に、イラストのアナスタシア改では周りにジミーを含めて4人のパペットがいる。見る限り、その内の一人だけが耳の尖っていない、男性用の帽子をかぶっていて、手袋も形状が異なるように見える。これは、4人兄弟で唯一男子だった弟のアレクセイの魂なのではないだろうか。

以上がアナスタシアとジミーに関する考察だった。ただ、これらの考察によって新たに生まれた謎が2つある為、それらも解消しておく。

ⅴ,おまけ考察①「関係性」

「なぜアナスタシアはジミーといつもそばにいたのに、改の場面になって初めて会話をしたのか。」

・これは、魂と残留思念という関係であるからだと考えられる。というのも、ジミーは現在のアナスタシアがどういう存在なのかをはじめから知っているはずだからである。(なぜなら、自分自身が惨殺されたことでその時に生まれた存在だから。)その為、迂闊に自我を出すと、残留思念であり、自身と同一の存在であるアナスタシアがどうなってしまうか分からない。消えてしまうかもしれない、そう考えたのではないだろうか。

ⅵ,おまけ考察②「表情」

「アナスタシア改にて、他の形態とは異なってなぜそんな悲しそうな表情をしているのか」

・これに関しては、自分もそう思った上、ネット上でもよく見かける意見である。アナスタシアの獣神化改の表情は、ハッピーエンドの笑顔というよりは、少しもの寂しげな、作ったような笑顔をしているように見受けられる。これは、ましてや絵師さんが解釈を誤るはずもなく、理由があると考えられる。そのため以下のように考えた。

アナスタシアの姿は所詮、ハッピーエンドを求める亡霊とも言えるような残留思念である。そして、本来の魂であるジミーと初めて会話をし、さらに自身が本来行くべきはずであった死後の世界であるパペットランドへ訪れたことによって、自身の存在理由に気がついてしまった。彼女は、パペットランドを救い、ハッピーエンドに導くことができた。しかし、それを行なったヒロインの自分という存在も仮初で、本当のハッピーエンドでは決してない。彼女、アナスタシアは心の中ではその事実に気づいていたのかも、しれない、、、。

ⅶ,おまけ考察③「幸せのハート」

最後に、「幸せのハート」の正体について考える。
幸せのハートとは、3-ⅳに登場する、パペットランドの国宝である。また、3-ⅵのPVでは、それを返納することで双頭の鷲の加護が発生したという代物である。
結論から言うと、これは、アナスタシアの死後の姿であるジミーのように、死後の魂と同じ存在だと言える。ならばそれの生前の姿は一体何なのか。それは、アナスタシアと時期を同じくして滅んだ、「ロシア帝国」そのものの魂なのでないだろうか。だからこそ、その皇女が捧げたことで双頭の鷲が現れ、幸せを運ぶという奇跡が起きたのだ。(ちょっとだけ千と千尋の神隠し的な部分が感じられますね。)

5,最後に

これで以上となります。ここまで非常に長くなってしまいましたが、もしここまで読んで下さった方がいるのであれば、最大限の感謝をここで送らせていただきます。全部自分の考察にすぎませんが、アナスタシアのキャラ設定、およびPVにはこのような隠された秘密が含有されていると思うと、とても興味深いですね!
今や獣神化・改の強化によって環境のトップティアに返り咲いた彼女ですが、この「悲しきハッピーエンド」について、是非1度、想いを馳せて見てあげて下さい。

6,参考資料


モンストディクショナリー(獣神化前)
モンストディクショナリー(獣神化①)
モンストディクショナリー(獣神化②)
モンストディクショナリー(獣神化・改) ↑長い!!

PV1。「こんにちは、みんな!今日も僕のお話を聞いてくれる〜?」

PV2。衣装が変身する所のアニメーションが可愛すぎる

上PVにて、パペットたちが6人全員写っているシーン。一瞬しか確認できなかった。

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