川口さんが残してくれたもの。
川口さんとの出会い。
川口さんを知ったのは「家業イノベーションCAFÉ! in 札幌」というイベントでした。
ゲストのお一人としてリモートで登壇されていて、家業を自分らしい形で継ぐ方は年々増えてきていると思うのですが、数年前はまだまだ少なかったので「こんな人が北海道にいるんだ!」と感動したことを覚えています。
その感動を伝えねば!と思い、メッセンジャーで感想をお送りしたことがSNSでつながったきっかけでした。わたしの周りには水産に関わっている方々が多く、川口さんのお話をいろんな方からお聞きしていたので、いつか直接お会いしたいなと思っていたのですが、その夢は叶いませんでした。
パンフレットを作らせていただいた一鱗共同水産株式会社の本間さんから川口さんのお話をよく聞いていたり、周りにも川口さんを応援していた方々がたくさんいたので、大丈夫かな...と思いながら「わたしに何かできることはないだろうか」と考えていた矢先、本間さんから突然電話がありました。
「実は、川口さんと進めていた企画があったんです。大丸の北辰さんでマスコスモ とコラボして商品を売る!っていう企画なんですけど...。売り場に意思表明をするようなポスターがあったらいいなと思っていて」
といったお話をいただき「ちょうど何かできないかなと思っていたんです。わたしでよければ是非!」と、二つ返事でポスターをつくることが決まりました。
デザインの可能性。
デザイナーとして働いていた頃、常々「デザインの可能性」について考えていました。問いの根元は「わたしは肩書きがデザイナーだけれど、どんなデザイナーで在りたいんだろう」だったと思います。
「デザインの役割って何なんだろう」「デザインでできることって何なんだろう」と考えて、たどり着いた答えは「ソーシャルデザイン」という分野でした。
「社会課題を解決するためにデザインの可能性を最大限に生かしたい」と思い、まずは現場を知らないと...という気持ちもあって、現在はNPOで働きながら日々試行錯誤しているのですが、社会人になって数年が経ち、様々な人に出会ったことで、その価値観も少し変わってきました。
理由は2つあります。1つ目は、大切な人、応援したい人が格段に増えたことです。インターンやエンブリッジでの活動を通じて出会った素敵な企業さん、学生さんをはじめ、チャレンジコミュニティのみなさん。デザインで関わらせていただいたみなさん。そして3年前に始めた創業支援プログラム「mocteco」のメンバーや関わっていただいている方々...。本当にたくさんの素晴らしい方々と出会う機会をいただきました。
2つ目は、家族と過ごす時間が人生において大切だと改めて思ったこと。「家族が生きていることは当たり前じゃない」ということを心の底から感じる出来事があり、家族と過ごす時間はかけがえのないもので、家族が幸せで元気に暮らしていることが、わたしにとって何よりも大切なことだと思うようになりました。
わたしが働く場所・生きる場所として札幌を選んでいるのは、札幌に生まれ育ったことに意味があるんじゃないかと思っていることが大きいのですが、一番は家族が暮らしているから何かあった時すぐに駆けつけられる距離にいたいというのが一番の理由でした。あの時のわたしの選択は間違っていなかったんだなといま改めて思っています。
話が少し逸れてしまいましたが...!自分の持っているスキルや能力を「社会課題の解決」のために使いたい、という気持ちが20代前半は100%でした。現在は身近な大切な人、応援したい人のために使いたいという気持ちが強くなり、50%ずつくらいの割合です。
大切な人や応援したい人に何か実現したいことがある時、デザインをできるということは、役に立つことができる。それは「地域」や「まち」という言葉に置き換えることもできると思います。
そんな思いもあって、今回は本間さんが大好きで大切な川口さんの本間さんなりの追悼の形なのだと自分のなかで解釈し、デザインを担当させていただいたので、本当に光栄な出来事でした。
そうして本間さん、マスコスモの皆さんと一緒につくらせていただいたポスターがこちらです。コピーはインプロバイドの池端さんです!(色々とアドバイスいただいて、本当にありがとうございました...!!!)。
◎ポスター(フライヤーの表面も共通です)
◎フライヤー裏面
いよいよお披露目。
そして今日、いよいよ2月16日(火)からスタート!ということで、オープンすぐの時間に行ってまいりました。
せっかくなら川口さんと繋がりがあった方にもお声がけしたいなと思い、SNSで共通の知人だった方々にメッセージをお送りして、健太郎さんと高桑くんが一緒に行ってくれることになりました。
川口さんが亡くなった後も、マスコスモさんとコラボしていたミアボッカさんへ何度も足を運んでいた健太郎さん。昨年moctecoに参加してくれて、これからも「食」というキーワードで関わりがありそうな高桑くん。
健太郎さんは「まだ写真を見るだけで涙が出てくる」とおっしゃっていて。高桑くんは「行けるようなんとかします!」と午前中、実習の合間を縫って「15分だけならなんとか...!」と大丸へ駆けつけてくれました。
売り場へ行くと、本間さんやマスコスモの皆さん、そしてNHKの取材が入っているということでたくさんの方々が売り場にいらっしゃいました。マスコスモの柏谷さんにもご挨拶することができてよかったです...!!
(立ち話をしていたら30分もしないうちに、売り場にあった「ところどんぶり」と「常呂にぎり」がなくなっていました)
私がいた時間、スーツケースを片手に写真を何枚も撮影していた方がいらっしゃったので、「川口さんのお知り合いの方ですか?」とお声がけしたところ、なんと北見からわざわざマスコスモのSNSを見て来られたとのことでした。
ポスターを作る際、川口さんやマスコスモさんのSNSとWEBサイトをたくさん拝見したのですが、本当に、たくさんの方に愛されていた方だったんだなと改めて感じました。
お昼ご飯に「ところどんぶり」をいただきました。常呂の魅力がギュギュッと凝縮されていて、とってもおいしかったです...!
川口さんが残してくれたもの。
それはきっと目に見えるものもあれば、目に見えないものもあると思います。インタビューをお受けした際に「みなさんは川口さんと繋がりがあって今日いらしたということですよね」とお話をいただいて、自然と「川口さんが残してくれた財産だと思います」と答えていました。
なんでだろうなと思い、ポスターの文章を見返すと、きっとこの文章が心に残っていたからだと思いました。
「彼がつないできた縁は、弊社だけでなく、地域全体にとってもかけがえのない財産です。」
川口さんがこれまで出会った人。一人一人と結んできた関係性。目には見えないけれど、残してくれた大きな財産なのだと思います。
そしてその財産を絶やさぬよう、動きつづけること。それが私たちにできることなんじゃないかと思いました。直接お会いすることは叶いませんでしたが、川口さんと繋がりがあった方々と何を残していけるか。私も関わらせていただいた以上、自分自身の使命は何なのか改めて考え、動きつづけようと思います。
帰り際、健太郎さんに「救われたよ」と言ってもらえて、わたしも救われた気持ちになりました。せっかくの機会なのでぜひ、多くの方に足を運んでいただけるとうれしいです。
今日、2/16(火)から3/5(金)まで、大丸地下1F食品売場の北辰ブースさんで開催されています!ひとりでも多くの方に、川口さんの思いを知っていただき、マスコスモさんのこれからにつながりますように。
*ぜひマスコスモさん、本間さんの投稿をSNSなどで、シェアしていただけると嬉しいです...🙇♀️!
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。 スキを押していただいたり、Twitterで感想をいただけると、とってもうれしいです。