雪国

「もうすぐ卒業ってことは、この町ともあと少しでお別れか~。」

「本当に行っちゃうの?全然そんな気しないけどな。」

「こう見えてもちゃんと準備してるんだよ。例えば…サークル勧誘の上手な断り方とか。」

「もっと他にやることあるでしょ~。」

秋刀魚を焼く匂いがする。もう星もちらついていた。

「あのさ、せっかくだから卒業したあとのことも考えちゃおうよ。」

「あかりは未来を見てますな~。どうしちゃう?」

「もしここに帰ってまた会ったらさ、月の裏まで一緒に行っちゃおうよ。」

「….。」

「….。」

「……え~!何それおもしろっ!いこいこ、行っちゃお!」

冬の風にマフラーを揺らしながら、遥香は自転車を走らせた。

「もー!置いていかないでよ!」

「….。」

「….。」

「月の裏なんて、行けるわけないのにな。」

あかりもペダルを踏んで、無邪気な後ろ姿を追いかけた。

叶うはずのない約束に別れの意味を込めた曲だそうです。

※当記事はkurayamisakaとyubioriのフアンによる二次創作であり、架空の設定/物語です。楽曲製作者の意図は含まれておりません。