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運命の人なんて居ないのだ

私たちは幼い頃から耳が腐るほどハッピーエンドのお話を聞かされ続けてきて、いつか王子様ガ〜だとか運命の人ガ〜だとかを信じ切っていた。でも魔法は使えないし海賊王にもなれないし七つの玉だって見つかりやしない。
この人が運命の人だ。ここが私の居場所だ。これが私の天職だ。とか、後付けでしかないのだ。
もし、私に運命の人がいたとして、その人と今円満に居られるのであれば、それが後付けの運命の人なわけで、
もし、その人を手離してしまっている今なのだとしたら、それはそれで運命なのだ。
その人を手離した故の寂しさこそが私の運命の相手なのだ。
どれもこれも自分で選んだ道なのだから今しかない。今こそが運命であると思う。
これが無くちゃ生きていけない、この人が居なきゃ生きていけない、なーんてことはあるわけがないし、
私はこれからも卒なく細々と生きていく。
いつでもみんな死と隣り合わせで、電車を待っている時、眠りに落ちる前、幸せだった帰り道、そういった日常の中で緩かな絶望と共に生きているからどうか慎重に。暖かくしていてね。

どんな夜に涙したってどんな明日に思い馳せたって、例えお酒や煙草の嗜好品を諦めて好きな人を思う事を諦めて輝かしい未来を諦めてもきっと気持ちや灰汁をアウトプットすることだけは辞められないと思った。その手段として歌にすることは辞められないと思った。

上手くやれているふりをするのも達観したふりをするのも随分うまくなったよ。
もっともっと弱ければ、と自分の逞しさに悲しくなることも多い。
大丈夫ですよ、と可愛げもなく言ってのける事が強みだとするなら私は、陳腐な救いの手に縋る人生なんてごめんだから可愛くない屈強な女がいい。

本当に感謝している。こんな人に成り下がるものかと何度も何度も背筋を伸ばさせてもらっているよ。
悲しい事があるたび必ず強くも綺麗にもなると思っている。23年目も幸せしか眼中にありません、どうかよろしくお願いします。