滅びの前のシャングリラ

凪良ゆうさんの書籍。

わたしは凪良ゆうさんの流浪の月に衝撃を受けて、すごくすごく大事な作品なのですが、この度最新刊が出たとのことで、読みました。

お話は、地球に小惑星があと1ヶ月で衝突し、地球は人類は滅亡してしまうというトリッキーな設定です。

人類滅亡の、「逃れることのできない死」に対して、登場人物たちがどう向き合っていくのか。

ひとつの家族を中心に、愛することや、家族の形、人間の本質的な残虐性や後ろ暗いきもちなどいろいろな感情や出来事を通して、最後の日まで止まることなく物語は進みます。

自分の中で、様々な感情が一気に押し寄せるそんな本です。

特に、家庭環境が悪く、愛する恋人さえ傷つけ、自分の父親のようにキレたら手がつけられなくなってしまう信士が、人類に残された1ヶ月で実は息子がいることがわかり、ドギマギしながら息子と向き合い、人類最後の日は家族(と親しい息子の同級生)とともに過ごしたいと願う姿に、本当に感動しました。

愛のかたちや、考え方はそれぞれですが、愛を知らない信士が知らず知らずのうちに父親らしくなり、愛しいという気持ちを無意識のうちに家族に向ける姿は、言葉にできないくらい嬉しくて。

なんてこの本は難しくて、単純で、恐ろしくて、ちくはぐなんだろうと。

でもそれがきっと人間なんだな。わたしはちゃんと人間ができてるのかなと、考えた本だったと思います。

まだちゃんと噛み砕けてないかもですが、懸命に、まっすぐに生きていきたいなと思いました。

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