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<むすめ×わたし>コラボ*ラボ⑬「2年ごしのなみだが、笑顔に変わった日」

むすめ、中学校のバドミントン部3年生。

1年で入部してからすぐ、先輩にいじめられ、それを顧問に相談したら、「お宅のお嬢さんは目つきがわるいですからね。上級生に嫌われても仕方ないんじゃないでしょうか」

きっと、あまりの理不尽さに、相手が先輩だろうが、顧問だろうが、睨み付けていたんだろう。可愛げのない態度だったから、余計にやられたんだろう。

目つきがわるい?
日本語は正しく。せめて、「態度がわるい」と。

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そんな顧問なので、むすめは顧問が嫌い。
だから、やる気が出ない。でも、見返したい。

2年間、社会人バドミントンにも通って、大人の人に交じって夜遅くてもがんばった。
でも思うような、成績が残せなかった。

気が付けば、春。
3年生になっていた。

6月…7月の県大会(事実上の引退試合)に出場できるかどうかが決まる地区大会が、目前に来ていた。

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大会の前日、夜

むすめ:「お母さん、私…熱がある」

体温計は、38.5度

わたし:「大会どうする」
むすめ:「出る」
わたし:「わかった」

翌朝、熱は下がらず。

顧問に熱があることを伝えて、棄権しないで大会に出る代わりに、試合開始に間に合うギリギリまで、自宅で休ませることにした。

会場についても、熱は下がらず…。

もう、コートのあるあちら側に行ったら、親だろうが、遠いギャラリーから見守るしかない。

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何かがとりついたような、試合展開。

熱でフラフラになりながら、気がつけば、勝ち進み。

ついに、悲願の団体優勝。

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なみだで顔をぐしゃぐしゃにして、ギャラリーにむすめが来た。

わたしは、階段で待っていた。

わたし:「がんばったね。いままで、よくがんばった。えらかった。」

めったにほめないわたしがほめたので、むすめは、信じられない…という顔で目をのぞき込む。背中をさすると、うわーんとないた。ふたりでないた。2年間のくやしさや、むなしさが、一気に溶けてながれた。

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ダブルスでも、快進撃。

6コートとれる会場の、1コートだけに会場じゅうの視線が集まっていた。

さいごのさいごで、まさかの逆転勝ち。

相手チームのコーチにまで、いい試合だったよ。と言われたほどの、名勝負だった。

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会場内で、顧問から電話がかかってきた。審判長だったので、事務局席から動けなかったためだろう。

顧問:「本当は、試合が終わっても、全日程が終わるまでは会場に残るのが決まりですが、熱をおしてきてくれているので、今日はもうお嬢さん帰らせてあげてください」

わたし:「わかりました」

顧問:「…お嬢さんのおかげで、優勝できました。熱があると聞いたときは、もうだめかと思いましたが、出てくれて…本当にありがとうございました。」

わたし:「!……はい」

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1年のとき、自分をカスのようにあつかった顧問に、ついに「お嬢さんのおかげで優勝できた」と言わせたむすめ。

わたし:「帰っていいってさ。帰ろう。」

むすめ:「うん…つかれたぁ~…」

わたし:「お嬢さんのおかげで優勝できました…だって」

むすめは、熱で真っ赤な顔でにやっと笑うと、車の中に倒れ込んだ。

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この子のど根性は、どこから来るんだろう…

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ど根性で、こんなのも作ってくれました。
味が混ざるかと思ったら、意外とおいしかった!w

全力投球、ありがとう✨

ではまた✨

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