日記 22.03.31 木

閑なので、よく散歩する。今日は昨日手に入れたUGGのスニーカーを履いて散歩した。靴底が5㎝あるので、5cm背が高くなる。たしかに少し視界の角度が違う。身長173cmの世界はこんなもんか。

桜が満開だ。今日は花見スポットではない場所に1~数本だけ咲いている桜をさがして歩いた。おれはそういう桜を「はぐれ桜」と呼んでいる。きれいに咲いているのに、ほとんど誰にも見られないまま散っていく。「はぐれ桜」を見つけると、おう、おれはしっかり目に焼き付けたぜ、と心の中で挨拶する。もっとも桜からすれば、そもそも人間に見られたいなどとは思っていないだろう。「何言ってんだ、あの猿は」とでも思っているのだろう。

名古屋城の外堀通り沿いを歩くと、遊具がいくつか設置してある薄暗い公園がある。子どもが遊んでいるのを見たことがない。いや、そこに人がいるのを見たことがない。雑草も伸び放題に伸びて、公園の廃墟みたいな場所だ。そこに桜の木が何本か生えている。雑草のなかに、車椅子の女の人がいた。60代後半くらいだろうか。片手に煙草、もう片方の手には缶ビールを持っている。
興味が湧いて、公園に入っていった。いきなり声をかけるのもはばかられたので、スマホで桜の写真を撮りながら、横目で観察する。煙草をふかして、缶ビールをすする。煙草をふかして、缶ビールをすする。独り言か、話しかけているのか、微妙な感じで、「ここの桜は、枝ぶりがいい」と言ってみた。ちらっと女の人の方を見ると、こくこく頷いている。「ひとりで来られたんですか?」と尋ねると、「一人やな。いっつも一人やな」と答える。「ああ、一人暮らしなんだ」と言うと、こくこくと頷く。それで、もう話しかけることもなくなったので、しばらくベンチに座って、桜を眺める。女の人の方を見るともなく見ると、やはり煙草をふかして、缶ビールをすすっている。「じゃ、そろそろ行きますね」と声をかけると、缶ビールをちょっと持ち上げて挨拶してくれた。

UGGの靴は、とても軽くて、歩いても歩いてもぜんぜん足が疲れない。今日はけっきょく二時間も歩き回っていた。もう日も長い。6時前になっても薄明るい。薄暗いではなく、薄明るいという感じだ。ヨギボーに横になった瞬間意識が落ちた。あ、疲れてたんだ。

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