雑然日記2020.06.30

朝から雨。久しぶりに彼女に会うと今日は生理だという。一緒に港に向かい、水族館に行った。
雨が降り、血が流れ、港で水の族を眺め、海老や蟹を食う。意図したわけでもないが、今日はどうも「水」が「流れる」ことに縁がある日であるらしい。前に京都で手に入れた、龍神がとぐろ巻いた傘をさして歩いた。
「名古屋は暑いと思って薄着で来たらめっちゃ寒いんですけど」。彼女の手を握ると、冷たくなっている。今日は水の日、流れの日だから、空気が冷えるのは仕方ない。そのまま手を繋いで、時々、二の腕を摩ったりしながら、水族館の館内を見て回った。

水族館の目玉のひとつが鰯の群れが渦を巻く大きな水槽だ。いつもなら家族連れで賑わうコーナーだが、今日は平日、雨、月末、コロナ諸々重なって、がらんとしていた。ふたりで存分に眺める。
全然飽きないな、と思っていると、彼女が「いつまでも眺めていられるね」とつぶやく。

最近は、会って、ふたりでどこか自然の何かがある場所に行って、ふたりで食事をして、セックスして、ふたりで眠る、というのが定番になりつつある。今日は、彼女が生理だったので、セックスはしなかったけれど、ひとりでいかせてもらった。「あいかわらず、射精するたび死にそうになるね」と彼女が笑う。「私、そのうち、耳だけでいけるようになりそう」。

どんな話の流れだったか、これまで経験したアウェーの話になる。そういや、そんなことを前にツイートしたことがあるよ。そうそう、これこれ、と探し出してスマホの画面を見せる。

逆境慣れしている+Mの「過去の逆境」ベスト3。
3位:仕事で北朝鮮に行った後、半年間専属の公安に絶え間なく尾行される。
2位:夜の山に拉致られて首まで埋められる。
1位:付き合い始めたばかりの彼女に頼まれ、先に約束していて穴が開けられないという合コンに、その子の彼氏として飛び入り参加する。

「ツッコミどころしかないわ!」と、腹を抱えて笑い合う。

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ホテルでチョコレートパフェを食べながら、生クリームたっぷりの激甘具合に脳が痺れたようになる。ぼんやりと、おれには「明日」という概念のリアリティがないから、今日楽しいなら、それは「永遠に楽しい」というのと同じことなんだな、なんてことを考えていた。




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