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無くしたものに気づきはじめた日本人

スマホの中には、たくさんのモノを入れておくことができます。自分の部屋にある本棚の本や漫画本、音楽レコードやCDのコレクション、お気に入りの映画のDVD、写真が整理されたアルムなどをスマホの中に詰め込みポケット入れて持ち歩く時代になっています。こうしてスマホに入れて持ち歩いているモノは本来、本も漫画本もレコードもCDもDVDも写真も全て手で触れるものです。だけれどもスマホに入ってしまえば、本もレコードも写真も同じように観たり聴いたりできますか、触ることはできません。最近そのことに気づいてなのか、レコードがまた売れ出したり、レンズ付きフィルムの「写ルンです」もまだ売れ続けているといいます。若者のレトロブームということもあると思いますが、それだけではないような気がします。

例えば、レコードで音楽を聴く場合です。先ずは、レコードプレヤーが必要です。音を出すまでにレコードについてる埃を取って、レコードの溝に触れないようレコードの縁を慎重に持って、プレーヤーにセットします。そして、レコード盤を回転させます。最後に、回転しているレコードに恐る恐る針を落とします。サーッと音がしてレコードの音が出てくるまで少し時間があります。レコードを聴くには手順に従い手を動かし時間をかけてやっと音が出て来ます。スマホのように指を動かすだけで音が出るのとは違います。そこには、音が出てくるまでの時間からなのか、どんな音が出てくるのかというワクワク感があります。

写真の場合も同じようなことがいえます。写真をスマホで撮ることはもはや当たり前で、ビデオもスマホでキレイに撮ることができます。なのにあえてレンズ付きフィルム『写ルンです』でスナップ写真を撮る若者が増えているといいます。『写ルンです』は東京ディズニーランドでも売られています。
フィルムカメラで撮った写真は、スマホのように撮ったその場で直ぐ見ることはできません。フォルムを現像に出して、引き取りに行って、手にとって触ることのできる紙に焼かれた写真となって見ることができます。写真と撮ってから、見るまでに時間がかかります。フィルムで撮った写真は、気に入らないからといってやり直すことが
できません。その上、フィルム代、現像代、写真代もかかります。それでも若者がフィルムで写真を撮る理由は「現像してみるまでわからないのが楽しい」また「モノとして残る」ところにあるのではないでしょうか。

何でもスマホで済ませていた人たちも、スマホの方が便利なことと、スマホでなくても出来ることの使い分けに、気づいて来ているのではないでしょうか。私たちは、このままスマホを使い続けて行っていいのでしょうか。面倒くさいことがドンドンスマホに奪われて本当にいいのでしょうか。それは、スマホのスピードについていけなくなったのではなく、スマホのスピード感と便利すぎることに飽きて来たような気がします。

スケジューリングもスマホの中から取り出して、実際に手に取って、モノを指で触り、自分の指先を器用に動かしながら考える方が、自分の未来の人生がますます豊になると強く思います。

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