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台湾の半導体は今どうなっている

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日本、台湾、米国企業の半導体会社で15年仕事をしていました。 今注目の半導体業界に興味がある人、文系だけど働いてみたい人、などに向けて、元ファウンドリー出身者の視点で語ります。
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ラピダスよ、夢を語れ─2ナノ量産は遠くとも、未来に力を与える

ファウンドリ・ラピダスの発表 ラピダスは今年3月1日、北海道千歳市に工場建設を進めることを発表した。 同社は昨年11月の設立に際し、2027年に2ナノのロジック量産開始を目指すことを発表している。 この発表当時、多くの専門家やエンジニアたちから疑問の声があがったことは記憶に新しい。 かつて国会で「日本の半導体崩壊の歴史」について講演した元半導体技術者の湯之上隆は、「誰がラピタスに半導体を生産委託するのか」「国産のファウンドリよりもインテルに来てもらう方が現実的だ」などと痛

熊本はあらたな米どころ?元半導体メーカー社員が考える、JASM

「産業のコメ」という呼称がある。幅広い産業の中で、中核の役割を担(にな)い、なくてはならないもののことをさす。日本の高度経済成長を支えた鉄鋼がそれに当たる。そして現代の「産業のコメ」は、半導体だ。しかし2022年の現在、半導体はまだ日本の産業のコメに値する存在だろうか。 このコメの産地はアメリカ、台湾、中国、韓国、欧州など世界各地におよぶ。日本も70年代から80年代には、DRAM(ディーラムと読む。パソコンなどに使われるメモリーの呼称)などの技術開発が進んだ世界トップの産地