私の空っぽな人生

欲しがりもねだりもせず
望みもせず
私のつまらない人生


少しだけ、15年前に応援してた人の話をする。
素敵な人だった、笑いのセンスが抜群で、お芝居の仕事をたくさんしてた。
見たことない、出会ったことない本や
普通に生きていたら生で見る機会がなかったであろう俳優さん、女優さんいったことない土地や、食べたことないごはん。
たくさん経験させてもらった、幸せだった。

少しシャイで、言葉よりも行動で示すところが
かっこよくて。他のタレントさんがハイタッチしたり
ファンサをしてる中、あえて自分のファンを無視するパフォーマンス。
あ。またそっぽむいた、かわいいね。
無視されるってことは分かってくれてるってことだね。
なんて言ってみんなで。

お手紙の字が小さい。
読むのが大変だからあまりたくさん書かないで欲しい。
疲れるから今の作品の話は書かないで欲しい。
濡れるからビニール袋に入れて欲しい。

読んでくれてるんだね、嬉しいねって、みんなで。

だって、演技と歌が好きで見てるから
握手なんてしてもらえなくていいし、ありがとうって言われたくてお手紙書いてるわけじゃないから。
新しい世界を見せてくれるから
そこが大好きだから幸せだった。

手の中に何もない 悔やんでも遅い
口に出さない心抱えたままで
私の空っぽな人生

本当は、羨ましかった。
名前を呼んでもらってる他の子のファンの友達が。
応援ありがとうって言われてる友達が。

「今日ね、うさみみしてもらったんだ!」
私の一度も読まれたことのないカンペがたまってく

1桁しかファンがいない会場でも。
同じように素通りされた
他の人のファンの子が楽しそうに手を出してたけど
怖くて手が出せなかった。

どうしても握手してほしくて
みんなで相談して
顔を隠して手を出したこともあった。

もう、カンペを持ってくことはしなかった。でも、だって、求めてるのはそこじゃないから。
でも、ほんとは、悲しかった。

それだけが理由ではないけれど
決定的な事件が起きて
応援すること自体を辞めてしまった

大好きだったのに、苦しかった。
魅力を感じたところとは全く別のところで
離れてしまったことを責めたし
一緒に慰め合った仲間たちを置いていくことも
裏切りだと感じた。

たくさん知識も経験も得て満たされてるはずなのに
心だけは空っぽで。
応援してきた時間自体が空っぽだった
ようにも思えた。

誰かを応援することが好きだから
「応援させてくれる人」をずっと探してた
色々な人を見に行って

やっぱり"あの人"の応援がしたかった
いなかった。って痛感した。
私が我慢すればよかっただけなのに
手放したのは自分だって。

大切にして欲しかったし
大切にしたかったな。

私はきっと変えられる
選べるわ 自分で決められる

今の私にもあの時みたいに
心の底から応援してる人がいる

初めてお手紙を渡した時に
"わざわざ僕のために書いてくれたの!"
"すごい素敵なお手紙!"
"読むの楽しみ"
驚いてくれて、嬉しそうに眺めてくれた。
すごく嬉しかった。

なんて言ったらいいかわかんなくて
逃げて帰ったのも
帰りの新幹線で何度もこの言葉を
反芻したのもまだ思い出せる

どんなときも、いろんな立場の人に対しての
配慮を忘れないし、笑顔でいられるように
努力してくれる

したことない
堕落だと恐れていたから
一目惚れも 素敵なキスも
なくしたもの 気づかずに

分かってるわ キスはしないと
一目惚れも でも気づけた
チャンスはある 怖いけど


"ありがとう"って言ってもらいたい。

してくれなくてもいいから
"○○して"っておねだりがしてみたい
手を振ったら手を振りかえされたい

言っちゃいけないと思ってた
そんな小さなわがままを叶えてくれて
すごく嬉しかった。

今満たされたから
だから、今"あの人"のことも大好きでいられる。
私の空っぽな7年間を返してくれてありがとう。

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