ショートショート表紙

MMミリオンセラーショートショート6番「六番 英語は難しいよね」

こちらはアマゾンキンドルストアで発売中の「バレンタイン掃討作戦(MMミリオンセラーショートショート1番~10番)」からのショートショートです。

オチを有料設定にしています。(このスタイルで販売している、ぴこ山ぴこ蔵さんの「ちょっぴり厭な物語マガジン」のショートショートもおすすめですよ~)

なお、無料のサウンドノート「コミュ障の個人作家が自分の作品(バレンタイン掃討作戦)を語ってみました」で、本作についてトークで裏話もしていますので、ご興味がある方は合わせて御覧ください。


六番 英語は難しいよね   


 中学生の兄妹二人が、アメリカに語学留学でホームステイしました。

 ホストマザーのカレンはフレンドリーで優しく、たどたどしい二人の英語にも、辛抱強く耳を傾けてくれます。

 ある朝、二人はカレンの車で学校まで送ってもらいました。ドライブをしながら、カレンは尋ねました。
「ふたりとも、学校でもうお友達はできた? 日本では、友達いたんでしょう?」
「ハイ、ワタシタチ、みんな友達です。ワタシハ、日本でガールフレンドがたくさんイマス」
 恵子が英語でそう答えると、カレンは目を丸くしました。
「ガールフレンドがいるの?」
「ハイ、ワタシニハ、ガールフレンドがイマス」
「オー、OK」
「ボクも、ボーイフレンドがイマス」
 健一が言うと、カレンはうなずいて言いました。
「オーウ、日本でも、なかなか理解が進んでいるのね。大丈夫よ、ここは自由の国、アメリカなんだから」

 恵子は首をかしげて、健一に小声で日本語で尋ねました。
「今、なんて言ったか、わかる?」
「うーん、僕もよく意味がわからなかった」
 二人は、わかったようなフリをして、 「ヤー」と言いながらうなずきました。
 
 カレンはつぎに、こう言いました。
「そういえば、ご両親は、なんの仕事をしているの?」
 恵子と健一は、顔を見合わせて日本語で相談しました。
「主婦って、なんだったかな。家にいる人?」
「お父さんは、薬剤師って、どう言えばいいのかな? 薬を売っている人?」


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