メイド服の彼女と私|戯言(2024/09/20)

彼女の目元はいつもよりキラキラしていた。
そんな気がする。



私が狂うほど彼女が好きな理由はいっぱいある。
ここで全て書ければそれで満足なんだが、おそらく執筆中の卒論を軽く超えてくる量になり、私は徹夜になるので泣く泣く省略する。
が、そのうちの一つは彼女は仲良しなご主人様•お嬢様をとても大切にしてくれることである。
別に彼女が仲良しじゃない方の扱いが悪いっていうことではない、また他のメイドさんが仲良しの方を大切にしていないというわけでもない。

とにかく、彼女は私が豪速球で投げ続けている愛に対して、最大限のお給仕で返してくれるのだ。

私が生まれてはじめてファンサをもらったのも、メイド服の彼女のものだった。
彼女の1周年イベント、最後のミニライブの話。
当時私はミニライブに参加できていることへの感動+彼女が無事に1周年を迎えた喜び+彼女の1周年イベントに丸一日参加できた楽しみ+イベントが終わってしまう寂しさなどで感情がいっぱいになって、ミニライブの準備段階で涙を流していた。
曲と共に彼女がステージに登場し、踊ってくれる。
事前に何回も何回も聞いて覚えたコールは吹っ飛んでいって、私は大号泣。彼女はそれを見て、クシャッと笑ってくれたのを覚えている。

月日は流れ、彼女のガチオタにまで成長した私は運良く何度かお楽しみ会に巡り合うことができた。
私がご帰宅している時のお楽しみ会では、彼女は私0ズレ位置で踊ってくれた。なんと全て。
もちろんファンサの嵐、ずっと私のことを見てくれる。心いっぱい彼女の優しさで満たされながら、私は一心に赤のペンライトを振る。


今日のラストはまったりお屋敷だった。
メイドさんたちが急いで準備して、最後にお楽しみ会を開いてくれた。

彼女はもちろん私0ズレ位置に立つ。
聞き慣れた曲が流れ出した瞬間、私は涙を流した。

お楽しみ会の開催は運要素が大きいもの。お屋敷の混雑度•お給仕しているメイドさんのやる気•妖精さんのGOサイン、この全てが揃わなければ開催できない。そのため、月に複数回見れる時もあれば、2〜3ヶ月全くチャンスがない時もある。

しかし、
彼女は約20日後にメイドを卒業する。

あと何回、彼女の踊る姿を見ることができるのか。あと何回、彼女のファンサを受け取ることができるのか。あと何回、彼女が私だけを見続けてくれるのか。

そんなことを考えていると、涙が溢れてしまった。普通の平日夜、まったりお屋敷でのお楽しみ会。他のメイドさん、ご主人様•お嬢様からしてみるとなんか号泣してるやばいオタクに見えたことだろう。しかし他の人は今後何回もあるだろうお楽しみ会、私たちにとっては最後かもしれないお楽しみ会。
もう涙が全く止まりそうにない。

それでも彼女は私だけに目線を送り、ファンサを飛ばし続けてくれた。

ああこの時間がずっと続けばいいのに。


お楽しみ会の終わり。
ほぼずっと泣いてた私のところへ、彼女と何人かのメイドさんが来てくれた。

「泣きすぎ!!」
「お楽しみ会、まだチャンスあるかもしれないじゃん」

彼女は笑って私に言う。
他のメイドさんが「泣いている姿を見て、私も泣きそうになったよ」と続ける。
私はその優しさにまた泣いてしまった。

「わー!!もうまた泣かせちゃったじゃん!!」
と他のメイドさんが言うと、
「もう泣きすぎ!」と彼女は笑い飛ばした。

そしてお見送りしてもらい、私はお屋敷を出た。

でも私は知っている。
彼女も踊っている時、少しだけ涙目だったことを。
お楽しみ会終わりの挨拶で、彼女の目が少しキラッと光ったことを。
「泣きすぎ」と言いながらほんの少し目頭がキラキラしていたことを。
もしかしたら、ラメで光っているだけかもしれない。
しかし、彼女の目元はいつもよりキラキラしていた。
そんな気がする。



メイド服の彼女と私とお楽しみ会
2024/09/20

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