メイド服の彼女と私|戯言(2024/08/09)

現在の状況は、これと全く同じ。

お屋敷からの帰り道で『ファタール』を聞いていると、Twitterの通知で画面が明るくなる。

❤︎ お知らせ ❤︎
2024年10月13日(日)❕
卒業SPお給仕を開催いたします❕🌟
大切なご主人様お嬢様と、最後の思い出を作りたいです🎀ご帰宅お待ちしておりますTωT♩

ああ、遂に向き合わなければならない現実が目の前に現れてしまった。



11時30分。
お嬢様フレンドとお屋敷近くに14時集合だというのに、私は布団の中にいた。昨日余裕ぶっこいて夜更かしした自分に腹を立てる。大好きなメイド服の彼女に会うんだから、必要最低限見た目を整えなければ私が勝手に死ぬ。死んでしまう。とりあえず布団を出た。

13時。
家を出た。暑い。暑すぎる。地球温暖化って何だよ。これ以上暑くなってどうするんだよ、地球。
既に日焼けした腕にアームカバーをつけて、自転車を漕ぎ始める。折角整えた髪が汗と風で崩れていくのを感じる。はあああ困った。

13時15分。
駅に着いた。待合室でハンディファンを片手に、とにかく前髪を整える。特に顔周りに汗をかきやすい自分の遺伝を恨む。

14時5分。
お嬢様フレンドと合流した。今日も今日とてお嬢様フレンドの服装が可愛くて癒される。ただ暑い。私は再度地球温暖化について考える。

14時30分。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
そんな挨拶と一緒にご帰宅を開始した。今日も今日とて私の推しが可愛い。今日はコロネツインのようだ。私の一番好きな魔法。1周年イベントの時もこの魔法だったな。

17時。
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
お屋敷から出て行った。萌えチャージを終えた今なら、地球温暖化を阻止しに世界で戦えるかもしれない。

18時。
夕食は松屋にした。お嬢様フレンド曰く、うまトマが美味いらしい。私はうまトマの横にあった牛ビビン丼にした。お嬢様フレンドには「ええっ?」と言われてしまった。


19時。
ご帰宅の余韻そのままで、カラオケに向かった。お嬢様フレンドが厨二病すぎる曲を続けて歌い、2人だけど爆笑した。

21時。
楽しいカラオケの途中で、Twitterの通知でスマホの画面が明るくなる。
「夜お知らせがあるんだけど……」
私は「ああ、今度するらしい撮影会のことかな?もしくは誕生日の特別衣装のことかな?何かハッピーな情報解禁だ!」と喜んでいた。

23時。
お嬢様フレンドと解散して電車に乗る。体力切れでしんどい時間なので、どこでもドアの開発を切に願う。


ファタールを聴いていると、Twitterの通知が来る。お!お知らせじゃん。

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涙が出そうになった。
分かっていたし、色々察していたところはある。しかし現実に、メイド服の彼女の"卒業"に目を背けていたのは自分。
ただ前回と一つ違うのはお知らせ内容を予測できていなかったこと。前回は私が持つ全ての情報から「このお知らせは卒業発表しかない」と予想し、そのお知らせを受け止めるメンタルの準備を入念に行なっていた。
今回は失敗した。
他にも彼女が楽しいイベントを準備していたから、そっちの告知だと思っていた。楽しい100%のイベントの話だと信じたかった。

ああ、彼女との楽しい時間のリミットは決まってしまったようだ。私は残りの時間で何をすればいいのだろうか。
そんなことを思いながら、いいねとリツイートをする。たぶん少し泣いていた。


戯言|メイド服の彼女と私とお知らせ

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