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リーディングドラマ『ロミオとジュリエット』&『テンダー・シング』再演を見ました


リーディングドラマ『ロミオとジュリエット』(木村美月構成、松岡和子訳、木村美月・荒井遼演出)&『テンダー・シング』再演(ベン・パワー台本、松岡和子翻訳協力、荒井遼演出)をあうるすぽっとにお友達と見に行きました。
私にとっては初あうるすぽっとです。

『ロミオとジュリエット』装置
(終演後撮影可でした。ありがとうございます)


『ロミジュリ』は梅津瑞樹ロミオ&大西桃香ジュリエット回で見ました(日替わり)。
木村美月さんによる構成がスピード感があってみごと、『テンダー・シング』とも響きあう場面が多数採用されていて非常に良かった。
僕らの梅津瑞樹さんが相手のいる恋の初期衝動に惑って宿命に翻弄されて無頼になってゆく愛すべきルネサンスボーイを鋭利な解釈で楽しんで演じておられる。堪能しました。
梅津瑞樹さん、ファンです。リーディング公演でもストレートプレイでもぜひ古典にもたくさん出てください。オデュッセウス一人語りが梅津さんでぜひ見たいです。
大西桃香さんジュリエットは憂いを含んで香りたつように初々しく可憐、さすがAKBの選び抜かれたメンバーです。ほかの舞台でもぜひ見てみたい。複数役演じ分ける町田マリーさんと山口森広さんのサポートが絶妙でした。乳母とマーキューシオとティボルトとパリスとロレンツォ神父を味わい深く演じてくださってありがとうございます。何かをこう錬成していそうな薬屋の場面を残してくださったのも良かった。
音楽はドラムセット一台。ドラマティックな朱赤の長袖ドレスに身を包んだ小見山千里さんの演奏が心臓の鼓動から嵐の予兆のような場面転換まで鮮やかに一刻一刻を彩って印象的でした。

(ところでシェイクスピア学者には周知のことなのかもしれませんが、「俺は君の小鳥になりたい」「私もあなたを小鳥にしたい。抱きしめすぎて殺してしまいそう」ってとってもカトゥッルスっぽい、『歌章』第3歌の小鳥を飼って可愛がりすぎて死なせてしまう恋人の詩の類想をそこでそう使うんだ!という驚きが耳から入ってくるのが心地よかったです)

『テンダー・シング』装置。終演後撮影可でした。ありがとうございます。
波の音と風の音とシューベルトやシューマンやバッハの調べが英国の田園風景を思わせて素敵。
プロジェクションマッピングもイマジナティヴでした


『テンダー・シング』再演。土居裕子さんジュリエットと大森博史さんロミオのしみじみロマンティックでかわいらしさを忘れない老夫婦の物語。初演からさらに役が馴染んでいました。
ベン・パワー台本の編集力が天才的です。ロミジュリの登場人物の台詞を再配置して少し新たな台詞を加えた戯曲で、ロミオの台詞をジュリエットが喋ったり乳母の長台詞を衰えゆくジュリエットが喋ったり、そのどれもが絶妙で説得力があります。だんだんと老老介護の話になり、身につまされて思わず涙が。常若の姿で二人が現れ、巡礼と聖者に身をやつす馴れ初めの場のやりとりを見せるラストシーンに救いがあります。
両方ともかわいいペアで非常に良かった。愛敬ってだいじですね。かわいい年寄りになりたいものです。配信と再演を期待します。

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