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🦤出版編集A_2021

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甲南女子大学文学部メディア表現学科「出版編集A」のマガジンです.新型コロナウィルスの影響もありますが,対面で授業をしている記録でもあります.
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#星空

✧12「一等星よりもずっと」

真夜中の3時を過ぎた頃。 1階に置いてある古時計の鳴る音が聞こえる。僕は、手元にあるアンティーク・ラジオのダイヤルをきりきりと合わせて、かすかに聞こえる音に耳を澄ました。しん、と静まり返った部屋に流れるそれは、オルゴールのように心地よく響く。 深夜の風は穏やかで、ゆるゆると頬を撫でた。揺れるカーテンの向こうに見える星たちは煌めき、夜明けを夢見ている。 ねこのようなあの子も、白衣を身につけたあの子も、同じ星空の下にいる。住んでいる星は違えど、見上げる空はおんなじで。 世

✧11「曖昧と心臓」

こんばんは。ドクターです。 今日のおやつは、ここにきてから少しずつ育てていた、星の記憶と夢からうまれるアステリカの花の蜜でつくった、月夜のハーブティーを淹れましょうか。 そういえば。 誰ですか、ごきげんの浮かれ白衣なんてあだ名で呼んだしろいねこは。宇宙船が完成して悲しくなるほうがへんですよ。へんなの。 今日の彗星は不思議そうな顔をして、メモ帳の切れ端を渡してくれました。 第11回目のほしぞらラジオでは、それを読みますね。 星の海の惑星より、ドクターがお送りします。

✧10「流れ星の贈り物」

 ⋆ ꙳   まえがき    ⋆ ꙳  ドクター ドクターという名前でラジオをしている。 宇宙船が完成してごきげん。 しろねこ しろねこという名前でラジオをしている。 星から旅立つ準備を強いられてごきげんななめ。 ☽ ⋆ ꙳  こんばんは。 ドクターが宇宙船を完成させてしまったみたい。 優秀も、このときばかりは使えないわね。おかげでため息がとまらないわ。しろねこが不幸になったら責任をとってくれるのかしら。 けれど、時計の針を掴んで引き留めておくのがどれだ

✧07「ゆずれない夢に溺れる」

奇遇だね、しろねこ。 きみとはお菓子の趣味も、読書の嗜好も合わないけれど、この星空だけの惑星を、きみと同じように想っている。 けれど、 宇宙船に詰めた保存食が、底をついたら? この星が突然一生を終えて、爆発したら? すきなものを好きであり続けるためには、生きる必要があるんだ。 何度も計算を繰り返して考えたけれど、ふたりでこの星で暮らすのは無理だ。 きみのことがすきだからね。 だから私は宇宙船を直すんだ。 今日も、お便りのコーナーですね。 愛しい惑星より、ド

✧06「夢のかけらを集める旅路で」

宇宙船が完成したら、この星とはお別れなのかしら。 もういちど、こわしてみるのはどうかしら? ドクター。 返事がないわ。修理に夢中みたいね。 じゃあ今日は、しろねこがラジオのお相手をつとめます。 こちら、ドクターとしろねこが暮らすほしぞらの惑星より しろねこがお送りします。 ラジオネーム【紫陽花の森】さんからのお便りです。 ☽ ⋆ ꙳  「 こんにちは。 こちらはお昼の時間です。 今日の天気は晴れ。でも昨日よりはあたたかくないかも。 夏はもうすぐだね。

✧05「お気に入りを瓶に詰める」

グリーゼの惑星は、ほんとうにまぼろしだったのでしょうか。 こんばんは。ドクターです。 お紅茶をつくっていたんです。 眠れる月の星雲ティー、いかがですか? 今回も、お便りのコーナーです。 星空広がる惑星より、ドクターがお送りします。 ラジオネーム【回転木馬】さんからのお便りです。 ☽ ⋆ ꙳  「 こんにちは。回転木馬です。 いつもほしぞらラジオ、聴いています。今回はわたしもお便りを送ってみたいなと思って、彗星にお願いしてみました。 届いていることを信じて、

✧04「大切なもの、すきなもの」

こんばんは。 きょうも夜ね。 でも、いいの。 しろねこはこれでいいの。 ドクターがいっしょなら、ずっとこの星にいたっていいわ。 きょうのおやつは、恋する彗星の涙をあつめて完成。 ソーダ水、ぱちぱち光るわ。 よーし、きょうもお便りのコーナーね。 こちら、ドクターとしろねこが暮らす、とってもしずかな惑星より しろねこがお送りします。 ラジオネーム【子守唄の夢】さんからのお便りです。 ☽ ⋆ ꙳  「 おはよう。子守唄の夢です。 お手紙を受け取ってくれてあ

✧03「マガジンに集めた宝物」

この前、どこかへ行っていたしろねこは、 星のかけらをつかまえて戻ってきました。 それをもっとたくさん集めて作った、きらめく星のクッキーが本日のおやつです。 では早速、お便りのコーナーです。 こちら、星と夜空だけが広がるしずかな惑星より、 ドクターがお送りします。 ラジオネーム【管理人ねむりひつじ】さんからのお便りです。 ☽ ⋆ ꙳  「 こんにちは。管理人ねむりひつじです。 この前と同じ名前じゃ面白くないかなって。お便りという名の「課題」に、毎回変化を付け

✧00 「ほしぞらラジオとは」

あてもなく彷徨っていた、しろねことドクター。 宇宙船がこわれて、たどり着いた星は 夜空と満点の星空。 それ以外は、なにもない しずかな惑星 地面は、ただ白色の砂で覆われているだけ がらくたをときどき見かけるので、ふたりで研究所を設置した そこで、 しろねこがみつけてきた、アンテナのついた箱を使って、 ラジオを始めることにした。 ちょうど、夜空を流れる彗星がお手紙を持ってきてくれたから、 それをお便りとして読もうと思う。 終わらない夜を続けましょう。 あなたの