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星見屋店長南口の報道ステーション取材記録

11月8日晴天に恵まれた東京で皆既月食+天皇星食の撮影、観望にテレビ朝日の取材を受けました。

事の顛末や放送の内側など、忘れないうちに書き留めておこうと思います

そもそも

皆既月食や流星群などの比較的頻度の高い天文現象は近所の友人のマンションの屋上が定番の観測場所でした。家族や近所の知り合い、友人も集まります。個人所有の望遠鏡や双眼鏡を出して自由に見てもらいながら、適当にだべったり酒を飲んだりしてワイワイやっていたのです。
今回は皆既中に天王星食があるということもあり、天気次第で遠征も考えていました。その場合は自分用の観望と撮影機材だけを選択して車に積み込み、晴れているエリアに遠征することになります。
数日前から東京の天気がよさそう、という予報が出てきたので、遠征案は自分の中ではなくなり、「いつものように」みんなでワイワイする心づもりで前々日から仕事を段どって、当日午後は仕事しなくてもいいように進めていました。
今回の天王星食ですが、「何百年に一度」とか「次にみられるのは何年後」とかがメディアで言われるようになって盛り上がってきたのを見聞きして、なんとなく違和感を感じていました。「”一生に一度なんだから見たい”でよくね?」と。
そういうこともあり、半分ネタとして、そしてこれから準備を始める自分への区切りとして「一生に一度のイベントなんで仕事休みます」とTweetしたわけです


準備

こういうTweetをしておくと後ろめたさが弱まり、準備に注力できます
今回の機材は、自分でも見たいし撮りたい、みんなにも見てもらいたい、ということで、6台の望遠鏡、カメラの設置を企画しました
1)月食+天王星食観望(自分用)
 FL102s+2インチダイアゴナル+NAV17+EiC14+フリーストップ経緯台
2)月食撮影
 AM5+ENG8~120mmズームレンズ+ASI585MC+ASIAIRPlus
3)天王星食撮影
 DOB8SynScan+SynScanPro+ASI533MC+PowerMate4x+ASIAIRPro
4)月食観望(仲間用)
 SE-AT-100N+Plossel20mm+SynScanPro
5)天皇星食観望(仲間用
 MAC90+Plossel10mm+ZERO経緯台+SSE
6)全行程撮影
 PentaxQ10+標準ズーム(タイムラプス)

1)の自分用の観望は見れるかどうかは自分次第なので集中力勝負
2)のAM5+ASIAIRPlusはほぼ全自動で気分次第でズームしながら動画とかインターバルとか適当に放置
3)の20センチドブはSynScanPro用のスマホとASIAIRPro+ASI533MC用のタブレットの二台運用となり、設定導入撮影は要注意
4)のSEAT-100NもSynScanProで導入、追尾はほぼ放置可
5)のMAC90+SSEはチャレンジ
6)の全行程のタイムラプスは最初の設定だけして放置

上に列挙した機材だけでなく、電源、電源ケーブル、USBケーブル、ファインダー、予備のアイピースやダイアゴナルなどが必要です。この構成は前日のうちにざざっとリストを作っていました。
機材は自宅と倉庫に分かれて保管していますので、休業告知のTweetのあと自宅の機材をある程度揃えてから倉庫に向かいピックアップ作業を始めました

突然の電話

倉庫では仕事に使っていた電源やケーブルなどを検証環境から外す必要があります。そのほか、試作品を取り付けて評価中の機材なども一旦外して持ち出します。あとからわからなくならないように丁寧に取外すわけですが、思ったより時間がかかってしまいました。
そんなところに電話が鳴ります。(午後2時半頃)
「テレビ朝日です」「Twitterみました」「一生に一度のイベントなので仕事を休むそうですね」「取材させていただけますか?」
細かいやり取りはあまり覚えていません。ただ、話をしていていやな気持にならなかった雰囲気は覚えています。かつ、ショップ店長として断る理由が思いつかなかったので、個人的にはOK、後は場所の管理にかかわる友人の許可を得てから、ということでいったん電話を切りました。
友人に連絡を取ってOKをもらって、折り返し電話を入れたのが20分後くらい(3時前)でしょうか。OKであることを伝えると「今からそちらに向かいます」とのこと。
倉庫の機材準備もまだ途中です。振り返るとこの時点で、「心ここにあらず」の状態だったのではないかと思います。「20分くらいで着く」ということなので急いで持ち出す荷物を玄関わきまで移動させてから自宅に向かいました。(3時半ごろ)

密着取材開始

自転車で自宅が見えるところまで帰ってくると、既に取材車らしき車が家の前に止まっていて、何人かが地図を見たりしながら電話をかけようとしています。「うわっやべ」と思った瞬間に胸ポケットの携帯が鳴ります。携帯に出るより駆け付けたほうが早いと思って自宅前に駆け込みます。そこから挨拶もそこそこに積み込みます。
大汗かいていたのは自転車で必死に駆け込んだからでもあります💦

下村アナもFさんも「熱意を感じます」って言ってくれたけど…

ちなみに、挨拶をしたのは電話をくれたスタッフのFさんと下村アナ。「下平さん?」って言っちゃったような気がする。ごめんなさい。アナウンサーって普通の芸能人とは違うオーラみたいな何かが出てるような気がしました。マスク越しなので目しか見えないのに美人であることはわかります。そんな時はきちんと目を見て話せないです。娘の友達の大学生男子は当たり前のようにいろんな話をしてて、ちょっとうらやましかったりしたけど、仕方ないです。
スタッフのFさんは電話で話した通り、いい感じの方でした。声やしゃべり方の雰囲気が弘中アナを彷彿とさせ、もし、弘中アナがいなかったらFさんがアナウンサーに抜擢されてたんじゃないかと思ったくらい。

忘れ物

そんなこんなでじたばたしながら荷物を車に積んで自宅から倉庫経由で友人のマンションに向かいます。
取材車は先にマンションに向かうということで倉庫に向かう車を後ろから撮られます。

ナレーションで「観測場所に向かう」とされましたが、この絵は倉庫に向かっているところ

車に乗ってから”何か忘れている気がする”とずっと思ってました。リストの入ったバッグを早いうちに車に積んじゃったので、チェックしていないのです。注意は電源と変圧アダプター、電源コードに集中していたように思います。
マンションの屋上に荷物を上げて機材の組み立てを始めます。
どうしてコットの設営が放映されたのかはわかりません(笑)最初に着手したからかな?

なぜコットの組み立て?

望遠鏡をくみ上げていると忘れ物に気が付きます
・SEAT-100Nの鏡筒
・ENG8~120mmズームレンズ+ASI585MC
・PentaxQ10用の外部電源ケーブル
・Fl102sに取り付けるファインダーシュー

それぞれ、自宅や倉庫のしかるべきところにきちんと置いてあります。今でもなんで忘れたのかわかりません。撮影には致命傷です。あるものを組み立てながら、取りに戻ろうかどうしようか、迷っていました。
ここで今回の優先順位を思いだします。
「いざとなったら撮影よりも見ることを優先」
幸い、天王星食の撮影用機材は忘れ物無しです。持ってきた機材で自分で見るのと仲間に見てもらう機材をくみ上げれば何とかなる、と考えて取りに戻らないことにしました。
なので展開する機材は
1)月食+天王星食観望(自分用)
 FL102s+2インチダイアゴナル+NAV17+EiC14+フリーストップ経緯台
 ファインダー無し、完全手動導入
2)天王星食撮影
 DOB8SynScan+ASI533MC+SynScanPro+ASIAIRPro
 PowerMateは拡大率高すぎて放置はできませんでした
4)月食観望(仲間用)
 SE-AT-100Nの架台+MAC90+ラベンデュラ30mm+SynScanPro
の3台となりました
結果論ですが、これくらいの台数が良かったような気がします

インタビューの注意点

密着取材なんていうのは初めてです。しかも時間もないところでただでさえバタバタしているところにインタビューのために時間を割かれても、うまく答えられないと思っていました。
その点、下村アナもスタッフのFさんも気を使ってくれて、適切な距離感でいろいろ雑談の中から使えそうなネタを見つけると「今の話(もう一回)いいですか?」って確認されてからカメラが回ります。
撮影のための質問っていうのはわかっているのですが、こちらとしてはどうしても「さっき言ったように」などという”使えないワード”を含んだ受け答えをしちゃいます。言ってしまうたびに「あ、やべ」って思うのですが、さすがにそういうことで撮り直しは無かったです。ほんとはもっとうまく伝えたいこととか、あったんだけどなぁ、というのは後の祭り。次があればもうちょっとうまくやりたいです。

トラブル(?)

撮影場所は友人のマンションの屋上で、友人が管理組合の理事をやっているので許可を取っていたのですが、月が欠けてきてから住人の方数人が撮影を遠巻きにしていて。
「こんばんわ~」と言って近づくと。
「理事長によると今日の今日話を聞いたらしい。みんな驚いている。こんな無茶な話はない。」と言ってなんだかお冠の様子。スタッフのFさんも下村アナも「急なことで申し訳ありません」「ご迷惑をおかけしてます」と下手に出ているのですが、何やら収まらない感じ。
で、「望遠鏡で月、見てみませんか?」とお誘いすると「あら、いいの?じゃのぞかせてもらうわ」「あら~すごいすごい💛」「ほらほらみんなのぞかせてもらいなさいな♪」と態度が氷解して。
望遠鏡の力ってすごい、と思った瞬間でした。

最大のチョンボ

DOB8は天王星食の入りと出を撮影することが使命です
放送された通り、入りに関してはきちんと撮影できていました
問題は”出”です。報道ステーションでの放送時間は10時18分、と聞かされていました。天王星の出は9時22分。実は9時過ぎからデータを局に伝送するので撮影を何時で終わらせるか、という話がありました。生データを送って編集する時間を確保するためには、出のデータを現場で確認する時間はないかもしれない、締めのインタビューをいつ撮るか、という話です。

私としては、「入りも出も動画データなんだから撮影後ぱぱって送っちゃえばいいじゃん」的な感覚だったので、「出るところはしっかり見させてくれ(だって待ち構えてるところから出てくるか自信ないんだもん)」という気持ちでした。
そんなこんなで出の10秒まで下村アナとインタビューぽい事をしていました。時間を確認して慌てて望遠鏡を覗いて、タッチの差で出が確認できた次第です。

ASIAIRで撮影していた証拠写真?

ASIAIRでも動画が撮影していたので、動画データを渡そうか、というところでデータがiPadではなくASIAIRのSDカードにしかない事に気が付きました。AirDropとかで送れない、ということでSDカードを抜いてFさん持参のPCで吸い上げるためにASIAIRをシャットダウンしたのですが、どうやら、その時に出の動画データの停止ボタンを押していなかったか、保存操作をしていなかったか、今となっては定かではありませんが、出の動画は失われていました😢
もし残っていれば、入りと出の両方が放送されていたのかなと思うと残念ではありますが、「撮影よりも見ることを優先」という基準ですので、まぁ、あきらめがつきます。

祭の終わりはいつだ

撤収は家族や仲間が協力してくれたので素早く行うことができ、取材車を見送って、帰宅したところでちょうど放送を見ることができました。
報道の素材データの処理ってドラマや映画で見るような秒単位なんでしょうね。実質の処理時間は20分もなかったんじゃないかと思います。
で、テレビを見てくれた人たちからの連絡がポロンポロンと携帯を鳴らすわけです。ほとんどが旧友や嫁さんの職場仲間。
身内ほど酷評で「無精ひげくらい剃っとけ」「しゃべりが拙い」などなど、散々な言われようでした。
あの状況でそんなにうまいしゃべりはできないよ~などと返したりしてましたが、最後のコメントの正解は

「休んでよかった」

だったんだろうな、といまさら思っております。なかなか思いつかんって。

よ~く考えると星仲間やショップ仲間はその時間、撤収作業中だったり仲間内の打ち上げなどでしょうか、当日の星仲間からの連絡はほとんどなくて。
翌日天リフさんに取り上げてもらってから反応をいただいています。


いつまでも余韻に浸っているわけではないのですが、放送きっかけの忘年会もできそうですし、まだまだ落ち着かないです。

宣伝

ASIAIR2.0の画面を下村アナが持ってカメラに見せてくれたところ
業者としてはうれしいものです

下村アナの写っているところは動画で見てください

反省点

カラーカメラで撮影したのに、素材のAVIではbayer処理がかかっていなくてモノクロになっちゃった

なぜにモノクロ…

出を見れたら涙ぐむかな、と思ってタオル用意していたけど、ただのポーズです。ごめんなさい

ウソ泣きじゃないよ

総括

「休みます」というつぶやきから生まれた、とんでもなくバタバタした数時間でした。
下村アナやFさんからは”大変なことをしてる”、”難しいことしてる”というような言葉をかけられたけど、この業界にいるものとしては、”これくらいは当たり前”の世界が広がって欲しいな、という思いはあります。今回はPCは一台も持ち出さず、一昔前より身軽な設備装備で撮影と観望に挑めました。天体観望、撮影が大変なこと、難しいことじゃなくてもっと簡単で身近なものになるように、情報発信とか企画とかは必要なんだな、と思います。


それにしても、スタッフのFさん、気遣いもこまやかだし場を和ませてくれるし、現場で時間に追われながらPCに向かってるところなんかを見ると、「できる子」なんだろうな。次に依頼が来たら?もちろん協力しますとも。スタッフがしっかりしている番組は協力して損はないです。

公開しないけど

下村アナとのツーショット写真や彼女が撮影したスナップ写真もいただきました。自分でいうのもなんですが、とってもかっこよく撮ってもらった♡これもうれしいお宝土産です。映される側の人はやはり写すのも上手ですね。
下村アナがインスタで一部公開してくれました

ここに上がってる写真以外のものもあります。星祭りなどで直接会う時であればお見せ出来ます。ぜひお声掛けください。

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