新学期は憂鬱で

新学期が始まった。
久々に友達に逢える喜び。
鼻を膨らませながら、玄関の戸を開けた。

目の前を通り過ぎていく1本の電車。
あまりこういうのは好きではない。

だんだん学校に近づくにつれ、私の後悔という重石は増えていく。それはこの長くて鋭角の坂のせいもあるが…
そうだ、もう季節は9月後半。秋なのだ、秋。

秋服じゃないとアカンかったんや!

同じ方向へ向かう人たちは、黒やカーキ色やブラウン系の服を着ている。男も女も。確かに某アパレルショップではそんな感じのファッションが並んでたなぁ…
長袖なのか長袖じゃないのかわからない丈のブラウス。
ニット生地でタートルネックのトップス。
ペラッペラの生地のロングコート。
モコモコのベレー帽。
ロングブーツ。
いやいやいや暑いやろ。

絶対無理してる。9月であろうと湿気はムンムンしているし、太陽はジリジリしているし、ほらそこのサラリーマンだってハンカチで額の汗を必死に拭いてる。
それを、こんな暑苦しい色の暑苦しい服で過ごすなんて、意味がわからん。
赤色のボーダーTシャツと短めのサロペットの私は、汗で崩れてしまった化粧を知らないまま、2ヶ月振りのこのアホみたいな大きい坂を乗り越えた。

でもやはりお洒落は難しい。"久しぶり〜!"って声をかける友達たちは長袖だった。嬉しい気持ちは半分ー
なんだか自分が浮いてるみたいで凄く恥ずかしい。
何も悪いことしていないのに突然の公開処刑。
着替えたい。でもまだ秋服は押し入れの中。
真っ赤になった顔に気付いた私は更に真っ赤になった。なんで皆化粧を維持出来るのか。なんで私だけ顔が赤い。ああどうしていつもこうなっちゃんだろう。
穴があるなら入りたい、いや着替えたい。いや帰りたい。

帰り道のシトシト雨はまるで、夏に取り残された太陽の化身のようでー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?