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久しぶりにJohn ZornのCDを買った①

 およそ10年ぶりにJohn ZornのCDを何枚か買ったので紹介したいっていう記事です。
 まずJohn Zornについて。一応ジャズミュージシャンに分類されるユダヤ人のアルトサックス奏者、作曲家ですが様々なジャンルの音楽(ジューイッシュジャズ、メタル、ハードコア、室内楽、即興演奏、映画音楽、現代音楽、アンダーグラウンドなどなど)をごった煮にしていたり振り切っていたりするユニットをいくつも形成しているため具体的な言葉で表すことが難しい人です。Zornは自身の経営?するStoneというライブハウスで多くのライブを行っており、収録やライブの際には作曲や指揮に徹してステージ上で自身が演奏しないことも多々あります。Zornは非常に多作で自身のレーベルであるTzadikから毎年多くの作品をリリースしているため少し目を離していると大幅に突き放されること請け合いです。
 私は高校3年生か浪人生くらいの頃にどハマりしていて、CDを60枚くらい集めたり大学生の時に彼の考案したCobraという即興演奏ゲームを少しの間やっていたりという程度で知識が曖昧なZorn中級者ですがお暇でしたら読んでくださいませ。
サブスクやYoutubeに全然音源無いのはごめんな。

 今回買ったCDはこちら(アーティスト名はユニット名を記載しているものもあります。)ありがとうDiskunion。
New Masada Quartet - Vol.2 (2022)
Chaos Magick - 444 (2023)
Simulacrum - Spinoza (2022)
Moon Child - The Crucible (2008)
Moon Chind - Templars : In Sacred Blood (2012)
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New Masada  Quartet - Vol.2

As:John Zorn Gt:Julian Lage Ba:Jorge Roeder Dr: Kenny Wollesen
 ZornのMasada関連の最新ユニットで、現代ジャズシーンで最前線を走っているJulian LageとJorge Roederが参加しています。Masadaといえばジューイッシュジャズのユニットで元祖Acoustic Masadaや、その派生としてストリングスのトリオ、Bar Kokhba Sextet、Electric Masada、Book of Angelシリーズなど多々あるZorn作品の中の本流の1つです。LageやJorgeが参加しているということでかなりハードルが上がっていたこともあって若干の肩透かし感はありましたがIdalah-AbalやAbidanなど昔からよく演奏してきた曲を新しいメンツで聴けるというのはいいものでしたね。Zornも前線に立って全曲演奏するの久しぶりなんじゃないかな?肩透かしとは言いましたがYoutubeにあがっているライブでの演奏は、はちゃめちゃにいいので(特にLage)ライブ盤が出ることに期待しましょう。ちなみにVol.1は未聴なのですが近年のTzadik作品の中でもよく売れたようなので気になったら買ってみます。お気に入りは#6のNe'eman。
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Chaos Magick - 444

Electric Piano:Brian Marsella Organ:John Medeski Dr:Kenny Grohowski Gt:Matt Hollenberg
"444は、私がこれまでやったことの中で最高のもののひとつだ" -John Zorn
 
今回ZornのCDを再び集めようと思ったきっかけのアルバムです。こんなキャッチコピー書かれたら買ってみようかなって思うじゃんね。メンバーは後述のSimulacrumにBrian Marsellaを加えた変則カルテットになっていて、みんな最近のZornのお気に入りの凄腕達です。元になっているSimulacrumはハードロック、メタル、アングラ路線のゴリゴリ系なんですがChaos Magickはそこにジャズロック、プログレ、フュージョンなんかの要素が入っていてメタルやハードコアの要素が薄くなってジャズ要素が多くなっております。SimulacrumもChaos MagickもZornが初期に組んでいたNaked Cityの様なカットアップ的な展開をしていくので最初聴いた時は置いていかれたんですが、慣れると大変かっこよいですね。Medeskiは私がちょうどハマっていた時からの常連なので安定感抜群、他の3人は今作で初めてちゃんと聴いたんですがMarsellaの演奏はエモさもあって特に印象に残っていてGrohowskiとHollenbergはメタル畑出身ということもあり、そういったパートをやらせたらピカイチです。Zorn作品の中で最高なものの1つに入るかどうかはさておき、Zorn欲に再び火をつけてくれる大変かっこよい作品でした。
 お気に入りは#4 Astral Projectionと#7 Salt And Mercury。
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Simulacrum - Spinoza

Organ:John Medeski Dr:Kenny Grohowski Gt:Matt Hollenberg Gt:Bill Frisell(#1) As:John Zorn(#2)
 Simulacrumの20分程の大曲2曲のアルバムでそれぞれの曲でFrisellとZornが演奏しております。ジャズ、ジャズロック、メタル、ハードコア、プログレなんでもござれでカットアップまみれの長曲なんですがどちらも20分があっという間の素晴らしい出来です。(そこら辺の曲が長いだけの自称プログレバンドを一掃できる)曲が長いこともあってハイライトとか中弛みがあったりするんですが、いきなりゴリゴリのユニゾンが飛んでくる所(#1)とかZornのフラジオが響いてる中でテーマに入る所(#2)とか鼻血出ますよ。Frisellがいないと出せない雰囲気であったり、いつものZornのブチ切れたサックスだったりそれぞれがうまく曲の中で機能していて流石としか言いようがない。曲の展開を全部覚えるのはよっぽど回数聴かないと難しいと思うので流れに身を任せて聴くのが正解な気がしますね。今回買った諸々の中で一番良かった!こういう記事を書いておいてなんですがこれ以上何も言うことが無いので、とりあえず聴け。#1 Immanenceと#2 Spinozaどっちも最高!
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Moon Child - The Crucible

Vo:Mike Patton Ba:Trevor Dunn Dr:Joey Barron As:John Zorn Gt:Mark Ribot(#4)
 元々Moon ChildはMike Patton、Trevor Dunn、Joey Barron3人のユニットでDunn、Barronの超ヘビィなリフの上でPattonが歌詞のないボーカルで絶叫しまくるというものでしたが作品が増えるにつれてアルバムごとにZorn、Ribot、Medeskiなどが参加する形態をとっています。今作は全編Zorn参加、1曲のみRibot参加です。Moon Childは数あるZornのユニットの中でも特に重たく暴力的な音に振り切っていて聴く人と時を選びますがどの作品もとてもかっこいいです。まぁまぁな数の作品がリリースされていてそれなりの数を持っているんですが久しぶりに下記のアルバムと併せて買ってみました、それでもコンプリートできてないんですが。#1のPattonの気の抜けた声でテーマを歌ってるところは多分笑うところなんだと思いますが、どの曲もカッコよくてお気に入りです。ただ元の3人の他に人が増えると良い意味でも悪い意味でも聴きやすくなっちゃうね。
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Moon Chind - Templars : In Sacred Blood

Vo:Mike Patton Ba:Trevor Dunn Dr:Joey Barron Organ:John Medeski
 Moon Childに全編Medeskiが参加した作品。Medeskiが参加したことにより音に厚みが出ていて簡単に聞き流せるくらい聴きやすい仕上がりです。あとPattonが人間の言葉で歌ってるので今までのMoon Childに期待して聴くとコレじゃない感があるかもしれませんね。
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 Zorn熱が再び盛り上がっていてSimulacrumやChao Magickを中心にアルバムを何枚も注文したので自分の中で消化でき次第紹介していこうと思います。

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