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さん付けで呼ばれること

小中学時代の友達から久しぶりに連絡があった話を、高校時代からの友達とテキストでやりとりしていた時のこと。

私:ひっさびさにFacebook開いたら小中一緒だった友達からのメッセージが入ってて「この間○○達と会ってさぁ、○○さん(私)にも会いたがってたよー」とか言われて
友達:さん付けに距離を感じるw
私:え、その子仲良しグループの一人なんだけどさ、そういえば私仲良い子からもさん付けで呼ばれてたわ

この会話で記憶の扉が開いた。
中学校の時まで、みんなから「苗字のさん付け」で呼ばれていたこと、「なぜ私は下の名前で呼ばれないのかな?」って時々思っていたことを思い出した。

さん付けで呼ばれた理由、今となっては答えはなんとなくわかる。
それは、私がみんなのことをさん付けで呼んでいたからだ。
小中学校の時の仲良しグループは私を入れて5人だった。上のメッセージをくれた子のあだ名はHちゃん。グループ内での呼び名はHちゃん以外は下の名前の呼び捨てで私だけ苗字のさん付けだった。私はHちゃん以外はみんなを苗字のさん付けで呼んでいた。
○○さん(私)もみんなを下の名前で呼んでよ、みたいなこととか、○○さん(私)のあだ名を考えようよみたいなこともあったように記憶しているけど、いずれも呼び名の変更までには至らず。一時期、ふざけてお互いのことを苗字で呼び捨てにする、みたいなことをやった事があった。そんな時は私もみんなを呼び捨てにできた。決まりごと、ルールだったらあれこれ考えなくてよいので気が楽だ。しかし気まぐれで始まったその苗字呼び捨て週間は週間どころか数日で終わり、私はまたみんなをさん付けで呼び、みんなは私をさん付けで呼んだ。

やがて仲良しグループはそれぞれ別の高校に進学して、高校入学後すぐに私にあだ名ができた。私も友達をあだ名で呼んだり、あだ名のない子は下の名前にちゃんづけで呼んだ。さん付けはそんなに仲の良くない子だけだ。
余談だけど当時は名前の後ろに「〜ピー」とか「〜りん」とかをつけるあだ名が多かった。そう、(あの)のりピー、(あの)ゆうこりん、みたいなことです。ランドを持ってなくても、星からやってきていなくても一般女子高生がピーやらりんやらと呼び合うふわふわとしたバブル時代末期であった。
不思議なもので呼び名一つだけど「さん」がつかないことで友達との距離が縮まったように感じたし、実際リラックスして友人関係を築けたのは高校からだと思う。小中学校時代の友達とは「さん」二文字分、私が、距離をとっていたのかもしれない。同時に友達から距離を取られていたとも考えられる。離れてみて、新しい友達ができてわかったことだ。
高校入学以降中学の仲良しグループの友達と集まることはどんどん減って、大学時代に私が引っ越したこともありやがて音信不通になった。彼女達はずっと変わらず仲が良かったことを知ったのはFacebookの出現で久しぶりにみんなと繋がってからだ。ずーっと探してたんだよ、というメッセージと共に私を見つけてくれたのは「Hちゃん」だった。

敢えてのさん付け、みたいなケースもあるけど、さん付けとは少し関係性に距離がある人に使うものと考えてもいいと思う。
私は人との距離をいきなり詰めていけるタイプじゃないのは自覚していて、まだそんなに親しくもない人に馴れ馴れしくしちゃいけないという遠慮からのさん付けの時もあれば、いきなりそんなに馴れ馴れしくしてくれるなよという警戒からのさん付けという時もある。
そのくせ初対面の相手とも距離を詰めていける人、誰とでも打ち解けられるコミュ力お化けみたいな人が羨ましくて、私はそういう人になれないのか?って誰かに相談したことがあるのだけど、初対面やよく知らない人に予防線を張って様子を見れるってことは自分を守る行為であって別に悪いことではないですよ、とその誰かが言っていた。
なるほどしかし…コミュ力お化けに対してなんでしょうこの自分の陣地を守る地縛霊的な感じ…。

特に楽しくない時でもとりあえず口角を上げて笑顔を作ってみると人間の脳は、お!今楽しいんだ!と騙されてだんだんと楽しい気分になっていくというのは割と有名な話だけど、ということはですよ。出会って間もない人にいきなりあだ名や下の名前の呼び捨てで接したら、もしかしたらこれもお互いの脳が騙されて、この人とはすでに親しい間柄なんだ!という気分になってすぐに打ち解けられたりするのかもしれない?!もしかして誰とでもすぐ打ち解けられるコミュ力お化けがやってるのはこの作戦なんじゃないか?!これは地縛霊も試してみる価値あるかもしれない。



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