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初めて猫をお迎えした話


私は40年以上生きてきて、動物に関心を向けたことがなかった。ペットを飼っている人も身内にいなかった。飼ったことがある生き物はお祭りで掬ってきた金魚だけ。動物番組も見たことがなかった。そんな私が急に猫の魅力にハマり、初めて猫をお迎えした。

猫が好きになったきっかけはYouTubeで猫のミルクボランティアをしている方の動画をなんとなく見るようになってからだった。産まれたてでまだ目の開かない子猫が保護され、その子達がちゃんと育つような環境をつくり、ミルクを飲めるようになったり、離乳食に移行し、トイレができるようになっていく。そして何ヶ月かたつと里親さんを見つけてずっとのお家に預けられる。そんな動画をずっと見ていた。里親さんからかけられる優しい声、子猫を支える時の優しい手つき、動画を視聴しているこちらまで優しい気持ちで子猫の成長を見つめた。猫ってこんな風に育てるんだ。とかこんな所に注意が必要なんだとか。自然に猫の育て方の知識がついていった。そして、猫ってこんなに個性があって表現豊かなんだなと見て癒されたり。里親さんが見つかり、卒業となる頃には一緒に門出を喜び涙が出た。

そんな風に猫を育てている動画を見たり、中には愛猫が亡くなった時の様子を動画にしているチャンネルを見てもらい泣きしたり。ペットって本当に家族なんだなとイメージが変わっていた。

動画を見てるうちに、猫と触れ合いたくなり、猫カフェへ通う日々が始まった。猫って基本的にはツンとしてるけど、案外撫でると立ち止まって撫でさせてくれる子もいる。指を向けると鼻をくっつけて挨拶してくれる子もいた。おやつを持ってるとやたら懐いてくれる子、ソファで寝てたらいつのまにか足の間で寝ている子。同じ猫カフェに通っていたら、そこにいる猫ちゃん全員の名前や個性も覚えてみんなが愛しい存在に思えた。どの猫ちゃんも可愛いのだが、特に推しの猫ちゃんはエキゾチックショートヘアの子だった。独特の鼻ぺちゃ顔にずんぐりしたムチムチボディ。ちょっと高い台に飛び乗るのに足を踏み外してたりと少しドジっぽいところもまた可愛かった。

週4回以上猫カフェに通う日々。そんな日を過ごしてるうちに、私は我が家にも猫をお迎えできないかなと無意識に考えていた。荷物が多い我が家。これらの荷物をどうやって断捨離したらケージが置けるかな。とか考えていた。ノートを開いて部屋の図面と家具の配置を書いてイメージしたりしていた。今まで億劫だった断捨離もすすみ、猫をお迎えしたい気持ちが強くて引越し以来動かさなかった本棚を移動してケージのスペースを確保した。普段諦めが早く行動力がない私でも気持ちが強くなるとここまで行動起こせるんだなと我ながら感心した。あとは同居の家族の同意だ。ペットとは無縁の我が家。最初は『育てられないんじゃない?』『ペットロスとか辛いんじゃない?』と半信半疑だった。しかしある日『このリビングのこの辺にキャットタワー置いたら?』と言うようになっていた。

あとはどこからお迎えするかだった。通っている猫カフェでも里親募集制度はあったが、私の推し猫ちゃんは現在里親は募集していないとのことだった。あとは保護猫譲渡会やブリーダー、ペットショップからとなるが、譲渡会はきっと審査で落ちてしまうんだろうというイメージが強く、またペットショップはとにかくお金がかかるので、ブリーダーさんからお迎えすることにした。

好きな猫種はエキゾチックショートヘアの子と決めていたのであとは色や性格で決めた。あまり選びすぎるとどの子にも感情移入しそうだったのであまり選びすぎないようにした。見学希望日が早く決まった家のブリーダーさんからお迎えすることにした。お迎え予定の子の写真を見せると家族も気に入ってくれた。生まれて5ヶ月になる男の子だ。

猫をお迎えする日までに入念に準備をした。お迎え初日はケージで過ごしてもらい、布をかけて周囲が見えないようにすると猫ちゃんの不安が強くならないこと。最初の1日はご飯も水もトイレもしなくてもそれが普通であること、色んな下調べをした。

お迎え当日。ブリーダーさんの車に乗せられてその子はやってきた。見学に行った時の人見知りの顔そのままの子だった。不安の強いお顔をしていた。最初はケージになかなか入らなかったが、ブリーダーさんからもらった猫砂をトイレに混ぜたらゆっくりと自分からケージに入ってくれた。初日はあまり刺激せずケージの中で過ごしてもらった。『長旅疲れたね。お疲れ様。これからよろしくね。』

夜鳴きはあるのかな、と思っていたけど全く鳴かない子で逆に心配になった。音を発しない子なのかな?😨💦2日めに少しだけ鳴き声が聞こえた。それは本当によく耳をすまさないとわからないくらいの超音波みたいな耳鳴りのピーンというような声だった。…か、可愛い声…🥹2日目でもあまりご飯を口にしてないようなので、チュールを上からかけたりウェットフードを用意した。食事量が安定しない時期だった。しかし、オシッコもうんちもちゃんとトイレでしてくれるようになって徐々に慣れてくれた。

何日かケージで過ごした後は、ケージの外へデビューし、さらに数日後はリビングデビューし、徐々に活動を広げていった。

仕事中もマロンのことが気になり毎日早く帰りたいと思いながら仕事をしていた。

お迎えして半年。今はトイレもご飯も順調で、マロンが好きなご飯、受け付けない味もわかってきた。家の中を隅々まで探検する時期も終わり、よく過ごすところなどが決まってきた。おねだりの声もはっきりしてきた。マロンのしぐさ、マロンが出す音、マロンのリアクションに笑ったり癒されたりする日々。しかし、予想してなかったこともあった。エキゾチック独特の鼻ぺちゃ顔のせいで少し運動したり毛繕いしてると気道がせまく、フガフガした呼吸をしているのだ。今だにこの音には慣れず、つい顔を確認して具合悪くなってないかとか嘔吐してるんじゃないかと覗き込んでしまう。たまに嘔吐する時のえづく音もハラハラしてしまう。また、お迎え初日はあんなに小さい鳴き声だったのが今はだいぶ慣れてきたのか、結構な音量で鳴くようになった。寝室から出たい時や朝のご飯が欲しい時とか。急に悲鳴のような鳴き声が聞こえた時は何か怪我でもしたのかとびっくりして部屋に飛び込んで行ったこともあった。ただのおねだりの声だったが。知識をたくさん持った上でお迎えしたつもりだったけど最初の一年はまだまだ驚くことがたくさんあるんだろう。

間違いなく言えるのはまだ出会って半年なのにマロンは確実に家族の一員、というか私の一部になっている。スマホの写真ファイルはすぐにマロンの動画でいっぱいになり、ストレージがいっぱいです、と通知が来るようになった。マロンを健康診断で病院は連れて行った時は鼻まで真っ赤になって緊張していて、こっちまで辛くなった。あまり辛いことやストレスになることは経験させたくない。私はどんな親バカになるのかな。

ここまで読んでくださりありがとうございます😊

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