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金山平三の世界へようこそ!(前編)


このコラムに足を運んでくれたみなさん、ようこそお越しくださいました。金山平三の世界へご案内いたします!
今回は、兵庫県立美術館で開催中の特別展で見つけた作品を、大学生の目線から「自由に」語る回です。そのため、書き口調、触れる内容、何でもありとなっております。誠に勝手ながら、私たちが感じたことそのままをお届けさせていただきます!
また取材班の熱意の分だけ、文章が長くなってしまったので前後編に分けて投稿します。
(この記事は前編です。)
それでは、目次どーん。


INFORMATION

兵庫県立美術館
📍神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
🕐10:00~18:00(入場は17:30まで)
🗓休館日:月曜日(祝休日の場合は翌日)、年末年始
 メンテナンス休館:2023年7月24日~9月8日

出会いと、旅と、人生と。ある画家の肖像
日本近代洋画の巨匠
金山平三と同時代の画家たち

🗓会期:2023年6月3日(土)〜7月23日(日)
 (7月17日(月・祝)は開館、翌18日(火)は休館)

ひょうごプレミアム芸術デー
🗓期間:7月11日(火)-7月17日(月・祝)
🎨期間中、コレクション展や特別展が無料で観覧できます!ぜひ、この機会に!


ライター:いち

金山平三《エボレーンの女》

緑と女性が特徴的なこの作品、金山平三にとっては割と初期の作品である。
普段ワンピースばかり着る私はまず、「服かわいい〜〜〜!!!」と思った(素直)。ボリュームのあるスカート、落ち着いた色、首元のアクセント、全部可愛い。どこかの民族衣装だろうか。
学芸員さんによると、金山平三は東京藝術大学を首席で卒業したのち、海外へ留学したという。展覧会には金山平三が収集した絵葉書等が展示されており、金山も異国の地に心踊らせていたのかな?と少し考える。(現代の私たちと同じような…気がします。)

また、これは金山平三のサインである。
金山平三はこの作品を気に入り、自身のサインを残したという。この話を学芸員さんから聞いた時、「え、かわいい〜〜〜!!!」と推しを尊ぶオタクか、久しぶりに会う姪っ子を甘やかすオジサンのような気持ちになったことは胸の奥に閉まっておこう。(もう、書いてしまったが。)

この女性は何者なのか、そもそもモデルはいるのか、どういうシチュエーションなのか、色々と疑問が浮かんでくる。が、ちょっと長くなりそうなので、この絵を見た時のフレッシュな第一印象のみを書いて一旦終わろうと思う。

金山平三《画稿(日清役平壌戦)》

んんんと思った方、おそらく正解。この作品は未完成である。まだ完成していないのに、私の「推し作品」となった理由は、兵士の泥臭さ・力強さが非常に印象的だったから。
学芸員さんのレクチャーによると、金山平三は「人間の動き」をよく捉えていた画家だったという。
いや、たしかに。めちゃわかる。わかるわ〜〜

特に、このデッサン部分。線だけで、もう動き出しそう。というか、多分動いてる。撮影不可のため掲載できないのだが、会場には金山平三のデッサン資料が多く展示されており、彼の「動き」をよく感じることができた(ちなみに、めちゃくちゃ好きだった)。また展覧会3章では彼の芝居画を中心に、金山平三が描く「動き」にスポットライトを当てている(ちなみに、めちゃくちゃ好きだった)。

あと、個人的好きだったのは画面右側の兵士の下半身である。
倒れた兵士はその重心が下がってしまっているものの、グッと立ち上がりそうな力強さを感じた。彼らの表情は伺えないが、悔しい顔をしているのか、前に進もうとする顔をしているのか、色々と想像が膨らむ。


ライター:のん

金山平三の作品と聞いて、静物画を思い浮かべる人はあまりいないと思いますね。今回兵庫県立美術館で金山平三の展示会が開催中ですが、あまり知らないなと思う人もこのコラムを読むと一回行ってみたくなる!そんな記事が書けたらなと心の中で思っています。
実際にレクチャーを受けて作品を見て特に印象に残ったのは何といっても静物画!写真じゃない?と思うような立体感のある作品の数々。その中で特に気になった作品を二つご紹介します。(学芸員さんも静物画を推していました~。

金山平三《こち》

一つ目は、『こち』という作品。遠目から見ると写真みたいと思う方が多いのではないでしょうか?魚と皿の立体感が忠実に表現されています。私が特にすごいと思ったのが、影の使い方!右から光が当たっていると仮定して、だんだん左の端の方を暗くしていっているのが分かります。徐々に変化をつけていかないとなかなかリアルな影はできませんよね。さらに、背景を黒にすることで机の上にぽつんと置いている、少し寂しい印象を受けます。上を向いて横たわっている魚を見て、何か儚さを感じませんか?

金山平三《菊》

二つ目は、『菊』という作品。花瓶に積んだ花が滴れる美しさが表れています。特に注目してほしいのは、一枚一枚の花びら。少しくしゃっとなった様子が忠実に再現されていると思いませんか?実際に見てみた方がもっとそのすごさが分かると思います!花びらだけでなく背景にも注目してほしいです。机の端に置かれていると思いますが、果たして後ろは壁なのでしょうか?境目を曖昧にしているのも魅力ですね。
少し二つの静物画の魅力をお伝えしましたが、この他にも沢山伝えきれていないことがあるんですよ!この取材で美術館に来るのが2回目の初心者ですが、芸術って奥深いですね…。一つ一つの作品に圧倒されるんですよ。未熟な感想を沢山並べてしまいましたが、少しでも伝わっていたら幸いです。7月11日からはひょうごプレミアム芸術デーがあります。この機会に兵庫県立美術館に足を運んでみませんか?ぜひ感想をシェアしましょう!


ライター:ココ

金山平三《冬の諏訪湖》

この作品、なんだか天使が舞い降りてきそうな神聖な空気が流れているようです。
雪景色をいくつも作品に残している金山平三。この取材で初めて彼の存在を知ったのですが、一気に虜にされました。
この作品を紹介しているわたくし、実は雪国出身なんです。(この作品の場所である諏訪湖や長野県ではないのですが。)おこがましいですが、雪国出身の私から見ると本当によく表現されているなと感じます。澄んだ空の色とその光を受けて青白く見える雪。作品下側の木々と植物。渇いた体ながら雪原に埋もれることなくその体をまっすぐ伸ばしています。これこそ雪景色だと思わされるほど細部まで丁寧に描かれているんです。
私はこの作品を見てふるさとに帰りたくなりました。今年の冬もこんな景色が見られるかなあと思いを馳せたところで、この作品の紹介を終わりにしたいと思います。

金山平三《子供習作》

「動き」を捉えた金山平三。この作品に映る子供も今にも動き出しそうですよね。というか動いて見えます。
子供ならではの体の丸さ、肌感、体の動かし方。もちろん、輪郭の線が丸さを形にしているのですがそれだけでなく影の入れ方やぼかしがより子供らしさを印象づけていると思います。金山平三の観察眼と見たものを見たまま描く技術。なんだか描いている姿を想像するだけでも金山平三という人物に惹き込まれそうじゃないですか??
ちなみに、この4つの子供の絵の中で私が特に好きになったのは1番左の子供です。こちらに背を向けて、足を大きく広げていますね。赤い頬を持ったこの子の目線の先には何があるのでしょうか。見えない手で一生懸命おもちゃを触っているようにも見えますね…。
さあ、みなさんもぜひ、実物を見て色々想像してみてください!


(後編へ続く)

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