【TEX】割れ物注意が多いと先発は多いに越したことはない

もはやどこのチームかわからない先発ローテーションになったテキサス・レンジャーズ担当のもりまるです。年の瀬に一本書いていこうと思います。

補強ポイントはやはり先発だった

まずWAR(引用:Fangraphs)という著名な総合指標でレンジャーズを見てみると、

  • 野手 18.9(全体17位)
    内野手:シーガー、セミエン、ロウで11.7
    外野手:アドリス・ガルシア、タベラスで5.0
    捕手:ジョナ・ハイム2.8

  • 先発 5.8(全体26位)
    ペレス、グレイで5.0

  • 救援 3.1(全体15位)

という状況です。捕手はガーバーがいて、三塁には22年シーズンにデビューしたトッププロスペクトのジョシュ・ヤングを開幕から起用することを踏まえると、補強したいポジションは先発と外野だったといえるでしょう。概ねチームも弱点の補強を中心に動いていると見ていいと思います。

ジェイコブ・デグロム

【TEX】アストロズは3年後も脅威。それがデグロムに賭ける理由となる に記載

アンドリュー・ヒーニー

長らくエンゼルスでプレーしていて、22年はドジャースと1年契約。このオフに1年12M+1年13Mのプレイヤーオプション(バイアウト0.5M)でレンジャーズと契約しました。2度左肩を痛めた影響で72イニングしか投げていませんが、投球内容は大幅に進歩しています。

K%が35.5%、BB%が6.1%だったので、エース級が並ぶ指標でも上位に位置しています。前年よりも10ポイント近く上昇していますね。概ね三振を取れることによるマイナスはなく、打球にならなければボールの反発がどうであろうと結果は変わらないので、三振が大幅に増えたことは彼の評価を大いに高めたはずです。

引用:Baseball Savant

この原因としてはカーブをやめて少しだけ変化が小さい分やや高速化したスライダーを多く投げ始めたこと、もうひとつが球速が上がって95マイルや96マイルくらい計測するようになったことも大きいでしょう。もちろんマイナスポイントは故障で、これはデグロムと同じですね。

ネイサン・イオバルディ

このチーム本当に23年に少なくともワイルドカードは狙っているんだなという本気がうかがえたのが彼との契約です。レッドソックスのワールドシリーズ制覇に大いに貢献し、浮き沈みのあるシーズンを過ごしながら22年は腰や肩の故障などもあって低調なパフォーマンス。クオリファイングオファーを提示されていたため人気銘柄にはなっていませんでしたが、レンジャーズが2年34Mに2年間で300イニング到達したときのみ行使できるプレイヤーオプション1年20Mをもって迎え入れています。

イオバルディ獲得の背景

余談ですが、時系列的には今季から導入されたドラフトロッタリーで、従来の制度ならば全体7位指名権を持つはずだったレンジャーズが全体4位に上がったこともイオバルディ獲得に影響しているかもしれません。メジャーリーグの現状のドラフトは指名権に対して一定額のボーナススロットが設定されていて、チームごとの契約金総額は割り当てられた指名権のスロット総額と一致します。今回の7位→4位でおよそ1.8Mほど契約金総額が増えます。デグロムの獲得で失った2巡目指名権も1.8Mほどのスロットが割当てられているので、3巡指名権+0.7Mや国際FAの0.5Mを失ってもそこまで大きな影響はないと踏んだ可能性があります。23年も今年と同様に価値の非常に高い1巡目指名権と4巡目以下という形になったので、1巡目で予定より金額が浮く選手を指名しつつ、4巡目に指名漏れした有望選手を狙う今年と同じ指名戦略になるかもしれませんね。

引用:Baseball Savant

さて、イオバルディに話を戻すと、100マイル近い豪速球が売りの彼の場合は、ヒーニーとは逆に22年のシーズン終盤になるに従って球速が低下していました。これはおそらく先に述べたコンディションの問題と考えられ、体調をどれだけ整えられるかが大事になりそうです。速球派ではあるものの四球はかなり少ない投手で、ストライクゾーンにポンポン投げ込んで球威が勝っていれば抑え、落ちていれば打ち込まれるというタイプです。その点でWBCのアメリカ代表にメンバーで選出されているのはやや懸念材料ですが、正直1年目は無理に開幕に合わせず、シーズン序盤はイニングや球数を制限しながらすごしてもらっていいと思います。

先発の見立て

  1. ジェイコブ・デグロム(残り5年)

  2. ネイサン・イオバルディ(残り2年+1年の可能性)

  3. マーティン・ペレス(残り1年)

  4. ジョン・グレイ(残り3年)

  5. アンドリュー・ヒーニー(残り1年+1年の可能性)

先発ローテーションはこの5名で構成され、ロングリリーフにジェイク・オドリッジテイラー・ハーンが待機する構成になりそうです。そして彼らの登板機会は少ないものではなく、特にオドリッジは先発することもありえるでしょう。ジョン・グレイも含めて直近は故障に苛まれた投手が勢ぞろいしていて、1年健康で終えられるのは楽観にも程があるという面々です。FAだけで揃えた先発陣ですが、最も長い契約はデグロムの5年でジャック・ライターやクマー・ロッカー、オーウェン・ホワイトといった投手のプロスペクトたちのスポットも順次空いていきます。故障体質のベテランがそろっていますが長期的に見て大きなリスクはないとみてよく、ひとまず23年どれくらい稼働するかは見ものです。

今後の動き

追いかけていたマイケル・コンフォートがサンフランシスコ・ジャイアンツと契約合意したため、実力のある外野手が一人ほしいところです。中でも出塁率高めの選手。レンジャーズの選手は総じてあまり四球を選ばない選手が多いので。現状のFA市場で残っている該当選手は実績あるベテランならトミー・ファムロビー・グロスマンベン・ギャメルといったところでしょうか。個人的にはアダム・デュボールアダム・エンゲルのような守備がよくて前年までよく打てていたような選手もありだと思っています。
チームがどこまで補強するかは不明ながら、年俸調停権取得選手などの金額を踏まえると贅沢税課税ラインまであと16Mほどとなったレンジャーズが残りの金額を誰に使うかは注目ですね。





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