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【TEX】セミエンに待望のシーズン初ホームラン(チーム45試合目)

更新のきっかけをつかめず、21年オフの大型補強組ワーストクラスの不振にあえぐセミエンがホームランを打ったらnoteを書こうと決めていたテキサス・レンジャーズ担当です。昨年162試合で45HRの選手が44試合目にしてはじめての一発(グランドスラム)ということで、筆を起こした次第。今回はレンジャーズのここまでの戦いぶりを振り返っていきます。

投高打低

その前にまず今シーズンがどういう状況なのかはなんとなく気づいていると思いますが、近年とは投打のバランスが異なります。ボールの加湿による飛距離低下説もありつつ、投手の進化が止まらない(次々と流行りの球種が出てくる)こともあって、打者側がそのスピードについていけていないように見受けられます。

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こちらはFanGraphsからもってきた過去10年分の3~5月の成績です。OPS見れば近年で最も悪いことがわかりますね。フライボールレボリューションで三振増えてもいいから長打を増やそうとなり、長打(ISO)の割合が伸びてきたここ数年でしたが、去年はその傾向に歯止めがかかり、今年は15年くらいの水準でしかも三振は10年前より増えたまま低打率という状況です。

頑張れセミエン

その象徴のような選手が、タイトルに上がったマーカス・セミエンではないでしょうか。昨年はちょっと出来過ぎ感もありましたが、それにしてもここまでとは誰も想像していなかったでしょう。今年は速球に対してあまりにも弱く、打球速度や角度の悪化が顕著です。動体視力に影響が出ているのかもしれず、7年契約で1年あたり25Mも支払っている選手の1年目としては心配な状況です。シーガーも期待されているほどの成績ではありませんがやや運に恵まれていない可能性もあり、むしろ故障せずに懸念の守備もUZRは+、OAAでも平均レベルをキープしているので、こちらは現状さほど気にはしていません。

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日本時間5月29日時点で22勝23敗は、一部目立つ大型補強をしたとはいえ100敗チームの翌年と考えるとまずまずだと思います。ここまでで活躍が目立つのは、本来そこまで期待されていなかった選手たちばかりではないでしょうか。

活躍が目立つ選手

ジョナ・ハイム(捕手)

ここまで野手のMVPはこのハイムでしょう。以前の記事で触れたフレーミングの良さは据え置きで、バッティングが格段に改善されています。打球速度が平均で3mphアップ、今年はかなり初球から積極的に振っていくスタイルが功を奏し、かといって過剰に振りすぎるわけでもなく三振が減って四球が倍増という成長を感じさせる内容です。レンジャーズから野手でオールスターに選出されるとしたら今のところは彼しかいません。

コール・カルフーン(外野手)

4月のOPS.375とセミエンをさらに下回っていて、1年5.2M+オプション5.5Mの契約は無駄だったか…と思わせてからの大爆発。この後どうなるかはわかりませんが、5月は打ち出の小槌のようにヒットを量産しました。20年の短縮シーズンで16HRを放った頃の片鱗を見せてくれれば、くらいの期待感でしたが、ここまでは見事です。彼が調子を落とした頃に他の選手の状態が上がってくれば大いに役に立つことでしょう。ダイビングキャッチが映える守備では流石に衰えてきてはいるものの大穴が空いているわけでもなく、レンジャーズが夏に売り手に回っていたとしても、貴重なベテランとして保有する選択肢を考えてもいい選手です。もちろんトレード話の内容によります。

マーティン・ペレス(先発)

かつてのトッププロスペクト、そして長期契約を途中で破棄され流浪の末に1年4Mで古巣に舞い戻ってきたペレスがMLB全体でトップクラスの投球を披露するなどシーズン前に誰も予想していなかったでしょう。完封を含めて現在7試合連続クオリティスタート(6イニング以上、自責点3未満)で防御率1.60。レンジャーズの投手、チームのMVPといってもいいすぎではないはずです。ボールの質や配球は正直何かが変わったような感じはないのですが、甘くてもいいからストライクを稼ぐことを以前より意識しているように見受けられるし、あとはフレーミングのいい捕手陣に助けてもらっているのかもしれません。それこそカルフーンよりもさらにお値打ちで投手は引く手あまたなので、レンジャーズが売り手に回ったら彼が最も値打ちの高い選手になるでしょう。

ブロック・バーク(ロングリリーフ)

ジュリクソン・プロファーをアスレチックスにトレードした際の三角トレードでメインピースとしてレイズからやってきた投手です。トミー・ジョン手術もあってキャリアの立て直しを図る22年ということでしたが、ロングリリーフ中心で起用され、95mph前後の速球で三振を量産しています。ペレス以外の先発が補強の目玉のジョン・グレイを含めてなかなかイニングを食えない状況、かつ投手の枠が多く先発を早めに下ろす昨今のMLBではこのロングリリーフの価値は高まっており、彼もその一人といえるでしょう。このままロングをやりながら、本格的に後ろに回るのか先発に戻すのかは状況次第となりそうですが、先発で起用されていた頃は93mph程度だったことを踏まえるとこのままリリーフの方が向いているかもしれませんね。

2,3巡指名権なきドラフトへ

100敗チームが突然超大型補強をしたら、を実践しているレンジャーズ。正直なところ、むしろよく頑張っている方だと思っています。2022年のドラフトも間近に迫っていて、セミエンとシーガーの獲得で2巡目3巡目指名権のないレンジャーズは2日目がとても暇になりそうですが、1巡目全体3位で誰を指名するのかも含めて、次回はマイナー選手のおさらい中心の投稿にしたいと思います。

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