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【私に書かせなさい】インターステラーを楽しむ事前知識

原題である”Interstellar”は造語的な単語です。

"inter" + "stellar"という構造で、
"inter"は「接頭語」と呼ばれるもので、「~の間(あいだ)」とか「~が行き交う」といった意味合いです。「接頭語」とはほかにも"en-"とか"ex-"とか"re-"とかいっぱいあります。

言語を言語学的に学習していく方法は邪道扱いされがちですが、言語学的に習得しない言語は他人に教えられません。皆さんは外国の方に日本語を教えた経験はあるでしょうか?想像してみてほしいのですが、外国人が変な日本語の文法で作文を出して来たとして、「正解はこうだよ」と教えることはできても、「なぜそれが間違いなのか」教えることはできますか?

正解を知ることは大切ですが、その背景にある「なぜ?」を知ることはもっと大切ではないでしょうか。私たちが日本語の文法の間違いの理由を説明しにくいのは、日本語という言語を言語学的に学んでいないからです。

読みにくい文章とか、言いたいことが伝わりにくい文章を書いてしまう傾向にある方は、ぜひ日本語の文法を意識して文章を再考していただくといいでしょう。実は、語彙力はそんなに重要ではないことに気付くかと思います。

今回のお題は映画『インターステラー』です。
私の好きな映画ベスト3に入る映画です。しかし、ミナツドのメンバーシップ登録をなさっている方はご存知かと思いますが、先日配信されたメンバーシップ限定の「サブカル倶楽部」でこの作品が取り上げられた際、私は呼んでもらえませんでした。

寂しさや無念さ、怒りや憤り、ほんの少しだけ「オイシイ」という気持ち・
いろんな感情が沸き上がってきました。

私の個人チャンネル的な位置づけであるTwitchには「ウォッチパーティ」という機能があり、この機能を使えば配信を通じて視聴者さんと一緒に映画を観れるそうですので、土曜(12/4)の夜に「ウォッチパーティ」で『インターステラー』を皆さまと一緒に観たいと思います。

↓私のTwitchチャンネル

さてこの『インターステラー』、ストーリーそのものは非常にシンプルなのですが、相対性理論に関する事前知識がなければ理解が追い付かない場面が多い映画です。そして、相対性理論に関する事前知識があると、劇中のシーンのひとつひとつに大きな感動を味わうことのできる作品でもあります。

私はゴリゴリの文系学生でしたが大学時代、中学生でも理解できる数学知識で特殊相対性理論と一般相対性理論を解説する講義を受講していました。今思うと今日この日のために受講したのかもしれません。奇跡的に当時使っていたテキストも発見しましたので、それを参照しながら頑張ります。

ウォッチパーティですので配信中に口頭で解説することも考えたのですが、イラストを用いないと十分解説できないことに気付き、急遽手書きで解説イラストを作成しました。

以下、「『インターステラー』を楽しむための事前知識」を説明申し上げます。

まず、「相対性理論」は大きくパート1とパート2に分かれます。
パート1は「特殊相対性理論」というものです。
これは重力の存在しない状態を仮定して作られた時空に関する理論です。「重力が存在しない状態」とは地球上はもちろん、宇宙全体でも存在するかどうかすらわからないほど「特殊」な状態です。だから「特殊相対性理論」です。

パート2が「一般相対性理論」というものです。これは重力が存在する状態での時空に関する理論です。「重力が存在する」というのは普通のことです。つまり「一般的」な状態です。だから「一般相対性理論」といいます。

今さらっと流してしまった「時空」というキーワードですが、これは「時間」と「空間」のことを言います。

平面のことを二次元といいますね。立体を三次元といいます。空間とは三次元のことを指します。我々は三次元の存在ですから、空間を自由に移動することができます。しかし、過去や未来へ、時間を自由に移動することはできません。空間に時間軸が加わり、時間を自由に移動することができるような存在は四次元です。

三次元の存在である我々は、四次元の存在である時間軸を操る(移動したり干渉したり)ことはできませんが、時間の影響は受けます。

この世界は自分の次元より高位の次元の影響からは逃れませんし、それをコントロールすることはできないように作られています。

空間と時間が四次元ということは、特殊相対性理論は四次元に関する理論ということが分かります。

空間と時間の軸(四次元)に重力が加わった状態。これが五次元です。五次元の存在は、空間を操ることも、時間を操ることも、そして重力を操ることもできる存在ということです。そして、一般相対性理論とはこの五次元に関する理論ということになります。

若干ネタバレですが、作中でブランド博士(アン・ハサウェイ)が「彼ら」と言っていたのはこの五次元の宇宙人です。


インターステラーを楽しむうえで最低限理解したい相対性理論の知識はそんなに多くありませんし、私が学生時代に受けた講義はそもそも、「中学生の数学知識」で理解できるレベルに分かりやすくしてもらったものなのでご安心ください。三平方の定理(ピタゴラスの定理)を知っていれば、相対性理論は理解できます。

アインシュタインが相対性理論を作ったことは周知のことですが、ではなぜ、アインシュタインは相対性理論を思いつくに至ったかというと、それは当時の科学者が偶然発見した、光に関する不思議な実験結果がきっかけでした。

マイケルソンさんとモーリーさんという2人のアメリカ人科学者による実験でしたので、この実験は「マイケルソン・モーリーの実験」と呼ばれています。笑っちゃうくらいにそのまんまの名前なんです。分かりやすくていいですね。

ご存知の通り、地球は太陽の周りを回っています。これを「公転」といいます。このスピードはマッハ88(音速の88倍)です。↓

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マイケルソンさんとモーリーさんは「公転する方向に光を照射したら光のスピードが遅くなるはずだ」と考えました。

ちょっとだけ、言っている意味が分からないですよね。要するにこの考えです。↓

左上の③は無視してください。

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このcase1とcase2は直感的に理解できると思います。
直感的に理解できるこの法則は「ガリレイ変換」というかっこいい名前がついています。

マイケルソンさんとモーリーさんは、光を公転する方向へ照射したら、公転速度分(秒速29.8km)光のスピードが遅くなると考えたのです。

そうして行ったのがこんな実験でした。

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この実験を行ったのは「公転の影響を受けない光線①の方が光線②よりも早く受光機に届くはずだ」という仮説を検証するためでした。

しかし何度実験しても、①と②の光は同時に帰ってきます。
最初はライトから鏡までの距離は数十cmでしたので、これを10mくらいまで延ばして何度も挑戦しますが、結果は変わりませんでした。

この実験はマイケルソンさんとモーリーさんの期待した通りの結果ではありませんでしたので「失敗」と思われましたが、光はガリレイ変換されず、「速度が変わることはない」という大発見でもありました。

この光の不思議な性質のことを「光速度不変の原理」といいます。

光速度不変の原理についてもう少し具体的に説明すると、こんな感じです。

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常に光のスピードが同じというのは、直感的には信じられないことです。
しかし、これは実験から確認されている事実ですので疑いようがありません。

ただ、このままでは矛盾が生じてしまいます。
だって、どう考えたって秒速45万kmですれ違ってるはずですから。

ではなにが間違っているかというと、速さを求める式が間違っているのです。

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光の速度が変わらないのであれば、変わっているのは速度を計算している「距離」と「時間」ということになります。

それぞれ解説していきます。

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ここは配信で解説します。

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ここも配信で解説します。

最後に重力と時間の関係です。

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ここも配信で解説します。

帰宅してから速攻で作ったので目がショボショボになってきちゃいました。

インターステラー楽しみましょう!

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