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お兄ちゃんが結婚した


お兄ちゃんが結婚した。



母からLINEで一報がありまず思ったのが『きもい』だった。なぜだか分からない、けどどこか引いている自分がいた。


兄の結婚報告から半年経った今、改めて考えてみて、やっと私が兄の結婚を受け入れられなかった理由が分かった。
今日はそのことについて話そうと思う。
自分の気持ちの整理と兄に対するクソデカ愛も含めて。(ほぼラブレター)



私は自他共に認める超がつくほどのブラコンだ。
お兄ちゃんが大好きで大好きで大好きだ。
高校の時、周りの子がプリクラに好きな人の名前やアイドルの名前を書く中、私はお兄ちゃんの名前を堂々と書いていた。大学時代なんて同級生の男子と遊ぶよりお兄ちゃんと遊ぶ方がよっぽど楽しいな…って本気で思っていた。本当に幼少期から今までずっとお兄ちゃんが大好きだ。
で、これが面白いことに兄もまた私のことが大好きなのだ。私が大学を卒業後訳あって1年半ほど一緒に暮らしてたのだが、毎日私の部屋に遊びに来てた。寝ている私のほっぺを触っては遊んでいた。コンビニに行く時は絶対誘ってくれた。私の好きなお菓子を見つけた時は買ってきてくれた。
1番分かりやすく愛されていたなと思う。父や母よりも、お兄ちゃんは本当に私を大切に思い、可愛がり、愛でてくれていたなと感じる。そう確信できるほど私たちは幼少期から仲が良かった。相思相愛だった。




そして兄は本当に優しかった。3人兄弟の真ん中ということもあり、上からの傲慢さに耐え、下のわがままに翻弄されながら生きてきたせいか、誰に対しても、もちろん妹である私に対しても、とてもとても優しかった。
正直、初恋の相手はお兄ちゃんじゃないのかと思うこともある。多分顔がかっこよかったら恋愛感情を持ってた気がする。(ありがとう…お兄ちゃん…そこまでかっこよくなくて……) そのくらい兄のことが好きだった。
優しい、面白い、勉強ができる、運動も出来る、私の中で兄は多分1番最初に尊敬した相手なんだと思う。
いつも兄の背中を見ていた、兄の好きな音楽を聴いて、兄の好きなお菓子を食べ、兄の好きなものを好きになっていた。好きなタイプはお兄ちゃん!って答えている時もあった程、私の愛は大きかった。


そんな大好きな兄が、高校ではずっと続きてきたサッカーを辞め、大学では周りに馴染めず家に引きこもるようになり、就職すればストレスからタバコやパチンコを始めるようになった。
私はなんだか許せなかった。
見る見る変わってゆく兄を見た時凄く社会を恨んだ。兄をそうさせた社会や環境が許せなかった。
今の兄の現状を受け入れつつ、心の中ではいつも『お兄ちゃんがこんな事するはずない…』『お兄ちゃんは本当はもっと………』って気持ちが強かった。
なぜかいつでも悔しかった。



けど段々そんな兄の姿にも見慣れある時、あぁきっとお兄ちゃんはもう人生を諦めたんだなと思った。兄とそういう話をした訳ではない、私が勝手に感じたことだ。
身だしなみにも気を遣わなくなって、ちょっと太って、ストレスからニキビも増えて、そんな姿を見るとなんか勝手に、もうお兄ちゃんは期待とか、希望とかそういうのはいいんだな。と思っていた。一緒に暮らしながら人生に対する絶望や失意が垣間見えた気がしたから、勝手に本当に勝手にそう思っていた。




そんな矢先に、彼女が出来たと聞いた。
そりゃあまあ、長年ブラコンをしてきた身としては嫉妬した。妹の私にすらめちゃくちゃ優しいお兄ちゃん、彼女なんか出来たらそりゃあもっともっとスーパー優しいはず、兄の優しさが搾取されないか心配だった。
けどそんな事もなく、2人は順調に交際を進めていて、なんだか嬉しかった。一緒にご飯を作ったり、2人でお出かけしたり、クリスマスプレゼントにマフラーを貰い嬉しそうに身に付ける兄の顔はとても微笑ましかった。これは強がりじゃなく本当の気持ち。まぁブラコンを謳う妹として、多少の嫉妬は見せたけど、けどやっぱり嬉しかった。




彼女が出来たことは別に受け入れられた、けど結婚は無理だった。
なぜだろうと考えた時「置いて行かれた…」と思ったのだ。
え?話が違うじゃん……お兄ちゃんはもう人生に諦めてるじゃないの?幸せとか結婚とかそういうの手放したんじゃないの?いつ死んでもいいやと思いながら生きていたんじゃないの?生きることに執着してないんじゃないの?って勝手に取り残された気がした。
その当時は、私も人生に前向きになれず薄っすら絶望を感じながらを生きていたから、余計に受け入れられなかったんだと思う。
なんせ長年兄に憧れてきた身『兄が絶望を感じる程の人生私に生きられる訳がない』と思っていた。
ほんと滅茶苦茶な話。どうにかして自分の人生を諦める理由を探した結果がこれ。身近な存在の兄に押し付けてた。
まぁあの時の私を庇うとするなら、そうであって欲しかったんだと思う。私だけじゃなく兄もまた人生に絶望していて欲しかった。私だけじゃないっていう安心感が欲しかった。兄の少し怠惰な生活を私の願望にすり替えたんだよね。そうでもして自分の気持ちを正当化しないと耐えられなかったんだよね。間違っているけど、間違ってたって自分で気付いたから大目に見てよ。。




これは今になって思うのだが、兄は別に何も変わってなかった。兄はいつでも兄だった。
私が勝手に兄はこう思っているに違いないと言う理想を創り上げていただけだった。別に人生に絶望していた訳じゃなく少し面倒くさくなっただけ。私がただ単に兄のだらしない部分を見て、人生諦めてる!って決めつけてただけ。
怖い、、怖すぎるぞ私、、自分の先入観だけで相手もそうであると決め付けるなんて、あってはならない話。
他の誰よりも私が一番、憶測や偏見だけで自分を語られることが大嫌いなのに、それを相手にしていたなんて、、、
ごめんね。お兄ちゃん本当にごめん。勝手に決めつけて、勝手に引いて、昔から変わらず我儘でごめんね。。



兄は今の奥さんと出会って、今ある幸せを掴んだんだなと思う。その姿を見て『きもい』と思う自分どんだけおこちゃまなんだよ…どんだけ器小さいんだよ……本当にいつまでも幼稚で自分本位だな………
けど半年もかかってしまったけど、自分の気持ちを解明できたのは良かった。兄の結婚を受け入れられたのは良かった。受け入れられる余裕が出来たのは良かった。





お兄ちゃん、誰よりも本当に誰よりも、幸せになって欲しい。きっと優しいが故に、周りの不満を理不尽に浴びせられてきた兄、沢山我慢してきた兄が自分で掴んだ幸せを今は全力で応援したいと思っているよ。


私は今日も大好きなお兄ちゃんの背中を見ながら自分の幸せを掴みに行くね。お兄ちゃんみたいに。



結婚おめでとう。

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