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『上州武尊70k』でライバルと戦った話

俺たちのチームは諦めが悪い上にめちゃくちゃしぶとい

2019年9月22日、この年のメインレースであるレユニオン前の調整レースとして『上州武尊山スカイビュートレイル』の70kに参加した。
どうして140じゃないの?と思うかもしれないけど、1ヶ月前にそんな距離走ったら廃人になってメインレースどころではない。
適度に追い込めて、疲労回復も望める70k(実際には75k…)が適度と判断。

レースプラン

プランというか目標として以下2つを実行しようと思っていた

「レース中にジェルを使ってちゃんと補給すること」
「足を残してゴールすること」

レース中に補給ができなくなるのが弱点。
暑さとかじゃない。自分の場合はペースによって食べられる、食べられないが分かれるのがわかっていた。その為、今回は食べられるギリギリのペースがどれくらいなのかの確認をしたかった。
そして足を残すことは、レユニオンはこの距離の倍以上。この距離で足が売り切れになってしまうような走り方はしたらアカンな、と思い足に優しい走り方をするを心がけた。

ここからは
◎START~A3 ほたか牧場キャンプ場(第1エイド)
◎A3 ほたか牧場キャンプ場~A4 かたしな高原スキー場(第2エイド)
◎A4 かたしな高原スキー場~A5 オグナほたかスキー場(第3エイド)
◎A5 オグナほたかスキー場(第3エイド)
◎A6 赤倉林道分岐~FINIS
◎FINISH
のセクションごとに状況と気持ちを物語風に書いていく(笑)。

◎START~A3 ほたか牧場キャンプ場(第1エイド)
【距離】18.7㎞
スキー場の登りがキツい。。。
スタート直後はゲレンデを直登するセクション。見上げると人の列が連なり、その人たちがまだ先の見えない登りを進んでいっていた。
トレイルに入るまではいいポジションを取れるように「少し頑張る」という計画。2週間前に日光白根アセントでゲレンデ直登に慣れていた(このときはそう感じていた)ので、順調な滑り出しを見せた。
1つ目のゲレンデを登り終えると、走りやすい下りのセクションに入り、リズムよく下って行く。林道の登りを経て、武尊山の登山道へ。
登山道へ入る直前に140㎞のトップ集団とすれ違い、ものすごいスピードで通過する選手の中に須賀くん!
『ミキティさん!』『あ!須賀くん!頑張って』ほんの一瞬の会話だったけど元気をもらい本格的なトレイルに気持ちを奮い立たせた。
想像以上のテクニカルなトレイルに困惑しつつも、標高を上げるにつれて見える景色が美しく、山頂を通過するときの景色は絶景といっても過言ではなかった。思わず『きれーーー!』と叫んだしね。
その後、『え!?ココトオルノ?』的な刺激溢れる下りを堪能し、エイドに向かって下って行った。
ここで旅の仲間ができる。香港から参加者。下っている途中足を滑らせて転んでしまったときに声をかけてくれて、そこからいろいろな話しをしながらW2 十二様までほぼ一緒に進んだ。
武尊の難易度は高いらしく、香港では体験したことのないレースだと話してくれて、日本のレースの中でも相当タフなレースだよという会話をした。
そんなこんなで第1エイド到着。いつも通りエイドで補給をすると吐き気。。。トイレに入り、嘔吐。吐くとスッキリすることもあるけど、今回は気持ち悪さが増してしまい、不安を抱えつつもやめるほどではないし、時間はまだまだあるから回復することを期待して出発。

◎A3 ほたか牧場キャンプ場~A4 かたしな高原スキー場(第2エイド)
【距離】12.7㎞
またもスキー場の登り。キ、キツい。。。
最初のゲレンデ直登は慣れたもんだなと思っていたのに、すでに心をへし折られる。何度も振り返り、登った高さを確認し一息をつきながら一歩一歩進んだ。
『ゲレンデは冬にスキーを履いて登るところだよ』なんていう意味の分からないことを考えながら登っていた。ゴール後にこの時を振り返り、『ゲレンデはスキーを履いて滑るところだろ』という正解にたどり着いたとき思わず笑ってしまった。(今年から始めたskimoの影響はすごい)
この時もやっぱり気持ち悪くて、とにかく負担のかからないペースで進むことだけに徹した。ゲレンデを1つ。下ってまたもう1つ登り終わって、次のエイドにピットイン。
このエイドは私にとっては最高のご褒美エイドだった。MCが奥宮俊介さんことおっくん。
『ミキティ!前の女子とそんなに差はないよ~』と声をかけていただくも気持ち悪い。。。
『気持ち悪くて…どうしようか考え中です』と伝えると神のアドバイス降臨。
お茶を飲むと気持ち悪さ取れることが多いよ。あしラボ先生からの受け売りだけどね』この一言に助けてもらった。
かたしなのエイドにはお茶はなかったが、どこかでお茶が手に入れば復活するかもと思い、今は気持ち悪いけど次に進もうという気持ちにしてもらった。そしてエイドにいたスタッフのみなさんの暖かい励ましに背中を押され、次へと出発。

◎A4 かたしな高原スキー場~A5 オグナほたかスキー場(第3エイド)
【距離】16.6㎞
出走前の上州武尊のイメージはとにかく走れない、トレイルの激登りとゲレンデ直登だった。
実際に走って分かったことは、予想よりも走れる(走ろうと思えばだけど)林道が多いコース。何を隠そう走れるコースというものがとにかく苦手。
走れない部分と走れる部分がはっきりとしているメリハリのあるコースではあるものの、林道をだらだらしてしまうと時間だけが過ぎてしまう。
しょうがない。走らないにしてもガシガシ歩こう。パワーウォークは得意で、走っている人とさほど変わらないくらいのペースで歩くことができる。
走れそうなら走るけどそれ以外はとにかく歩きと決め、コースで言うところのつなぎ区間を凌いだ。
そしてもともとそんなに心拍を上げていなかったけど、林道を歩いたことでさらに心拍が落ち着き、気持ち悪さが少し軽減されてきた。
「心拍数が上がると吐く」ということはあるけれど、気持ち悪さも心拍数によってコントロールできるのかな?いい発見ではあったと思いながら、次のエイドへ駆け込んだ。

◎A5 オグナほたかスキー場(第3エイド)
ここで、ガチチームで切磋琢磨している仲間のまーそー先輩に追いつく。エイドに入るとカレーを食べていて、『速いよ』と言いつつもまだまだ余力ありげに話しかけてもらった。
ラーメンをもらい、おっくんからのアドバイスにあったお茶を発見しフラスクに入れ替える。
『じゃあ先にいくね』と、まーそー先輩。
この時、内なるMKTの負けず嫌い根性に火が付いた瞬間だった。ここ2年ほど、『勝ちたい』とか『順位を上げたい』みないな感情は現れず、ただただレースを楽しんでいただけだった。はっきりと『負けたくない。置いて行かれたくない』という気持ちが現れた。
エイドでの補給はしっかりと。だけどだらだら過ごしては置いて行かれるだけだ。補給すべきものは補給して、次のエイドまでの準備をして、まーそー先輩から遅れること数秒でエイドを飛び出した。

◎A5 オグナほたかスキー場~A6 赤倉林道分岐(最終エイド)
【距離】9.9㎞
事前に『走りやすい、走れるセクションだから足は残しておくといいよ』とのアドバイスをいただいていた。登りも続くけど、林道。走れなくはない斜度。林道に入る前、エイドを飛び出した直後はまーそー先輩の前にでて進むも、トイレに行きたくなりコース上にある公衆トイレに駆け込んだ隙に先行される(そりゃそうだ)
『くそー。ここ走るのか。。。』ぎりぎり見える範囲にまーそー先輩を捉えていたが、走っている。見える範囲から逃さないようにパワーウォークを中心に食らいつく。
しかし、登り切って下りに入ると、登りのときは捉えていたまーそー先輩の姿は見えず。。。
『くそっ。離されちゃった。けどこの下りで飛ばしても足が終わって最後のセクションつぶれてしまうかもしれないし、セーフティにしつつリズムよく下ろう』
脳内iPodは行きの車で聞いていた「それが大事」がエンドレス再生。
~負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じぬくこと~
『うん。負けない。投げ出さない。逃げ出さない。これまでの山遊びを信じて走るわ』
最終エイドでは、出発目前のまーそー先輩を確認し、手短に準備を進めすぐに出発。
RBRGTRCガチチームのスレットで『秒差』と盛り上がっていたことをゴール後に確認し、胸アツな展開をみんなが見守ってくれていたことに嬉しさを覚えた。

◎A6 赤倉林道分岐~FINISH
【距離】20.1㎞
林道の登り~ハセツネコースを彷彿とさせるギザギザトレイル。そしてテクニカルな下り。ここまで抑えて走ってきたから足は元気。
さらにお茶を飲んで気持ち悪さが抜けてからは計画通りにジェルを補給できているため、エネルギーも満ち満ちしている。
信越で超絶ストロングフィニッシュをかました仲間の投稿を見て、『ストロングフィニッシュしたい』という気持ちはあった。
そして秒を争って戦っている。
『ここで走らなくていつ走るんだ?』
男女総合でもまぁまぁよいポジションにいたため、このタイミングではほとんど人がいない。トレイル独り占め状態に近く、ただただ自分の走りに集中をし始めた。
最終エイドを出て少し進んだところで好敵手まーそー先輩をパスした。
けど、いつも練習しているからわかる。俺たちのチームは諦めが悪い上にめちゃくちゃしぶとい。気を抜いた瞬間に刺されるんだ。
残り18㎞くらいはあると思われる道のり。一切気を抜くことができない戦いをしつつも、余計なことは考えずに走りに集中する。
幸いなことに最後は自分の好きなエグさのあるアップダウンの続くコース。走れるとことはひたすら走り、走れないところはパワーウォークで攻める。
あと10㎞。まだか。。。まだゴールは来ないのか。。。
最後のウォーターステーションを通過。
『明るいうちにゴールできるんじゃないかな。最後まで頑張って』

◎FINISH
11時間45分17秒。
日が暮れる前にゴールにたどり着いた。
目標にしていた、『補給をする』は途中気持ち悪くなったため、完遂はできず。。(食べなくても走れる体つくりというのを3年くらいかけてやっていて、補給はそんなにいらないけど、食べれた方がいいんだよな)
『足を残す』こっちはバッチリ実践できた。翌日もそこまでひどい筋肉痛も来ず、うまく走れたと思う。
なにより、ライバル(勝手にライバル視)との戦いが、楽しむだけのレースから勝負を楽しむレースへと押し上げてくれて本当にいい結果になった。

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また何かのレースでバチバチやり合いたいものだ。

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