6月9日。


6月9日。


3年前の今日、私の祖父は亡くなった。



祖父は北海道の人だ。

愛知で生まれ、静岡で育った私には、なかなか会いに行くことはかなわなかった。


数度北海道に行った。 夏と冬。

祖父母は私をとても可愛がってくれた。

一緒にお風呂に入った。 一緒に将棋をした。

一緒に釣りに行き、かまくらを作り、霧や白鳥を見に行った。



数度旅行に行った。

箱根に行った。 伊勢にも行った。


会った回数は少なかったかもしれないが、私の中には楽しい記憶が、思い出が、たくさん残っている。




祖父は、器用で、優しくて、マメで、なんというか大きな人だった。

クマや鳥の木彫りも作ったし、パソコンも使った。

家のこともなんでもやった。

そしてこちらを見てはにこにこしている。そんな人だった。



中学3年生の夏。祖父母が私の家の近くに引っ越してきた。


しかし、私は受験シーズン。高校に入ってからも生活は忙しく、一緒に遊ぶことは数えるほどだった。



そんな祖父が、肺がんになった。

大きかった体はどんどん痩せ、元気はどんどんなくなってゆく。

家での療養は難しく、祖父は施設に入った。



施設に入ってからは毎日会いに行った。

元気なうちにもっと遊べばよかった。そんな後悔を覚えながら。



祖父が亡くなる瞬間。私は祖父の手を握っていた。

あ と思ったその時、祖父は亡くなっていた。





私が高校を中退した時、祖父は何を思ったのだろう。


今の私を、祖父は褒めてくれるだろうか。



6月9日。 23時45分。

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