「研究力低下のほんとうの理由」文科省要請でのスピーチ〜全院協の要請行動2019に参加しました〜

「研究力低下のほんとうの理由」文科省要請でのスピーチ〜全院協の要請行動2019に参加しました〜

どうもmkepaです。
一昨日、全国大学院生協議会の主催する省庁、議員、政党への要請行動に参加してきました。

文科省要請の際に数分スピーチの時間があり
「Change Academiaでこれまで活動してこられてお感じになっていること、例えば文科省の高等教育・学術政策や就職・ポスドク問題にたいする問題意識、あるいは把握している実態などを、お話しいただけないでしょうか」
とのことで、お話する機会を頂きました。

そのとき発言した内容を以下に残しておきたいと思います。

「研究力低下のほんとうの理由」

私は大学院の修士二年生で、専攻は数学です。修士課程は学費が無料ということもありフランスで入学し、4月に帰ってきました。

それで、日本の大学院生、若手研究者を取り巻く環境について、思っていたより深刻だなということに気付きました。

経済的負担をここまで学生個人が負っている国というのが日本以外ほぼなかったんですね。
そもそも何十万という大金を毎年納められる人じゃないと、研究者にはなれない。大学院にすら行けません。それが前提になっています。
これは、アジアの国々と比較してもかなり特異なことです。

SNSで意見を発信するようになったのが、この5月、半年ほど前です。

その発信を見た大学院生がTwitterなどを通して連絡をくれて意見交換をするようになり、その延長でいまあるChange Academiaという大学院生を中心とする若手研究者の団体が出来ました。

その活動、おもに発信と連帯、を通して感じたことを少しお話しします。

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大学院生が直面している問題は主に、貧困、差別、アカデミック・ハラスメント、これらが是正もされなければ取り締まられないことに起因しています。

貧困の主な原因は、高額な学費や税金の負担がもちろんあるのですが、それ以上に深いのが、「研究という労働に対し殆どの大学院生は給料が支払われていないこと」です。

そのこともあり、一般学生、つまり社会人からの復帰や留学生を除いた、博士課程への入学者数は減り続け、今は20年前の半分以下の6000人台です。

それとともに囁かれているのは、大学教員の研究時間の減少です。職務活動のうち、研究に割く時間は15年前に比べて3分の2程度になっています。大学教員までもが労働時間内に研究以外の実務に多くの時間を割くことを要求されています。

このことは文部科学省の調査で明らかになっており、院生もいなくなるわ、大学教員の研究時間はなくなるわで、じゃあ一体誰が研究するんだ、ということで研究力低下が危惧されています。

そのことは現象としては間違いありません。
しかしもっと大事なことは、「大学院生への給与未払い」と「大学教員の研究時間の減少」の二点には、共通した原因があるということだと思います。

大学教員が給与を支払われていることに異議を唱える人はいません。それは「教えていることに対して給料が支払われるのは当然だ」と人々が考えているからです。

しかし、「大学の先生は研究をしているから、給料を支払わねばならない」という考えをしている人はとても少ないです。当事者である研究者や大学教員達ですら、この感は拭いきれません。

「研究は労働ではない」という感覚が共有されている、つまりこの国では、「情報伝達である教育には金銭的対価が生じて当然だというコンセンサスがあるが、そのコンセンサスは、情報生産である研究に対してはない」んですね。

多くの人がこのことに気づき、見直すべきときが来ているのではないかと私は考えています。研究力向上に向けた本質的な立て直しのためには、暗黙に共有されてきたこの考え方にこそ問題があるということに多くの人が気付き、
「ではなぜ研究は労働なのか」
「学術研究を公的支援する正当性は何か」
ということをまずは研究者が、そして研究関係者に留めることなく、一般市民とも問題意識を共有し考え、議論の機会を持つことが必要だと感じています。

このような意見を発信することで、みなさんがどのようにお考えになるか、引き続き、皆さんのような行政の関係者、大学関係者、そして今後大学進学を考える子どもたちやその周りの人達と、やりとりしていく場を作っていくことが大事だと感じております。

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