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⚠scamに注意⚠ あなたはMurakami Flowerを失わないで

本日、2023年7月8日、scamサイトへの接続が原因でMurakami Flower 2点とRTFKT Animus Egg 1点を失いました。同じ被害を受ける方を一人でも減らしたい思いから、自分への戒めを込めて書きます。

Murakami Flowerを失うまでの過程

始まりは以下のツイートを見かけたことでした。2023年中の予定だったRTFKT Animus Eggリビール(注:購入時にはすべて同じ絵のNFTについて、それぞれ個別の絵が公開されること)が急に来たんだなと思いました。

RTFKT Animus Eggのリビールが開始されたように見えるツイート(白抜きの赤枠部分はリンクが記載されているのですが、二次被害防止のため隠しました)

ツイートにはリンクが記載されていて、とくに疑問をもたずクリックすると以下のページに遷移しました。

ツイートのリンクから遷移したページ

「I accept terms and conditions」にチェックを入れ、CLAIM NOWをクリックすると、Chromeの拡張機能のMetamaskがポップアップし、署名を要求されました。署名後、Webページの画面自体は特に変化せず、MetamaskからはPolygonなどのイーサリアムメインネット以外へのチェーンへの変更をこのページに許可するかというポップアップが現れ、何度かAcceptしてしまいました。直後、嫌な予感がしてOpenseaを確認してみると、

OpenSeaのアクティビティページ

Animus Egg 1つを無償で転送、Murakami Flower 2つを非常に少額で販売した形となってしまいました。

どこでなにを注意すべきだったか

ツイートに遡ってみましょう。このツイート主はRTFKT Co-Founder Benito氏を騙る偽物でした。

Benito氏を騙る偽物

ツイートを見た際、「あれ、私ってBenito氏をフォローしていなかったっけ?」と一瞬は疑問に思ったのですが、アカウント名の右の認証済マークや、フォロワーの多さを見てすっかりその疑問は消え去ってしまいました。

しかし、冷静にあとから見返している今だから言えるのですが、

  • 私がフォローさせて頂いている方々がこのアカウントを全くフォローしてないことを怪しむべきだった

  • このツイートだけを唯一の情報源とせず、Discord等他の情報源も併せて確認するべきだった

  • 青い認証済マークは、過去のように信頼できるアカウントを必ずしも意味しないことを思い起こすべきだった

これらの反省点がふつふつと挙がってきます。皆さんも是非注意頂ければと思います。

税金計算はどうなるのか

盗まれてしまったものは仕方がありません。私の関心は、NFTの盗難被害の税金計算面に移りました。

国税庁発行の「NFTに関する税務上の取扱いについて」を見てみる

令和5年1月に国税庁から「NFTに関する税務上の取り扱いについて」が発行されています。QA形式で構成されており、問5として「第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合」の記載がありました。

(答)第三者の不正アクセスにより、購入したNFTが消失した場合の所得税の取扱いは、次のとおりです。
・ そのNFTが生活に通常必要でない資産や事業用資産等に該当せず、かつ、そのNFTの消失が、盗難等に該当する場合には、雑損控除の対象となります。
・ そのNFTが事業用資産等に該当する場合には、その損失について、事業所得又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。

NFTに関する税務上の取り扱いについて, 令和5年1月13日, 国税庁

まず、NFTは「生活に通常必要でない資産」に該当するということがネット上で散見されました。その場合、雑損控除の対象になりません。

(注1)生活に通常必要でない資産とは、次の資産をいいます。
① 競走馬その他射こう的行為の手段となる動産
② 主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産
③ 貴金属、書画、美術工芸品などで 30 万円を超える動産

NFTに関する税務上の取り扱いについて, 令和5年1月13日, 国税庁

では、経費に算入することはできるのでしょうか? NFTが事業用資産等に該当する場合、経費算入が可能と書かれています。

(注2)事業用資産等とは、棚卸資産又は業務の用に供される資産(繰延資産のうち必要経費 に算入されていない部分を含みます。)及び山林をいいます。

NFTに関する税務上の取り扱いについて, 令和5年1月13日, 国税庁

うーん。パッと読んだ感じでは経費算入は難しいように読めます。

盗難と売却、税金面での扱いの謎

私の今回の被害の場合、

  1. Animus Eggは無償での転送扱いのため、事業用資産等に該当しないのであれば、雑所得の金額の計算上、損金に算入することができない

  2. Murakami Flower 2点は(実質は盗難ではあるものの)、少額で売却した扱いとして、購入時の金額との差額を損金に算入することができる

と解釈しました。でもこの解釈はなんだか理不尽な点を含んでいます。つまり、1番については2番と違い、一切の金銭的な対価を得ることも無しに損金に算入することもできないという踏んだり蹴ったりとなってしまうという点です。

もう少し調べて、分かったことがあれば追記したいと思います。

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