YOASOBIの『ハルジオン』について
ついに私のYOASOBI考察も3作目。今日は『ハルジオン』についての考察。
『ハルジオン』の原作は『それでも、ハッピーエンド』。小説の概要は、社会人となりその多忙さゆえに付き合っていた彼氏とも別れ、会社も辞めて引きこもり状態となった女の子の話。そんな時に大学の同期の友達から連絡を受け、その友達の言葉をきっかけに再び絵を描く決心をする。彼と過ごした幸せの日々を思い出しながら、彼と過ごした街をカンバスに描き、徐々に本来の自分を取り戻し立ち直っていく。そんな感じの内容だ。
この小説の大部分は、この女の子の現実の話、彼との思い出の回想、大学の同期の友達とのやりとりと言った具体的な内容に終始する。その為『ハルジオン』の歌詞と見比べてみると、Ayaseさんが作詞の際に肉付けした部分がかなり多いと感じる。とはいえ、歌詞の所々には原作の景色が散りばめられて決して逸脱していない、絶妙な歌詞であると感じる。
そして最大の謎はタイトルの『ハルジオン』。2番の『境界線の向こうに咲いた鮮烈な花達も』という歌詞とともにMVで花の絵がたくさん飾ってあるシーンがあるが、これは原作内で大学の友達の個展に誘われて見に行ったシーンの再現である。この時に友達に『あんたも描いてみれば』と言われたのをきっかけにこの女の子は立ち直るというキーポイントでもある。ではなぜタイトルの花を『ハルジオン』にしたのか。正直あまり聞きなれない花である。まさかと思って、花言葉を調べたら『追想の愛』。思わず私は言葉を失った。そして胸にストンと落ちた。
この歌のリズム・メロディーの代表的な部分と言えば2番の冒頭の部分だろう。1番の間奏明けの直前から突如リズミカルにガラッと変わり2番に突入する。ここからサビまでは畳みかけるように歌詞が連なり実際にここを上手に歌い抜けると実にスカッとする部分でもある。そしてラスト前にYOASOBIお馴染みの転調。原作タイトルの『それでも、ハッピーエンド』の名の通り、女の子が前向きに立ち直る歌詞と共に最後の盛り上がりを迎え歌は完結する。
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