序盤をデザインする
たまには真面目に将棋の話。
将棋の序盤は、基本的に自分の好きなように陣形をデザインできるということ。ただし、相手の駒組みによってはできないこともあるということを伝えます。
矢倉の序盤戦で、いま相手が△52飛と回ってきたところがテーマ図。
(1)失敗例
先手が矢倉囲いを目指すのであれば、ここで▲77銀と上がります。
しかしこの手に対して、後手は△55歩▲同歩△64銀と攻めてきます。
こうなると、以下▲67金右△55銀と進むことが予想されますが...
▲57銀△56歩という進展が一例で、後手に中央を制圧されてしまいました。これは失敗。
2.成功例1
テーマ図に戻って、矢倉の形に組むのであれば、相手の意図に注目して▲67金右がセンスある駒運び。
以下先ほどと同じように△55歩▲同歩△64銀なら▲57
銀右として...
ついで△55銀には▲56歩でしっかり中央のバランスを保つことができます。これは一局の将棋。
ただこのあと、矢倉囲いに組んだ後の角の使い方がむずかしいと予想できたら有段者の序盤感覚。
3.成功例2
テーマ図では、▲67銀と立つのも有力な一手。
現代で流行の雁木囲いですね。
後手が同じように△55歩▲同歩△64銀としてきたら、
ここから、▲57銀△55銀▲56歩でしっかり銀を追い返せました。
この囲いならば、のちのち▲65歩と突いて角筋を通すことができそうですね。
4.成功例3
テーマ図では、▲46歩もあり得る一手。
△55歩▲同歩△64銀には▲67金右とします。
ここから△55銀で困ったようですが、▲47銀が用意の構え。
△56銀からの突進を防ぎ、△56歩は打たせて指す方針。
中央で相手の銀が威張っているのが癪ならば、すぐに▲57歩として相手の位を消しに行くのがいいでしょう。
以下△57同歩成▲同銀△56歩には...
56の地点が数で足りているので▲56同銀右から清算して中央の勢力圏を回復しました。
一歩得なのも大きい。
まとめ
テーマ図からは、ふつうの矢倉囲い、雁木囲い、▲46歩型といろいろな囲い方が考えられ、いずれも一局の将棋ですが、矢倉をいそいで▲77銀を優先するのは中央の主導権を奪われることになりそうです。
序盤は自由で不自由ですね。
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