取られたら一拍おいて取り返す
「取られたら取り返す」というのは将棋の基本動作のひとつです。
歩を交換する、銀を交換するなど、持ち駒を増やしたり攻め駒を前に進めることによって、将来の攻めの可能性がひろがります。
このような形で、図の▲24歩からは、△24同歩(歩を取られる)、▲24同飛(取られた歩を取り返す)という動作がワンセットです。
今回紹介するのはそのちょっとした応用形。
取られた駒をすぐに取り返すのではなく、1手の工夫を入れることによってスムーズな駒運びを実現します。多くの場合、飛や角の活用のために使われます。
こちらが問題図。後手の持ち駒を表示するのを忘れてしまいました。あまり関係ないですが、いろいろと持っている前提にしましょうか。
この例は詰将棋ではありません。寄せといって、玉を追い詰める作業をしていきましょう。馬が進撃していきたいですね。
普通に考えれば▲72金(図)
△93玉と玉が逃げた時に▲73桂成(図)とする。いわゆる数の攻めですね。※圭は成桂のこと
しかしここでは△63銀(図)と馬を取られて失敗します。
ちょっと馬の動きが遅かったようです。
そこで出てくるのが今回のテーマ、「取られたら一拍おいて取り返す」です。損して得取れと言い換えてもいいかもしれません。
先に▲73桂成(図)と捨てます。△73同銀に対して、そこで▲72金(図)と打つ。
こうすれば以下△93玉に▲73馬と、スムーズに移動できましたね。
これが将棋のリズムです。
続いての例。
▲21飛成という手がポイントになる、というのがヒントです。
しかし単に▲21飛成(図)では、以下△21同玉。
そこで▲23銀成(図)とすれば、数の攻めという観点では敵陣を突破できましたが、すこし不満が残ります。
以下△31玉(図)で玉を逃します。
手順を入れ替えてみましょう。まずは、損をする▲23銀成(図)。
これは△23同金と取るしかありません。そこで先ほどの▲21飛成を実行します(図)。
これも△21同玉の一手。そこで▲23飛成(図)とすれば...
どうやら見えてきましたね。後手が何を合駒しても▲32金(図)までの一間龍の詰み!
ちょっと手順を入れ替えるだけでスムーズに飛がなることができたというわけ。
最後に練習問題です。
八枚落ちの古典定跡に出てくる局面。
ここから、うまく後手玉を寄せてくださいな。
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