手番のはなし

今回は似た形でも手番が違うと結果も違うねというお話。

さて、一間龍(いっけんりゅう)は寄せの好形とされています。

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このように、攻めの龍が玉を1マス開けて(1間トビに、いっけんとび)対峙している形のことです。

一間龍の王手に対しては龍と玉の間に駒を打って王手を防ぐことが多いですね。このように、玉と、王手をしている飛、角、香の間に割り込んでくる守り駒を合駒(あいごま)と呼びます。

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合駒の守りに対して、一間龍の場合は龍と玉のななめに駒を打って王手を継続するのがコツです。

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合駒は香としましたが、これが金だとしてもこの合駒は王手をかけている銀を取れません。この場合は玉が逃げるしかなく、以下▲32龍で詰みになります。

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話を本題に移します。一間龍の形は「王手を継続できるときには」寄せの好形です。しかし一間龍の形じたいは、相手の手番だったとしたらそれほどいい形でもないかもしれません。

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この形、もしも相手の手番で、相手がなんかしらの持ち駒(たとえば金)を持っているとすると、持ち駒を打って龍を弾いてくるでしょう。


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終盤は速度が大事とか、手番が重要とかいうのはこのあたりのことを指しているようです。龍を弾き飛ばされてしまった最後の図は、結果的に相手に「大駒は近づけて受けよ」を実践されてしまったのと同じことですね。

【まとめ】

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・相手が守りに適した持ち駒を持っているときは、1手かけて龍が近づいていく手は有効になりづらい。(したがって上図で後手玉を寄せるのは困難)

・代えて、王手で一間龍を作れる形は敵玉を詰ますチャンスになりやすい。


【参照】

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小学生に指導していると、このような形からひたすら▲24歩と打ちなおしてくることがあります。

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ここから△24同歩▲同飛となった形じたいは好形です。

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次に▲23歩と打てれば角が取れますね。

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しかし▲24同飛と取った局面は、構造的にかならず後手番になりますので、△23歩と打ち返されて手番をうしなうだけに終わります。

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※ここから▲28飛と戻った局面は最初の図でパスしたのと同じですね。もったいない。

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そういうことがあるので最初のこの図では、▲38銀などとして右銀を使って棒銀をしましょうね、という話の流れになっていくわけです。

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