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おまつり出店

本当にひさしぶりの「おみせやさん」
大きな空の下 広々としたはらっぱで開かれた
はらっぱまつりに 懐かしの「ウタカタカフェ」の屋号で出店
結果的には、秋晴れの気持ちの良い風が抜ける
素晴らしく気持ちのの良い一日だったのだけど
前日は曇りで予報も芳しくなくて
大量の材料買い出しは不安な気持ちだった

それ以前に
外出店用に手洗いの蛇口付きポリタンクから
お店用のテント(3方向を、少なくとも2方向を囲う用にとの指定があり)
脚が辛くなるのを見越してキャンプ用の椅子とテーブル
飾りつけのピカピカ点滅するストリングライト
なんかの什器をネットやリサイクルショップを回って探し購入

メニューをなんとなく絞って
キャンプ用のオーブンを購入を決める
(赤くて可愛いしアイコンになる 
オーブン料理を仕込んで搬入して
販売時にホカホカにして提供したら喜んでもらえるかも!)
メニューを具体化させたら
コストとスタイリングを考えて容器やお皿や木製フォーク
なんかを100個単位で発注して…
部屋の傍に積まれていくダンボールの小山

アウェイ感も予期されていて不安はいくらでもつのる

直前まで悲観的になるのはいつものこと
やることを精一杯やってみて
全然ダメでも とにかくやれることは全部やってみて
達成感だけはめざそう

そんな悲痛な気持ちも
前日の車にいっぱいの買い出しでスイッチがはいる

それぞれ100個以上のキッシュとマフィンとクリームブリュレを朝までに焼く
(そして粗熱をとっておく ブリュレは冷やすとこまでもっていく)
チーズを1kg以上 植物性の生クリーム200cc×6個
卵6パック 粉物は何kg?
塊のベーコン ほうれん草も泥付き長葱の大束 
ダンボールに食材を詰め込んで 家のキッチンに運び込む

前日 すぐにも作り出したいけど
その日にはその日の仕事があって
早く切り上げたい気持ちと裏腹に即納期の受注が多く(本業デザイン)
結局1個目の卵を割ったのは夜8時くらい
その時点で頭は使い切ってるけど…

それでも考える計算する
その間にも手を動かす

100個焼きたかったら
焼きに20分 一度に20個焼けるとして100分
クリームブリュレとマフィンはそれくらいかかるけど
キッシュは時間が少ない分大きいから一度に焼けるのは6個
粗熱を取ることも考えたらつくる順番は決まってくるし
焦らない急いでも焦らない
洗い物や整理整頓をこまめにいれておくのが
スペース確保や道具の循環に重要

そんなことも1時間も作業にはいれば思い出す からだが 勘が

毎週末サロンをやっていた時代
高円寺で小さなギャラリーカフェ をやっていた6年間
曙橋でギャラリーをディレクションしてた頃(少し社食もやってた)
こうやって水に手を濡らし
包丁を研いでは野菜を刻み鍋を見守りオーブンを覗き込み
果物の熟成を確かめボールを抱え泡立て器を振るい
失敗を積み上げ(家庭内消化)
幾晩も何時間も過ごしてきた

空が白んできて
まだオーブンは最後の焼きにはいっていて
キッチンはピカピカで
焼き上がったお菓子がバンジュウに詰め込まれ
入りきらなかった分は積み上げられ
搬入へ出発する朝が来た

おまつりの持ちまわりの係を担当してくれるちびちびをおこして
相棒さんが車にどんどん詰め込んでくれるのを
時間が間に合った奇跡に感謝しつつ
シャワー浴びて着替えて過剰にあたたかグッズも用意して

笑顔で とにかく笑顔で一日が過ごせますように

リヤカーではらっぱの指定駐車場から
おみせの振り分け場所まで
什器を道具を仕込んできた食品を運ぶ
力もなく痛めやすい身体になってしまったので
ここは無理をしないことが
一日をはじめる約束だから
リヤカーのおしりに手を添えて落下防止するくらいしかできない
それでも息が切れた
ほとんど全てをひとりで運んでくれた相棒さんに感謝しかない

水を汲みに行ったり
おみせのかたちを組んだり
オーブンを温めたり
そんなことしてるうちに
青くぬけた気持ちのいい秋晴れの空の下
たくさんの人(と、犬)
オーブンがあたたまるころには
あっとういうまに林檎のケーキはsoldout
キッシュもあたためるのが間に合わず
「散歩してきてくださーい」なことに
ほとんどチョコレートなマフィンは
オーブンの熱が高くなりすぎると直火にあたってなくても
焦げてしまうから
扉をあけたり閉めたり温度調節
あたたかいマフィンはあたためて
手のひらサイズのお皿に金のカップ山盛りに焼き上げたマフィンを乗せて
仕上げにお好みでチョコレートソースか蜂蜜をかけて
小さな木のフォークをそえたら
女性や小さなお子さんにとても喜んでもらえた
(野外の環境で熱々に粉糖はうまくなかった)
あれあれ?って ひっきりなしのお客様に応えていたら
係を終えてちびちびが会計の助けをしてくれて
結局15:00すぎには全完売

へたりこむ
そして頭を抱える

その時点で仕事明け作業あけからのオープンで
体力的には限界
おまつりの2日目分も全部売り切ってしまったし
相棒さんお店は現地調理もするから
まだ全然賑わってるし
そもそも車がだせない

材料も容器もほとんど使い切っているから
明日の分の買い出しを
初日のおまつりが終わった時点で行かなくちゃいけない
容器の形は同じものは見込めないから
メニューをかえなくちゃ

きてくれた友人にも笑われる
結局soldoutで味わってもらえなかったので
2日目もきてくれる人には確保しておいた

これから?と、いうか夜から
また買い物して仕込むの?できるの?
ま、やるしかないし どうにでもするんだけど
先にちびちびに容器探しの旅に出てもらう

実はもうあんまり記憶がない
初日の片付けしたら
その車のまま大型スーパーにいって
容器をまずさがして
その場でいくつかメニュー決めて追加して
2日目の仕込み
朝方3時間くらい眠ったような気がする

塩麹漬けの鶏胸肉と豆と胡瓜のピクルス
バナナと林檎のプチパイ
初日と同じく少しサイズとプライスダウンの
長葱とベーコンとほうれん草のキッシュ

やっぱり2日目も素晴らしい天気で
お子さんもたくさん
有名な俳優さんをはじめ何組ものお客様が 
恒例散歩に行ってしまった相棒さんの店を
ずっと待っていてウケた

おまつりは甘いものより惣菜系やおなかを満たしてくれるものが
どこも長蛇の列で
パイがちょっと苦戦したけれど結局初日と同じくらいでsoldout

友達とおはなししたり
散歩もちょっとして
相棒さんのおみせは現地追加調理でずっと賑わっていた
夜を待って
どこのおみせもランタンやライトがあたたかく輝いていて
夢かな…って意識が飛びそうなくらいの疲れと達成感とハイのあとの虚脱感で
終わったらお風呂屋さん
って 思ってた

はらっぱからおみせがたたまれて
ひとつずつ灯りが消えて
もちろん車までリヤカーで荷物を運ぶ最後の行軍を経て
おまつりを終える
(星空の下 細い土手をランタンを揺らしながら連なって進むリヤカー行軍は
離れて眺めると童話的な感動の美しさだった)
最後はライトでひとつのゴミも残していないかエリアのチェック

奇跡的な技術で荷物を積み込んで
後部先にちびちびが座り込めるスペースも確保してくれた相棒さんの運転で
一番近いスーパー銭湯に
そこまで着くとみう脚がガクガクで
まっすぐ歩けない

それでも
おつかれさまー!
って、あたたかなお蕎麦を2日間ほとんど空っぽな胃にいれて
2時間くらいお湯に浸かって
荷下ろしを諦めて溶けるように眠って
本業リミットで朝目が覚めたら
からだはなんとか回復してた

これで私は大好きなこの街を去る
最後の大きな思い出

午前中にデザインをいくつかこなして
nootbookをリュックに放り込んで
片付けのはらっぱにもどる

もどるも、ほとんどできることもなく
午後には  この街にいる間にもっと通うつもりだったなって
カフェに行って仕事する

坂が難所でほとんど使わなかった自転車で走り回ってみると
緑が豊かでかわいい小川に脚を浸すことも
その緑地帯は散歩に誘って路地販売の野菜も美味しくて
美しく源泉を保持する水神様の神社もあって
空がおおきくて
だいすきなだいすきな街だった

なんではなれることになったのか
離れることを選んだのか
全然釈然としていない

いまはもう こんな素晴らしい街で
少しの間暮らせたこと
(おうちもだいすきすぎて契約が決まって
鍵を入手するまで通ってストーカーをしてた)
感謝するしかない

ありがとうありがとう
ありがとうございました

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