見出し画像

新型コロナQ&A


===============================
 新型コロナウイルス(COVID-19)Q&A (2020/05/04, 17)
===============================
この「新型コロナウイルス(COVID-19Q&A」は、日本情報倫理協会(JANL)の会員がそのメーリングリスト上で行った質疑応答が元になっています。本Q&Aの公開に賛同して下さった大阪府の「一学生さん」に感謝します。
           連絡先:水野義之(mizuno@kyoto-wu.ac.jp)

Q(ー学生さん):新聞・NHK報道では素人に納得できるものでもない。これは、素人に理解できないような専門会議報告のようなもの。

A:専門家会議は、そのミッション(科学的根拠を持った予測)に対応した仕事をしておられます。特に西浦博北海道大学教授は、この分野で世界一だと、専門が近い友人が言ってまして、実際に、ほぼ計算通りに推移しています。例えば、8割削減なら1ヶ月で終息予測と言ってました。しかし少し足りず、今の結果になりました。今後は、地域ごとの実情に応じて減らし方を変えて、今後1ヶ月やることになりそうです(途中での見直しも、予定)。予言通りの結果になりました。そして今後は、仮に実効再生産数が0.5近くを目指すのであれば、その理由は「今後できるだけ早期に終息させる」ため、でしょう。


Q:例えば、岩手県の場合、感染者がいない。その実効再生産数は、どのように設定されるのですか。

A:特別警戒地域の13都道府県は別扱いです。今までの方針が継続されるようですね。そして十分に下がる(医療資源が、既存の診療活動を圧迫し過ぎないレベルにまで、感染者の増え方が下がる)ことを見極めなければなりません。他の34県は、それぞれに条件をゆるめた上で、独自性も持たせる模様です。詳細は発表待ちかと思います(2020年5月4日現在)。


Q:東京・大阪の場合、仮に新たな陽性者が加わった(中国武漢からの)場合、実効再生産数の条件設定は?

A:今まで通り、8割削減を目指して、継続されるようです。なぜなら、分析の結果、減少率は、非常に「まばら(まちまち)」であることが分かったからです。これは必然的に(必要に応じて、の結果として、減らせなかったので)そうなるとしか言えません。またこれ以上の削減は、自主的には無理ではないでしょうか。だから継続という答えだと思います、感染症の専門家としては。


Q:今の日本の、実数(実効再生産数)は、すでに0.34までになっています。なぜ0.5前後の緊急延長議論がされているのか。

A:実効再生産数は、微分係数(の係数部分の一部)なので、それをしばらく継続しない限り、値そのもの(つまり、傾き=変化率ではなくて、値そのもの)を減らせないからです。値まで減らすには、時間がかかるからです。


Q:三密は高年齢層には、マストとおもいます。大体今回のコロナは昨年の後半(9-10月頃)に中国で発生していた。(中国医療関係者が気がついた。おかしいと)丁度そのころは、中国人が爆買いでデパート・有名電気店で遭遇していた。

A:2019年末に、中国でも気付いたレベルでした。だからまだ100人〜1000人程度だったとしましょう(平均500人程度)。それでも15億人の300万分の1です。だから、例え年末年始の1ヶ月に300万人が中国から日本に爆買いに来ていたとしても(年間総計3000万人ですから)、この中に感染した中国人がいた確率は、わずかに300万人/300万=1.0人程度、あるいはせいぜい1人、くらいしか、いなかった、と言う計算になります。この計算は、日本で1月15日頃に最初の患者発見という事実と、矛盾しません。


Q:だから、高齢者の感染・免疫・抗体から、常在菌感染(未発症だが保菌者 そして再生産力が大きい)

A:ここの「だから」の意味がわかりません。中国から来ている人は有名電気店にいくとしても、日本の高齢者は、そういうところにはあまり、行かないのではないでしょうか?

Q:爆買いのバスが着くのは大体10時頃。この時間帯は、現役ビジネスマンは会社で。一方の高齢者(60歳~)は、電気店にゆきます。夕方~夜には行かない。購入品を立ち上げ時間で。実際、私めも中国団体に、もまれながら、日本語セールスと商談がやっと。
東京の電気店は 中国資本に、ほぼ買収されている現実で、中国語セールスは高給で取り合い。現実です。百貨店、高級ジュエリー、時計店、日本人は隅っこで安価な中国製時計を買っています。いまや精工舎のTOP商品はほぼメイドインチャイナの現実。
話変わって、さる工務店の店長談「たとえ5月末で緊急宣言がとかれても、部品・材料の調達を考えると、6月末ごろまで、工事は再開は出来ない(サプライチェーンは、電気のスイッチONで即工場が動くのではなく。)」段取りが必要なのです。これがコンピュータとは違う。政府は、段取りの観念感覚ゼロ。アア。

A:なるほど。よく分かります。ご指摘、ありがとうございます。その通りかと思いました。


Q:
一方、若者は感染して発症しても自然免疫時点で、マクロファージ、T細胞、キラーT細胞で炎症を起こす(判りやすい)

A:それは、そうみたいですね。


Q:だから地域毎から年齢毎の分別が有用では。孫たちの自宅訪問はダメの措置(年寄り家族は、全員保菌者扱いの対応計算、との概念です。三密生活は年寄り家族。若者は、三密解除で社会活動再開の条件での実行再生産数設定を、ご提案します。

A:ここは、賛成です。死亡率が、こんな風に、高齢者で非常に高いです。だからますます賛成です。若者には、規制解除でもいいかもしれませんね。

画像1


出典:https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/


Q:ウイルスの初期では圧倒的な感染力がありだから、1-2週間で世界(アジア)のパンデミックが発生します。

A:いえ、そうはなりません。理由は以下の通り。最初は一人とします。中国のデータで(=全員が未感染状態で)、初期のデータから、基本再生産数が5くらい、2日に2倍になる程度です。すると、20日で2の10乗=1000人程度です。この段階で発見された。だから12月初旬に発生していた、という推定になります。

画像5

出典:Update January 31: Modeling the Spreading Risk of 2019-nCoV
By Lauren Gardner, January 31 2020
https://systems.jhu.edu/research/public-health/ncov-model-2/


Q:潜伏期を考慮して、その間には1人が発症して、残りの人が潜伏期(昨年の11月前後) のばあいの指数関数カーブは、多分 サージ(突然の増加)となるハズ。誰が感染者かは、PCR検査では、100%わからない。陰性と表示。

A:いえ、指数関数を誤解しておられます。サージになるのは、もっと後でございます。初期は、指数関数もべき関数も直線も、あまり、違いがみえません。それは指数関数をテイラー展開すると、e^x = 1 + x + x^2/2 + …となることから、分かりますよね(「釈迦に説法」ですみません)。


Q:ウイルスの初期では、他の既存ウイルスとの陣地獲得の戦いがみられます。(今年のインフルエンザウイルスの負けが確定した時期までの感染拡大力と、それ以降とのカーブがことなる。(中国武漢とその他の都市)

A:手洗いなどをやったので、インフルエンザにも効果があった、という可能性を聞いたことがあります。どっちにしても憶測ではないでしょうか?あるいは、その説に何か根拠はありますか?逆に、両方に罹患することだってあるとも聞いています。どうなんでしょうか?


Q:コロナの感染初期、のど等に付着したウイルスがまず、自然免疫がキャチします。この時点では、発症現象は限定的だとおもわれます。ただ、のどなどの陣地獲得の戦いが、従来のインフルエンザウイルスとで発生します。SARSも結核もおなじで、この段階では宿主へのRNA転移が決定されてはいません。インフルエンザの感染カーブはここ数年のカーブとは明らかにちがっています(昨年11月ごろまでは、同じような推移でした。)

A:すみません。それはどのデータでしょうか?私が参照しているデータはこちらです。

スクリーンショット 2020-05-05 22.37.00

出典:https://honkawa2.sakura.ne.jp/1953c.html

これを私が見る範囲では、去年のラグビーのワールドカップで南半球の冬の地域からウイルスが持ち込まれ(そうではないかもしれませんが、とにかく)、少し早期に流行を開始しました。しかし毎年の流行パターンには、非常に大きな差異があります。その差異の範囲から見ると、私には、想定の範囲内です。それにCOVID-19の患者数は、インフルエンザに比べてまだまだ少ないので、競合の影響ではないと思いますが。


Q:話の発端は、今年の米国のインフルエンザ爆発は異常である。多くの感染がはやくから発生で。ところが年をまたぐと、おかしい、なくなった、寒い季節は変わらない、のニュースのあとでコロナ感染のニュース。ここで、陣地取り戦争のお話が飛び込んだ。

A:アメリカの情報、確かに、多いと、ありましたね。しかし実は、あれも(私から見れば)間違いです。確かに今季は多いですが、もっと多い年は過去にいくらでも、ありましたから。
「米国ではインフルエンザの流行が深刻化している。米疫病対策センター(CDC)の推計では、19年10月以降の今シーズンで2月1日までに死者は1万2千人に達したとされている。「米国ではインフルエンザが原因で毎年少なくとも1万2千人以上が死亡。とりわけ感染が深刻だった17~18年のシーズンには患者数は4500万人に上り、6万1千人が死亡した」(産経新聞、2020年2月8日)。今期はさらにこれを上回る可能性があるという。」

画像3

出典:https://honkawa2.sakura.ne.jp/1956.html


Q:潜伏期間が8-15日とされていますが、感染はバイチャンスなので、集中する可能性はありませんか?(屋形船・韓国新興宗教行事のれい)

A:そうですね、集中する可能性はあると思います。ただし潜伏期間は、平均5日程度、最大14日程度、と聞いてますが。調べると、平均5.8日、最大14日程度、みたいです。
出典:https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/20200325v1.220200323.pdf


Q:BCG(日本株)や、アビガン等の医薬品の効果と感染カーブへの影響度はありませんか?

A:BCG(日本株)は臨床試験が、欧米の医療関係者を対象に始まりましたが、結果はもう出ているのでしょうか。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/bcg.php
アビガンもレムデシビルも、統計的に有意な臨床データは、まだまだ、これからではないでしょうか。
https://wired.jp/2020/05/02/early-remdesivir-data-for-covid-19-is-finally-here/


Q:各都市人口と、流入外国人の影響度、感染カーブの兼ね合いはありませんか?

A:これは人口だけで決まるのではない、のではないでしょうか。様々な他の要素が大き過ぎませんか。


Q:年寄りと若者との、感染力差(高齢者の圧倒的感染力)と重症化率(医療崩壊)と環境の違いはどうですか?(老人ホーム)の生活(北部イタリアの例 高級高齢者)の影響は?

A:年齢との関係は、すでに紹介しましたが、こういうデータもあります。環境の違いのデータは見たことがありません。

画像4


出典
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200502-00176446/


Q:実効再生産数の解析は、丁度、高校の化学実験で、水中に赤インクを一滴ポタリとおとす。掻き混ぜなかったら、いつまでも渦巻き画像が。でもお箸で混ぜると、ほぼ瞬間に全体が薄赤いろ。アルカリ液と酸性液とでは、一瞬にたとえば黄色になる。まさに手品みたいに、じっと見ていた。私は実効再生産数モデルを化学実験として理解していました。コロナは弱酸性液に弱い。

A:それは面白い理解だと思います。餌と、捕食者の、バランス方程式がありますが、感染症の数理モデルの方程式(SIRモデル)は、あれとも少し、似ています。山野にいる、ウサギと狼の、数のバランスの微分方程式。(ロトカ・ヴォルテラ方程式と言いますね。)

============================

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?