小説『私たちは何処へ往くのだろうか?』第六話
ひと段落し、ユウはベンチに座って、警官に事情を尋ねられていた。身柄処理が終わったレナが、ユウの隣に座る。
「はー、疲れた。久しぶりに刺激的なドライブだったわ」
「…」
「ごめんねー。怒った?有給取ってたってのも実は嘘。バリバリの仕事…仕事っていうか、捜査ね。黙ってて申し訳なかったんだけど、私、関西厚生局の麻薬取締官なの。」
レナの父親は、関西裏社会に精通する人物だった。しかし薬物密輸の経由地に使っている大阪港が、国際博覧会の開催に伴い警備が強化され、利用できなくなった。