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小説とか詩とか

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瑞野が書いた小説や詩をまとめています。短編多め。お暇な時にぜひどうぞ。
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2022年7月の記事一覧

詩『time fries』

彼女の目をじっと覗くと 黒目の奥に好奇を感じる 好きという感情も嫌いという理性もなく 自分の好奇心を抑えきれずにいる彼女の目 その目付きで俺を見ないでほしい 値踏みされてる気がしてたまらなく不快 でもそれよりもっと不快なのは 彼女をそうやって値踏みする自分の態度 なんでいつのまに 彼女を忌み嫌ってしまったのだろう なんでいつのまに 最初の気持ちは消えてしまったのだろう って、自分勝手に自己嫌悪しちゃってさ 馬鹿みたいだね、ああ笑えてくる そこに確かに潜んでいるのは 互

詩『雛鳥』

いつも心の奥底で思っていた 誰かが僕を変えてくれるはずだと その時がいつか来るはずだと ひゅっと視界を横切ったツバメ ホームの上の巣に溜まって 優しい営みをそこに築く 口を開けていても エサは入りやしない 待ち望むものは自分で手にしなければ わかっていても 飛べない 飛ぶだけの勇気が 僕にまだない ぎこちないストロークで腕を揺らす それはまるで飛べない雛のように まだ飛ぶことを知らない僕なりに なにか一歩を踏み出すように 口を開けてばかりいた 僕は雛鳥のまま 空想ばか