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ご注文はオーケストラですか?感想。音楽を「旅する」ということ。創意工夫について。

「ご注文はオーケストラですか?」、通称「ごちオケ」に行ってきました。

ごちうさシリーズ初のオーケストラ公演ということで、楽しみにしていた方は多いんじゃないでしょうか。昨今の情勢に振り回されて、京都公演は結局中止、東京公演も夜の部はなく、昼の部のみという形にはなりましたが、とにかく開催できて良かったです…!

今回は、そんなごちオケの感想を備忘録的に書いていきたいと思います。

会場に行けなかった人にもなるべく伝わるように、現地の様子を交えつつ、思ったことを書いていきたいと思いますので、どうぞお付き合いください。

■開催概要

2021年2月6日(土) 13:30開場 14:30開演

会場:Bunkamuraオーチャードホール

*元々は2020年5月に京都公演、6月に東京公演が予定されていましたが、昨今の情勢により、京都公演は中止。東京公演も夜の部は中止となり、2021年2月6日に東京公演を昼の部のみ行う運びとなりました。

■服装は私服でOK

まず当日の服装ですが、これは私服の方がほとんどでした。一応、公式からドレスコードはなし、との告知は出ていましたが、そうは言っても周囲の人がどんな服装で行くのかは気にされてた方が多かったです。周りがスーツなのに自分だけ私服、とかだったら浮いちゃいますからね。

中にはスーツをきっちり着てフォーマルに決めてた方もいましたが(笑)、少数派です。基本的には、ごちオケは私服でOKということで良さそうです。ちなみにティッピーブランケットを頭に被って参戦してた方もいました。

■「ご注文はオーケストラですか?」第1部感想

さて演奏に関してですが、第1部は世界観にひたすら圧倒されました。

・ごちうさの楽曲は世界観を出すためのこだわりが詰まっている

最初の選曲は大方の予想通り、「君のスカート丈に首ったけ」。ごちうさのはじまりを象徴するような、誰もが知ってる劇伴曲ですね。この曲でいきなり演奏に引き込まれます。

劇伴曲って、そういえばあまり意識して聴いたことがなかったかもしれません。アニメ自体は何回も見返しているので、劇伴曲もそれと同じくらい何度も聴いているはずですが、コンサートホールという広々とした空間で、リラックスしながらごちうさの楽曲に耳を傾けたのは初めてでした。曲単体の魅力が明確に引き出される空間。だからこそ気付いたんですけど、ごちうさのBGMって世界観がもう素晴らしいですよね。

曲を聴くだけで、街の風景がありありと目に浮かびます。花と緑に飾られた建物、陽光を反射してきらめく川面、おしゃれな看板。アニメを観ているわけでもないのに、まるでアニメの世界にいるような、そんな感覚を味わうことができました。

いや本当にすごいですよ、これ(;゜∀゜)

音楽だけでこんなにも作品世界をイメージできるものなんですね。

ごちうさの曲といえばOPやED、キャラソンといったイメージが強くて、その方面に詳しい人は多いし、カラオケで歌われるのも大体キャラソンだけど、劇伴曲も凄いんだぞ、というのは強調していきたいですね。

ちなみにごちオケのオーケストラアレンジを担当した萩森氏も、「世界観を出すためのこだわりを感じた」として、劇伴曲を絶賛しています。

プロがここまで誉めるのですから、ごちオケの劇伴曲はすごい。間違いない。

・肌で感じる生演奏の力

けどここまで強く世界観を感じたのって、やっぱり生の演奏を聴いたからなんですよ。スピーカー越しに家でごちうさのBGMを流したところで、世界観すごい…とは、ならない。リアルな世界観を味わうためにはリアルな感触が絶対に必要で、じゃあその感触って何かというと、すばり「空気の震え」です。

楽器の振動が空気を介して伝わってくるんですよね。より正確には、音を肌で感じる、といった方が近いかもしれません。リゼちゃんの劇伴曲「覚悟しろっ」は特にインパクトが強烈で、勇ましさが違いました(笑)。「魔王」というオーケストラの楽曲を思い出しましたね、ええ。作曲者は忘れましたけど、たしかそんなタイトルの曲を学生時代に習った気がします。あの迫力に名前をつけるなら、まさに魔王という一言がぴったりだと思いました。

配信との大きな違いは、このリアルな感触に尽きると思います。音を肌で感じる。

・ホールそのものが一体となって奏でるごちうさの世界

これは千夜ちゃんの劇伴曲を聴いてて思いました。音響にあまり詳しくないので解釈が正しいかは分かりませんが、千夜ちゃんの曲って和風テイストだから、メロディが繊細じゃないですか。繊細なメロディってそれだけ倍音のバリエーションも増えるから、ホール内に反響すると神秘的に聞こえるのかもしれません。

そのせいか、会場そのものがもう楽器なんですよ。どの楽器がどうとかじゃない。オーケストラの演奏と、ホールの反響が合わさって、それ自体が一つの楽器として完成されているんです。その「会場」という一つの楽器が、ごちうさの世界を壮大に奏でている。オーケストラの醍醐味って、実はこういうところにあるんじゃないかと思いました。演奏だけじゃなくて、その響き方も含めて楽しむ、みたいな。これもまた会場に実際に居合わせないと経験できない楽しみだと思います。

・音楽を「旅する」ということ。「聴く」ではなく、「いる」という感覚

ここまで第1部の感想を書いてて思ったのは、オーケストラの生演奏って「聴く」じゃなくて「いる」だな、と。

普段、僕らがイヤホン越しに音楽を鑑賞する行為が「聴く」だとしたら、オーケストラの生演奏は、それとは全くの別物です。世界があり、その中を往く。音楽の中に「いる」感覚。それはさながら、旅に近いものがあるかもしれません。木組みの家と石畳の街を歩く旅。奇しくもごちうさは、ちょうど原作でも旅行編を終えたところです。

街の外に出て、新しい景色を見る。僕自身もまた、オーケストラという未知の景色を垣間見るとともに、木組みの家と石畳の街を旅してきたような気分になりました。

■「ご注文はオーケストラ」ですか?第2部感想

劇伴曲で構成された第1部とは異なり、第2部はキャラクターソングシリーズの演奏が中心でした。

劇中で使用されたOP・ED曲をはじめ、馴染みのあるキャラソンがメドレー形式で次々と演奏されていく。これだけでも十分、満足なんですけど、同時に、第2部は演奏する側の工夫を感じた公演でもありました。オーケストラって、やっぱりどうしても敷居が高いじゃないですか。

普段から公演に足を運んでいる人ならともかく、初心者の中にはなんとなく取っ付きづらいってイメージを持ってる方は少なくないと思うんですよ。そのハードルを、いかに下げていくか。こういう工夫が随所に見られたのが個人的には感動したので、その点について掘り下げていきます。

・初めての人にも分かりやすいオーケストラの解説

まず良かったのは、解説があったことですね。普段、オーケストラがどういった編成で行われるかについて。弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器の四つに加えて、ゲスト楽器があるという説明があり、これはパンフレットにも詳しい解説が載ってます。ごちうさといえば、アコーディオンですが、これはゲスト楽器に分類されるんですね。

ゲスト楽器というのは文字通り、オーケストラでは通常共演する機会の少ない楽器のことです。

言われてみれば、アコーディオンって中々見ない気がする。今回のオーケストラはごちうさのために、特別な編成を組んでるみたいです。こういう基本的なところもオーケストラに馴染みがない人は分からないので、解説があると、演奏がグッと身近に感じられますね。

・WELCOME【う・さ!】から始まる楽曲構成

これもおそらく、オーケストラのハードルを下げるための工夫だと思うんですよ。だって、WELCOME【う・さ!】って、タイトルからしてもう秀逸じゃないですか。

「ようこそ!」っていう歓迎の気持ちを、ストレートに表している。先ほどの解説で知識面での取っ付きづらさはなくなっても、気持ちの面でまだハードルを感じる人はいると思うんですよ。でも、そこにWELCOME【う・さ!】が来ることで、僕らは迎えられた気持ちになる。心理面でのハードルが一気に下がるんです。

WELCOME。歓迎。これほどストレートに「ようこそ!」の気持ちを伝えてくれる曲って他にないです。

実際のところは、スタッフじゃないので、WELCOME【う・さ!】がどういった経緯で第2部の最初に選ばれたのかは分かりません。ですが、「ようこそ!」って迎えられるだけで、オーケストラに対する苦手意識はなくなりますよね?

・「セカイがカフェになっちゃった!」東京フィルハーモニーごちうさ交響楽団Ver.

そして極めつけは、このセカカフェですよ。もうね、泣きました。めちゃめちゃ感動した!(  ;∀;)

アンコールがあるというのはフォロワーさんから事前に聞いてたので、それ自体は驚かなかったんですが、ときめきポポロンで僕はてっきり終わりだと思ってました。

ところが、なんと終わりじゃない。スクリーンが切り替わり、セピア色の懐かしいムービーが流れ出したと思ったら、「セカイがカフェになっちゃった!」の演奏が始まるじゃないですか。

びっくりしました…!しかもよく見たら、クレジットが「東京フィルハーモニーごちうさ交響楽団」になってる。各楽曲を担当した方の名前が現れては消えていく。ただムービーを流すだけじゃなく、ともすれば誰も気付かないところまで、ごちオケはしっかりと作り込まれていました。

粋な演出とは、まさにこのことを言うのではないでしょうか。今回の演奏で、僕はオーケストラが一気に好きになりました(*´∀`)

■まとめ

いかがでしたか?

今回のごちオケを生で観られなかった方は、次こそ現地に行きましょう!会場でしか味わえない楽しみがありますよ!

ちなみにニコニコ生放送で3/7までアーカイブ配信が見られますので、見逃した方はぜひ観てみて下さい。

またね!

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