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3期ごちうさはここがスゴい!学校見学と文化祭の改編について考える

■3期ごちうさは改編されている

3期ごちうさ、観てますかー!?

TVアニメ「ご注文はうさぎですか?BLOOM」が放送中です。Koi先生原作の四コマ漫画「ご注文はうさぎですか?」のTVシリーズ第3弾に当たりますね。

「ご注文はうさぎですか」略して「ごちうさ」。元々、今作は原作のカバー範囲がすごく盛り上がるとあって、放送前から期待が膨らんでいました。しかし、そこは長年ごちうさを制作してきたスタッフ。事前予想を遥かに上回る超ハイクオリティなごちうさを前に、涙腺を破壊されるSNSユーザーが続出しております。

が、僕から言わせると。まだまだ今期のごちうさは過小評価されてますね。

断言しましょう。こんなもんじゃないぞ、と。

もちろん、ごちうさで感動した人が続出している事実は大変喜ばしいことではあるんですが、今期のごちうさはもっと凄いんだぞ、僕らは今、本当に凄まじい傑作アニメを観てるんだぞ、ということを広く世の中に伝えるために、今回の記事作成に至りました。

てわけで、3期ごちうさはここがすごい!というのを、「改編」をテーマにお伝えしていきたいと思います。

さっそくですが、3期ごちうさ。実は原作を大きく変えた箇所があるのはご存知ですか?

具体的には、学校見学と文化祭の話になります。内容はというと、3羽の冒頭で高校進学の話が持ち上がり、ココアちゃんや千夜ちゃんの通う高校の文化祭のエピソードを経て、チノちゃんが進学先を決める、というお話。

ごちうさのアニメは基本的に、原作を大きく変えません。細かいセリフの違いだったり「魔法少女チノ」などのエイプリルフールネタは除外するとして、ごちうさは基本的に、原作に忠実に作られています。

原作のストーリーから大きく逸脱することはありませんし、ましてやキャラクターの心情など、物語の根幹に大きな影響を及ぼしうる要素はこれまで変えたことがなかったと記憶しています。

にもかかわらず、その根幹が変わった。

SNSではあまり話題になっていませんが、これは今までのごちうさの歴史から見たら一大事です。

今回は、その改編について考えてみたいと思います。

注)タネ明かしは最後にちゃんとあるので安心して読んでね

■チノちゃんが高校を決めた理由

学校見学と文化祭の話は具体的にどこが変わったのでしょうか?

その前に、アニメの内容を一度おさらいしておきましょう。

・アニメでチノちゃんが高校を決めるのは文化祭の"後"

学校見学と文化祭の話にあたる3羽と4羽では、チマメ隊の進学が一つの大きなテーマとなってます。3羽の冒頭でココアちゃんに高校を決めよう!今すぐ決めよう!と迫られたのをきっかけに、チノちゃんが進学先について考えるようになります。

そんな折、メグちゃんからお嬢様学校の見学会に誘われました。

壮大な校舎。煌びやかな内装。ただ、生徒は思っていたよりもずっと親しみやすく、堅苦しい空気が苦手なマヤちゃんでも、受験を考えてみようかと思うほどでした。「飛び込んでみないと分からない世界があるんだね」は、印象的な台詞でしたね。

この時点で、チノちゃんはまだ高校を決めかねています。

学校見学の傍ら、ココ千夜の通う高校では文化祭の準備が着々と進んでいきます。そして迎えた、文化祭当日。

いろんな人がいる。わくわくする雰囲気。そして何より、違う学校でも、まるで最初から一緒の学校であるかのように、同じ制服を着て、笑い合う高校生組の姿。

夕暮れの校舎をまっすぐ見つめながら、チノちゃんは「決めました」と宣言します。

この表情、めっちゃ良いですよね。こんなにもキレイで、曇りなき瞳でまっすぐ未来を見据えている表情が他にありますか?

感動しました!この表情の繊細な変化に関しては別の記事で触れるとして、以上が3羽から4羽の大まかなあらすじとなります。

何が言いたいかというと、要するにチノちゃんが高校の進学先を決めるきっかけって、文化祭なんですよ。

それまでチノちゃんは高校の進学先をどこにするか迷ってて、お嬢様学校の見学会を経ても、決まることはありませんでした。ココアちゃんや千夜ちゃんの通っている高校の特色が気に入ったからこそ、チノちゃんは進学先を決めることができたわけですね。

ここが、大事です。文化祭の、"後"。チノちゃんは文化祭の後に高校の進学先を決めた。これが原作との大きな相違点になります。

・原作でチノちゃんが高校を決めるのは文化祭の"前"

じゃあ実際、原作でチノちゃんが高校を決めるのは文化祭の前なの?って話になりますが、これはもう確実に前ですね。

原作でチノちゃんが高校を決めたと宣言をするのは、学校見学会です。

アニメだとチマメ隊がごきげんよう症候群を発症(?)して終わってしまうのですが、原作ではこの場面でチノちゃんが「行く高校はもう決めてあります」と、はっきり宣言します。

この直後にココアちゃんと千夜ちゃんが文化祭の備品を借りに来るのですが、ここはアニメも原作も特に変わったところはありません。学校見学の話の後に、文化祭が続く。学校見学の話と文化祭の話の掲載順が違うだけとか、そういう話でもありません。

チノちゃんが高校を決めるのは、文化祭の"前"。より正確には、学校見学の時点で既にチノちゃんは進学先を決めている、ということになります。アニメと原作で違いがあるのは明らかです。

・チノちゃんが高校を決める理由がアニメと原作で違う…?

では、この改変によって、何が変わるのでしょうか。それは他でもなく、チノちゃんが高校を決めるに至った理由です。

ご紹介したコマにあるように、原作でチノちゃんが高校を決めたのは、学力と学費でした。奨学金制度があるとはいえ、ラビットハウスの収益でお嬢様学校に三年間ずっと通うというのは、やはり厳しいのでしょう。喫茶店の手伝いもありますし、学業との両立が難しいというのも、納得のいく話です。

この経緯の部分が、3期ごちうさでは、丸ごと改編されました。チノちゃんが進学先を決めたのは、文化祭を見たから。いろんな人がいて、わくわくする。そんな高校の雰囲気がチノちゃんの目に魅力的に映ったから、チノちゃんは進学先を決めることができた。そういう話に仕上げられています。

■3期ごちうさはここがスゴい!学校見学と文化祭の改編について考える

スタッフはなぜ、このような抜本的な改編を決めたのでしょうか?

もちろん、直接制作スタッフに聞いたわけではないので、ここからは僕の推測になりますが、学力と学費で高校の進学先を決めたって、別にいいわけです。

そもそも原作はそうなってますから、変える理由がありません。学力と学費で決めたというのは、確かに夢がないといえばないですが、堅実なチノちゃんらしい選択だと僕は思います。原作通りのストーリーでも、おそらく僕は全く違和感なく内容を受け入れていたでしょう。

それなのに、アニメでは変わった。こうなると、制作スタッフの意図が気になります。基本的に原作に忠実に作られるはずのごちうさで、物語の根幹とも言えるチノちゃんが高校を選ぶまでの過程を、あえて変えてきた。その理由。

今期のごちうさの真のすごさは、ここにあると僕は思ってます。長くなりましたが、もうしばらくだけお付き合い下さい。

・原作のストーリーをより整合性の高いものに仕上げた

ここまでチノちゃんが高校を選んだ理由は学力と学費であるかのように書いてきましたが、実は原作7巻でその説はひっくり返ります。

画像は原作7巻の一コマです。ご覧のように、チノちゃんが高校を選ぶきっかけになったのは文化祭であることがはっきりと書かれています。

どうやらチノちゃんは、いつの間にか文化祭を理由に高校を決めていたようです。学校見学の時にはすでに、行く高校は決めてあると宣言したにもかかわらず、です。

これ考えたんですけど、原作のチノちゃんって学校見学で「行く高校は決まってる」とは言ってるんですが、ココアちゃんや千夜ちゃんの通う高校に決めた、とは言ってないんですよね。エモーショナルなシーンだったので、てっきりこの時点でココ千夜の高校に決めてるものだと思いがちですが、学力と学費の範囲で行ける高校に絞ってるだけ、と解釈することもできます。結局、学校見学の時点では、ココ千夜の高校に行くとは決めてなかったわけです。

ただ、やっぱりどうしても違和感はあるんですよね。

一応、矛盾がないように解釈することは出来なくはないんですが、あれだけはっきりと「行く高校は決めてあります」と宣言したシーンが文化祭よりも前に来るのは、意図したものというより、単なる構成のミスなのではないでしょうか。

高校を決めるきっかけになったのが文化祭であるならば、高校を決める宣言をするのは文化祭よりも後に来るのが、やはり自然だと思います。アニメでは、このへんが分かりやすいように修正されたのでしょう。

つまるところ、この改編は、原作のストーリーをより整合性の高いものに仕上げるためのものであったと考えるのが妥当だと思います。

・ごちうさという作品にかける熱意、プロ意識、そして愛

けどここって、さっきも言いましたけど改編する必要はなかったんですよね。

理由は至ってシンプルです。誰も気付かないから。実際、ツイッターやブログなどで様々な感想を読み漁りましたが、ここまで深く突っ込んだ感想は見かけませんでした(もしあったらゴメンナサイ)。

そもそも、原作のストーリーを丸ごとアニメ化していたとしても、違和感を覚えようがない。学費と学力で高校を選ぶのはいかにも堅実なチノちゃんらしいですし、チノちゃんが文化祭を理由に高校を選んだことが発覚するのは原作7巻です。

アニメ3期のカバー範囲はおそらく原作6巻までなので、3期までというミクロな視点では矛盾することがないんです。今後もし7巻がアニメ化したとして、今やってる3期の内容が原作そのままだったら、振り返った時にあれ?と思うことはあるかもしれませんが、そう思う人はおそらくごちうさファンの中でもごく少数でしょう。

アニメ3期は、原作そのままでも作品として十分成立しました。にもかかわらず、改編が行われたのはなぜか?

誰も気が付かなくたっていい。たとえ完全スルーであったとしても、ごちうさという作品をより良いものにしたい、より良いものにするんだっていう、製作陣の意気込みがあったからではないでしょうか。

人の真心は、見返りのない行為にこそ現れます。この改編こそ、製作陣の意思なのではないでしょうか?

これを、熱意と言わずして、

これを、プロと言わずして、

これを、愛と言わずして、

一体この世の何が熱意で、何がプロで、何が愛ですか!!!!!!!!!!

これが言いたかった…(

てわけで、僕はこの改編こそが、今期ごちうさのスゴいところだと思うわけです。

・アニメ4期の制作が進んでいる可能性

最後に補足になりますが、アニメ4期の製作が進んでいる可能性は十分あると思います。

製作まではいかなくとも、企画は動き出してるかもしれません。4期とはいかなくとも、OVAや劇場版の話が持ち上がっていても不思議ではありません。

こう考えるのは、原作7巻の内容が、3期に織り込まれたからです。希望的観測になりますが、4期をやる予定が現時点であるからこそ、先行する3期の内容を4期と矛盾しないようにする必要があったんじゃないかと思うんですよね。

いずれにせよ、今期の円盤はもうバカ売れでしょうから、4期は確実ですね!(

楽しみですね!(*ノ▽ノ)

■まとめ

いかがでしたか?

昨今は情報の流れが早くて、今日バズっていたネタが、次の日にはもう忘れられているのが日常茶飯事です。様々なコンテンツを広く浅く楽しむのも良いでしょう。

ですが、僕はこんな世だからこそ、道端に落ちてる原石を磨いて宝石にできるような、そんな人でありたいと思っています。

それでは、毎週土曜日22:30過ぎくらいにお会いしましょう。

またね!

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