お米炊けてないごっこ

寝子の子の日常
出てくるキャラ:えり、ヘル、りにゃちゃん、リナちゃん


「……そういうわけで、今夜はトンカツです」
なんの脈絡もなく、えりが言った。
「……えー。説明しよう! 作者が今どハマりしている『お米炊けてない』にちなんで、うちの子(あるいはよその子)で役割を分担しつつトンカツを作る妄想あそびが(作者の中で)流行っているのだ!!」
「わー(ぱちぱち)」
仕方がないのですかさず解説を入れる。
りにゃちゃんが拍手をした。多分何も分かってない。
「でもさあ、展開が分かっているなら誰もごはん炊きたくないじゃん?」
リナちゃんの言うことももっともだ。
「そこでですね。あみだくじで決めようと思います」
そこまでするのか。
「好きな番号を選んでください」
線が引かれた紙を差し出す。やけに用意がいい。
「どうでもいいけど、えりってあたしたちに対してはタメ口じゃなかった?」
「え? あ……ああー……?」
リナちゃんのツッコミに、えりが目を逸らす。
「まあいいや。じゃあ3番!」
「りにゃ、にばん!」
「余ったのでいいよ。えりは?」
「では4番で」
「じゃああたしが1番ね」
決まったところで紙を覗き込む。隠してあった役割が顔を出す。辿った先は……。
「えっ……」
「???」
「ああ……」
「ふーん……えっ、これあたし、今から買い出し???」
◇◆◇
材料を買ってきた。ちなみに、内緒でパックごはんも買った。
りにゃちゃんが踏み台に乗って塩コショウをバンバンかける。かけすぎ……。
さらにりにゃちゃんは卵を握りつぶし(!?)、リナちゃんが飛び散った卵を片づけてあたしが代わりに卵を割ることとなった。その間にえりはキャベツを切る。
りにゃちゃんは全身小麦粉と卵とパン粉まみれになりながら(どうして……)肉にパン粉をつけるところまで終わらせた。えりはまだキャベツを切っている(キャベツの千切りは山ほど必要なので)。
リナちゃんは人生初の揚げ物に怯み、引きあげるのが遅くなって焦げ焦げになった。えりはまだキャベツを切っている。
「で……できた……?」
「えっと……頑張ったね……」
「それで、ごはんは……」
ごはん担当のえりを見ると、キャベツの千切りが文字通り山となっていた。えりの姿が隠れて見えない。そんなにキャベツあったっけ???
「えり……ごはんは?」
「……うん? えっ? あれッ!?」
自分で作ったキャベツの山を見て驚いている。気づいてなかったの!?
「どうするのこの量、野菜を食べようってレベルじゃないんだけど」
「えっと……ごめんなさい、今日の主食はキャベツってことで……」
「……あー……。これ、食べる?」
パックごはんを取り出す。
「ゲトウのごはんだー!」
りにゃちゃんの一言で呪物みたいになったごはんを温めて食べる。
トンカツは苦い上に塩辛かったけど、それでも美味しかった。と言っておかなければならない気がした。
おわり。

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