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エンドレスヒール#65 -3.11

この物語はフィクションであり、登場する人物・団体等は架空のものです。

2010年3月

決めたら実行する。簡単なことのようだが、数年前の和美には叶わないことが多かった。
子供が家にいる。
遠出する場合、まして泊りなどは考えられず、せいぜい宮城県内に限られた。
さらに子供たちの学費も重なって、資金不足だったことも事実だ。
しかし、事情が変わった。

三人の子が学校に行っていた時と、二人卒業し就職した今とでは、全く違っている。
まして、三番目が家を出た時、覚悟を決めていたにもかかわらず、自分でも想像できなかった空の巣症候群の手前まで いくとは。

何も無いのに、いつのまにか涙が流れている。
普段の生活で、ふと気付くと、何も無いのに、頬が濡れている。
それに気付いた時、迷わず心療内科を受診した。

職業柄、「心の病は早い方が完治しやすく、遅くなれば遅くなるほど、治りにくくなり悪化しやすい」ということを知っていたからだ。
和美が心療内科を受診したのは、三男が家を出てから、まだ一ヶ月たっていなかった。

しかし、プロの先生と話し、事情を説明した時、
「当たり前ですよ。」
と言われた途端、大粒の涙が流れて止まらなくなった。
さすがにプロだ。
心のひもを解いてしまった。

そして
「会いに行けばいいんです。こちらから、会いに行きなさい、5月の連休、すぐじゃないですか。」
このアドバイスに従い、5月のゴールデンウィーク・9月のシルバーウィークと関東に出かけた和美は、遠出することに何の違和感も抱かなくなった。

2010年3月のノアヒールの体験講座
和美は、関東に出かけることにした。
決まれば、実行はすぐだった。
申し込みをして、新幹線に飛び乗るだけだった。

2011年5月21日(土)

エンドレスヒール#65 -3.11

※あなたが関東に行ったくらいで、私はからの巣症候群になり、医師の前で号泣した。
でも

※駒草の冒頭
私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。

次回 エンドレスヒール#66 へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nd7f13968b2ec

前回 エンドレスヒール#64 は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n1d4715cff234



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https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921

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