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エンドレスヒール#28 -3.11

3月5日(土)夜
昨日、ツベルクリン反応により肺結核っでないことは、わかった。
さらに、好酸球肺炎の白い影も消えた。
本来、回復傾向に向かうはずだった。
しかし、一月からずっと一万を超している白血球。
また上がって来た 肝臓数値。

私の体の中で 何が起こっているのか。
何故 白血球が多いのか?
何か 病原体と戦っているのか?
それならば、戦っている病原体は、病気の正体は何なんだ?

胃カメラ OK! 腸カメラOK!
肺 OK!膵臓 OK!
3月初めの予約で、甲状腺も専門医に診てもらうことになっている。
後は婦人系???

夜 夫に結果を話した。
「今の仕事、きつくないのか?1月からずっとは、おかしい。命かけてやるものなのか。」
堪えた。

母に電話する。
母は、60歳から福祉系のボランティアを始め、
「もっと知識があれば、もっと何か自分のできることが増えるかもしれない。」
と、一念発起し、68歳で2級ヘルパーを取得している。

それは、仕事をするためではなく、ただ誰かのために何かしたかったため、知識を求めた、そして、ヘルパーでなければ許されない行為をも、出来るようになるためだった。

母が68歳でヘルパー取得したのに、まだ40代後半の自分が取れないはずが無い。
そして今なら、まだ仕事として出来るはず。

和美が残りの人生を、福祉にかけることにしたのは、誰から勧められたわけじゃなく、自分の、長い自分だけの人生を、自分が一番やりたいことをするためだった。

それが誰かのために生きることだった。
まだ就職して半年。あまりに短い。こんなこと、今まで仕事していて こんな無責任なこと したことが無い。

母は厳しい人だ。子供のころから認められたことがない。
結婚も 子育ても、 ハンパ無く厳しい。
一人より二人 二人より三人。人数が多いだけ、一人一人全く違って育てる時の苦労は違ってくる。

人は必ず結婚するわけではない。人生は選択だ。
縁が無かった、というが、自分から逃している人が多く見受けられる。
結婚しないのは、自分が決めたことだ。

子供も 欲しくても出来ないことがある。
しかし、和美は結婚の時。夫となる人に申し出ている。
「もし、子供が出来なかったら。養子をもらうか、里親になりたい。」
生きとし生けるものが、卵を産んで死ぬように。子孫繁栄のために、生きるように。
人になるには、親になることが不可欠と思いこんでいた。

夫が「他人の子の親になる自信が無い。」
と言った時も、子供が出来なければ別れよう。
と 決めていた。

母は、どんなに子育てや、子供の学費のために働く和美が愚痴を言おうものなら、必ず叱りつけられた。
「そんなのは、あたりまえ、誰だって同じ。」
いつも一刀両断だ。
その母が・・・。

肺結核のことで、遺書めいたことを書いたせいか。
自分も年を取って、気が弱くなったのか。

「体が一番だから、辞めなさい。」
と言う。

たった 半年。
本来なら 「半年で辞めるなんて、根性無し」と言われるのが落ちだ。

それが
「もう充分仕事したから。」
心の中で 頭がぐるぐる回る。
「半年間頑張ったじゃない。親に、見送らせるようなの、やめて。」
電話の母の声は泣いているように、聞こえた。

続く
2011年4月14日(木)

エンドレスヒール#28 -3.11

※こんなこと言われていたんですね。
お母さん、あなたは娘が死ななくて、幸せでしたね。
私は・・・。

かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

次回 エンドレスヒール#29 へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/na100783e9366

前回 エンドレスヒール#27 はこちらから
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