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エンドレスヒール#72 -3.11 最終回

この物語はフィクションであり、登場する人物・団体等は架空のものです。

3月31日(木)震災21日目

「本日は年度末で・・・」
施設長が 始まる前の打ち合わせで、簡単な挨拶をしている。
本来ならデイケアを休みにして、施設内を掃除等をして、新年度のための打ち合わせがあるはずだった。

しかし。3月11日の震災のため、長期に休んでしまい、また本来すべきだった掃除等も休み中に終わったので、デイケアの休みがなくなった。
毎朝の打ち合わせで、便宜上、短い挨拶が行われたのだった。

この一週間 久しぶりに利用者さん達に出会った。
皆 無事で本当に良かった。
マヤさん セイヤさん キヨコさん・・・名前をあげたらきりがない。
スタートしたこの四日間、まるで地震など なかったかのように、いつもの支援が繰り返された。

利用者の皆さんと生きる、この幸せ。
和美は、改めて 感じていた。
まだまだ 力の無い 経験の無い和美だが、少しでも出来ることがしたい。

「岬さん、サキさんの おむつ交換。」
「は~い。」
今日、3月31日、本当は和美の退職する日だった。
でも、和美は今日で終わりではない。
明日も、ここへ来る。
そう、決めたのだ。

あの、施設から電話があった日、いつから仕事が始まるか、電話があった日。
和美は施設長に電話を代わってもらった。
「大丈夫なんですか?体は?」
「はい。」
実は、その時は震災後まだ病院へは行ってなかった。
道路が寸断され、病院も開いていなかったので行けなかったのだ。
しかし、和美、もう一度 この仕事にチャレンジすることに決めた。
その後、仕事が始める前日に初めて病院へ行き、まだまだ通わなければならなかったが、迷いはなかった。

これが 私の仕事。
私の選んだ道。

まだまだ 大変な時が続くだろう。
簡単には復興しないだろう。
それでも、和美は生きる。
変わらない明日を信じて。

「岬さん、マヤさんのトイレ介助にいって。」
「はい。一緒に、行きましょうね。」
マヤさんは ニッコリと笑った。

終わり
2011年5月28日(土)
「エンドレス ヒール」ー和美の場合ー を終わります。
この後、4月7日の深夜にも震度6強の余震が襲い、電気が消えました。
震災後 二ヶ月以上たっても全ての人の未来が 明るく見えるとは言い難いです。
和美編は、これで終わりますが、 エンドレスヒール 終わらない癒し あたりまえの暮らし この一番大切なテーマの物語は、終わりません。
これを書いている時点で 予約更新なので、まだ5月中旬です。
もし、書けたら 次は同じ体験でも 違う形で書きたいと 思います。
二ヶ月たって、返って最近 ショックが強くなった私ですが、まだ書いていない真実がたくさんあると思うので。
もし 書けたら、また お会いしましょう。
読んで下さった皆様 ありがとうございましたm(_ _ )m
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(上記、当時の文面のまま)

エンドレスヒール#72 -3.11 最終回

私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。

前回 エンドレスヒール#71 は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb321b125133f

エンドレスヒールを最初から、まとめて読めるマガジンは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921

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