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エンドレスヒール#15 -3.11

この物語はフィクションです。登場する人物、団体等は架空のものです。

3月11日(金)15時半過ぎ

「無事」
という報が息子たちから次々入った。
無事?
どういう意味だろう?何が起こってるんだ?

和美は子供たちに電話をしてみた。
三人とも通じない。
次に夫、そして自分の両親、そして妹夫婦。
メールは来たのに、電話が通じない。

電気が消えたので、おそらく電話もダメだろと思いつつ、家の固定電話から親族に電話する。
一人も通じない。
その時、すぐに公衆電話に走れば、通じたかもしれない。
しかし、和美は日が暮れる前に、この家の惨状をなんとかしたかった。

注意しながら大きな破片から取り除き、丈夫なビニールの袋に入れる。
一枚 一枚 手を怪我しないように、ていねいに拾う。
たくさん割れた中から無事な茶碗が三個、子供が小さい時、家族で行った陶芸の里で作った子供の作品が一つ、壊れないで見つかった。

そして、なんと!
一番下に、きっと一番最初に落ちたであろう、たくさんの食器の砲火を浴びたであろうカップが一個、生き残っていた。

それは、昨年春、清水綺羅子さんこと、らこさんのピアノコンサートが、伊豆のメルシアというお店で開かれた時に買った、メルシアの、メルのカップだった。

メルシアは、海に沈もうとしている、沈下を続けるツバルと言う国を応援しながら、ツバル、そしてツバル以外の国のエスニックな商品が多い。

洋服が一番多いが、焼き物や、その国独自のハンドクリーム、パワーストーンなど、値段もいろいろだが、手頃なものから、クリスタルの大きいものでは、かなり高価なものもあった。

そのメルで買った白いカップ。白のカップは横しまで でこぼこ模様。そして、その中心から少し上に、木を曲げて作ったのか、ぐるりとカップを囲み、さらに、つなぎ目がカップの取っ手になっていた。


2023現在、今なお生き残っているカップ

続く

2011年4月1日(金)

エンドレスヒール#15 -3.11

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回 エンドレスヒール#16 へ続く
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前回 エンドレスヒール#14 はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n335a451c5a5c

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